「最優先課題は、間違いなくコメの価格を安定化させ、安くておいしいお米を1日も早く消費者のみなさんに届けることが、我々の喫緊の課題だ」
5月26日の会見でこう述べたのは、小泉進次郎農林水産大臣(44)。農水省は同日から30万トンの備蓄米について、競争入札をとりやめ、大手小売業者を対象に国が決めた価格で直接接売り渡す「随意契約」を開始するが、小泉氏によると早ければ6月上旬から、5キロ当たり約2000円程度の米が店頭に並ぶ想定だという。
前任である江藤拓議員の事実上の更迭によって、小泉氏が21日に就任してからまもなく1週間。米の価格高騰に多くの国民の不安が募るなか、さっそく改革を推し進める小泉氏だが、就任直後の”アピール”が一部で波紋を呼んでいる。
小泉氏は22日にXで、日本農業新聞による《備蓄米5キロ2990円で店頭に JA全農長野が公表 卸に6割出荷済み》と題したWEB記事を引用。記事のサムネイルには、税抜き2990円の値札が付いた5キロの国産ブレンド米の画像が使用されていた。また同日の囲み取材でも、「昨日は全農に対するメッセージを出しましたけど、今日は長野県の全農で販売しているコメがとうとう2900円、2000円台に乗った」と語っていた。
投稿の前日に行った就任会見で、小泉氏は米の値下げを明確に打ち出していただけあって、投稿には《素早い対応ですなあ、やればできる》《小泉さんの一言で下がってるやん》など、早々に小泉氏が手柄を上げたと捉える声が寄せられていた。ところが、事情はまったく異っていたようだ。
23日に配信された「朝日新聞」の記事によると、「2990円の米」は備蓄米が出回り始めた今春から店頭に並んでおり、JA全農長野は「大臣就任により引き下げたのではない」と異例の声明を発表したという。こうした報道を受けてXではこんな厳しい声が相次いだ。
《根拠ないのに適当にポストするのはどうですかね?》
《ある種の企業努力を都合よく利用しただけだったんですね》
《進次郎、良くないスタートですね》
就任早々、“手柄アピール”によって一部から ひんしゅくを買ってしまった小泉だが、25日放送の『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系)でも、ビートたけし(78)が「小泉さんのせがれが、なんか人気取り臭くてなぁ」と口にするなど、スタートは順調とはいえないようだ。さらに、政界でも一部では小泉氏の手腕を疑問視する声が出ているという。
「国民民主党の玉木雄一郎代表は25日の街頭演説で、自民党が’18年に廃止した『減反政策』が、実質的には廃止されておらず、それが米価格高騰の原因の一つだと指摘。
また、小泉氏は23日に出演したNHK『ニュースウォッチ9』で、倉庫で数年間保管されている備蓄米の販売価格が下がる仕組みを『減価償却』という言葉を用いて説明。これについて、小沢一郎衆院議員がXで、減価償却は固定資産の耐用年数に応じて経費として計上することであるとし、《まずは勉強を。大丈夫なのか?》と指摘していました」(政治部記者)
“コメ大臣”として国民のヒーローになることはできるのか。