ちまたでは備蓄米放出の話題で持ちきりですが、国は5月27日、今夏も7~9月の電気・ガス料金の補助を行うと発表しました。

補助は以前と同様単価を値下げする方式で、猛暑がきびしい8月は手厚く、電気は1kw時あたり2.4円引き、ガスは1立方mあたり10円引きです。

標準的な使用量の家庭だと、8月は電気とガスを合わせて1千260円、7月・9月は1千40円の値引きです。

しかし、2024年8~9月の補助は電気で4円、ガスで17.5円引き、標準家庭で月2千125円の値引きでした。物価高騰が長引き家計はますます疲弊しているのに、昨年のほぼ半額しか補助がないのはなぜか、はなはだ疑問です。

また、最近は電気・ガスの紙の検針票が発行されずネットで確認する必要があるため、毎月詳しく見ていない方もいるのでは。口座から引き落とされた料金だけを見ていると、月1千円程度の補助に気づかない方もいるでしょう。

いっぽう東京都は5月20日、都内の約800万世帯を対象に今夏の4カ月間、水道の基本料金を無料にすると発表しました。物価高騰対策として光熱水費の一端を抑えること、そして、高齢者など電気代が高いからとエアコン利用をためらう方に、水道料金が抑えられた分でエアコンの利用を促すことがねらいだといいます。

■基本料金無料はインパクトがありわかりやすい

私は本連載でもたびたび、国は電気・ガスの基本料金を補助すべきだと訴えてきました。

なぜかというと、まず“基本料金無料”はインパクトがありわかりやすいから。東京都が今夏に補助する水道の基本料金は、給水管の口径によって月860~1千460円です。国の電気・ガス代補助と大きく変わらない金額なのに、東京都のほうが好評なのはわかりやすいからでしょう。

また、複雑な計算式が不要で、事務的な手間やコストが抑えられます。

自治体や事業者にとって大きなメリットでしょう。

さらに、払える能力に応じて負担を決める「応能負担」の原則にかなった方式だと思います。生活が厳しく電気・ガスの使用量が少ない家庭は、基本料金が無料だと料金負担全体が軽くなり、他方、生活に余裕があり電気・ガスをたくさん使う家庭は、基本料金以外の使用量による料金を使った分だけ払うことになるからです。

ただ近年、基本料金のない電気料金プランも出てきました。電気・ガスの補助で基本料金無料はもう打ち出せませんが、「一律月2千円補助」など全世帯一律の定額補助はいかがでしょう。負担がいくら減るかがわかりやすく、「その分エアコンを多めに使ってもいいかな」という安心感につながりやすいと思うのです。

6月22日の東京都議会議員選挙、7月下旬の参議院選挙を前に、どちらの補助も選挙対策でしょう。それらを踏まえたうえで、私たちの困りごとに真摯に向き合ってくれる政治家に一票を投じましょう。

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