「夏場に女性がめまいを感じる原因として、発汗によって生じる脱水や電解質(ミネラル)バランスの乱れが挙げられます。それにより、血圧低下や血流不足が起こり、ふらつきや立ちくらみなどを招きやすくなります。
こう話すのは、恵比寿からだとこころ代表で鍼灸師の松原麻実さんだ。松原さんによると、めまいには更年期症状や耳の異常(内耳性めまい)も関係しているという。
「更年期は、女性ホルモンの減少が自律神経の乱れや血圧の変動を引き起こすことがあります。また、耳は私たちの平衡感覚をつかさどる働きをしているため、耳のトラブルは頭痛やめまいを招くのです」(松原さん、以下同)
梅雨から夏にかけては、気温と気圧の変化による体への負担が大きい。そこで、松原さんが推奨しているのが「つまようじ療法」だ。
「20本のつまようじを輪ゴムで束ねて、鍼を作ります。その先端で皮膚表面をトントンと軽くたたくのがつまようじ療法です。血流が促され、細胞が活性化し、硬くなった筋肉がほぐれます。
また、ツボを刺激するため『経絡』の通りがよくなります。経絡は東洋医学で気の通り道とされ、全身の臓器につながっているため、その通りがよくなれば、各種器官の機能も高まるのです」
つまようじ療法は、鍼灸治療で用いられる「梅花鍼」(太めの鍼を束ねて皮膚に接触させる“刺さない鍼治療”)を応用したものだ。
つまようじ療法がめまい改善に効果を発揮するのが、頭頂部への刺激だという。
「頭頂部にある『百会』には、多くの経絡が集まっています。
松原さんが担当した患者さんも効果を実感しているという。
「60代の女性は、朝の目覚めが悪く、日中は周囲がグルグル回るようなめまいに悩んでいました。つまようじ療法を実践したところ、次第に寝つきがよくなり、めまいも起こらなくなりました。
また、パソコンを使った仕事が多いせいか常に頭が重く、立ちくらみやめまいに悩む50代女性がつまようじ療法を6日ほど続けたところ、症状が改善しています」
目安として、1週間続けると、変化を実感する人が多いという。
自宅にあるもので頭をトントンするだけ。手軽に実践できるので、ぜひ一度お試しを!