日ごろ、手の指に比べて状態を確認する機会があまりない足指だが、重心を安定させて姿勢を保つなど、体のゆがみを整えるうえで重要なカギを握る。その足指を回すだけで、腰痛やひざ痛、冷え、しびれなどが改善するメソッドがあるという。
2万人の足をケアして、この「足指回し」を考案、成果を上げているのが、足の指まわし協会代表のYUKARI(西ゆかり)さんだ。
「私が足指に着目したのは、18年前です。ピラティスのインストラクター資格を取得したばかりのころでした。
その後、ヨガのインストラクター資格も取得しましたが、ピラティスもヨガも地に足をつけて体を安定させます。そのため、準備運動でよく足をほぐしていました。このとき、足指を回すと、より足が地に吸い付く感じが得られることに気づいたのです」(YUKARIさん、以下同)
試しに念入りに足指回しを続けたところ、足の血行がよくなり、ひどい冷え性も改善。さらに角質でガサガサだった足の裏がツルツルになったとYUKARIさんは言う。そこで、指を含めた足について勉強を開始し、解剖学も学び、現在の足指回しを開発した。
足指回しは、その名のとおり、足の指を1本1本回すだけの簡単なセルフケアだ。
「足の裏がきれいになるだけでなく、何より腰痛やひざ痛、股関節痛、肩や首のこり、むくみ、冷え、尿もれなどの不調が改善するのです。また、姿勢もよくなり、ダイエット効果も得やすくなりますね」
人体を台車にたとえると、車輪=足、荷台=股関節と骨盤、荷物=上半身になるとYUKARIさんは言う。車輪がゆがんでガタつくと荷台もガタガタし、荷物は崩れ落ちてしまう。
「人の体も足が不安定だと股関節や骨盤周りにゆがみが生じます。すると、上半身でバランスを取ろうとするため、さらにゆがみます。このゆがみが腰痛やひざ痛など多くの不調の原因となるわけです」
足指回しを習慣にすると、足裏の3つのアーチ(親指と小指をつなぐ横アーチ、親指とかかとを結ぶ内側縦アーチ、小指とかかとを結ぶ外側縦アーチ)が整い、足のクッション機能が高まる。さらに親指、小指、かかとが地面に接するため、足元が安定する。
「足元が安定するとそれまでバランスを保つために力んでいた足首や筋肉、太ももの裏側の筋肉がほぐれるのです。その結果、足首と連動する股関節の動きがよくなり、骨盤周辺のゆがみが改善されて筋肉もアップ。下半身の土台が安定し、さまざまな体の痛みやこりが改善するのです。また、足指回しが尿もれにもいいのは、股関節が整うからです」
自分の足の不調を知りたい場合は右下のチェックをしてみてほしい。1つでも心あたりがあるなら、今すぐ足指回しを始めてみよう。やり方は、イラストを参考に。
足指回しを続けることで、足の状態の変化を感じやすくなる。毎日、5分ほどやってみよう。
■寝る前に行えば、下半身が温まり、夜間頻尿も改善
YUKARIさんが指導したケースの中で劇的に改善した実例は数多い。
「私の生徒さんの1人は、90代のお母さまの足指を回してあげていました。1日5分ほどですが、1カ月過ぎたころには杖を使わず歩けるようになったのです。現在、お母さまはご自分で足指回しをされています。体調もとてもよいそうです」
ほかにも、90代の男性は、片足で立てず、足踏みもできない状態だったのだが、足指回しを習慣にしたところ、1カ月で足踏みができるまでになったという。
「現在58歳の女性は、ずっと家での仕事(デスクワーク)をしていたため、ふだんからほとんど歩くことがなかったそうです。
そのせいか、猫背気味になり、ほんの少し歩くだけで足が痛くなったり、腰痛が出がちだったのです。それが、足指回しを根気よく続け、始めて1年で山歩きもできるほどになり、とても喜ばれています」
下半身が安定すれば、上半身の力みも消え、ゆがみが解消し、血液やリンパの流れもよくなる。猫背も改善するため、胸が開いて呼吸も楽になる。
また、寝る前に行えば、下半身が温まるため夜間頻尿の改善も期待できるのだ。
さあ、あなたも足指回しで一生歩ける健康な体を手に入れて。
【PROFILE】
YUKARI(西ゆかり)さん
足の指まわし協会代表。著書に『下半身が変わると人生が変わる! すごい足指まわし』(永岡書店)ほか。