7月20日投開票の奈良市議選に無所属での出馬を表明している元迷惑系YouTuberへずまりゅう(34)と、“100日後に辞める市議会議員”としてSNS上で話題の“奈良市最年少議員”との応酬が注目を集めている。

へずまといえば、YouTube上に数々の迷惑行為を撮影した動画で知名度をあげたが、コロナ禍の’20年に会計前の刺身のパックを売り場で食べるといった行為で窃盗や威力業務妨害
の罪に問われたこともある人物。

最高裁が上告を棄却したことで’22年3月に「懲役1年6カ月、保護観察付き執行猶予4年」の判決が確定した。そんな執行猶予中のへずまだが、今年1月20日、Xで《奈良県民になりました》と報告。奈良市の住所が記された住民票の写真を投稿した

「’24年7月に奈良公園で“何者かが鹿を蹴る”様子が映された動画がSNS上で拡散し、問題となりました。それを受け、へずま氏は昨年から鹿を守るために奈良公園をパトロールしているといい、頻繁に鹿との写真をXに投稿しています。

鹿を手で払ったり、“鹿せんべい”以外の食べ物を与えている外国人に“注意する”など、鹿を守る活動をしているといいます。鹿への暴力や不適切な餌付けは確かに問題ですが、へずま氏はいきなりカメラを回しながら外国人観光客を怒鳴りつけた上、顔写真もモザイクなしでSNSに投稿するため、警察が駆けつけるようなトラブルも度々起こしています」(スポーツ紙記者)

そして、へずまは6月20日、Xで奈良市議選への出馬を突如表明。《日本を良くする為に悪い政治家を内部から告発し誰よりも国民に寄り添うことを誓います》と決意を述べた。

そんななか、へずまに“宣戦布告”したのが、日本維新の会の山岡としき奈良市議(32)だ。山岡氏は25日までに、Instagramに《迷惑系YouTuberがやばすぎるwww》と綴った上で、批判動画を投稿。

山岡氏は動画のなかで、「中国人よりお前が出ていけ!」とジャケットを投げ捨て「最近、奈良が悪い意味で盛り上がっています。原因は害悪系YouTuberへずまりゅう。現役の奈良の議員として許せません!」と宣言。

続けて「『鹿さんを守る活動』と言いながら、異常なまでの中国人叩き。お前の方が迷惑だからな?」と、へずまの言動を批判し、「奈良のブランドが落ちるので、本当にキレてます」と、コミカルな映像とともに怒りを訴えた。動画の最後は「へず馬が鹿でバズ狙い? まさにバーーーーー」と攻撃していた。

これに対して、へずまはXで24日、《皆さん助けて下さい》と現職議員から《嫌がらせ動画を出されました》などと訴え、《外国人問題にも取り組んでいます。なぜ日本人である自分の妨害をするのか?》などとフォロワーに呼びかけた。その後も、《選挙妨害》《維新って本当にヤバいんですね》などとXで繰り返しており、応酬が続いている。。

いっぽう、山岡氏のInstagramのコメント欄には《品性の欠片もない》《完全に中国人の方が迷惑》などと批判が殺到している。そして、山岡氏は26日に自身のYouTubeチャンネルで「へずまりゅうさんとの一件について」と題した動画を投稿し、今回の経緯などを釈明した。

SNSで「議員が個人を攻撃するなんて」などと批判を受けたといい、冒頭で「へずまさん、及び動画をご視聴いただいて不快に思われた全ての方々にお詫び申し上げます」と謝罪。さらに、へずまの発信力や影響力に感心していて「鹿を守りたい」という気持ちには「共感していた」と発言。

一方で、「どうしても見過ごせないことがある。

それは“嘘”をつくということです」と、へずまが次の市議選に出馬することもあり、“嘘”は放置できないと主張。

昨年7月の鹿の暴行動画をきっかけに鹿への加害行為などを禁ずる条例ができたことを、へずまが「自分が奈良にきたから行政が動いた」と主張していることを挙げ、「これはへずまさんが来られる前にすでに動き出しているので、明確な誤情報である」と指摘。へずまの《奈良公園の皇宮警察から活動応援していますと言われました》というXの投稿についても「奈良公園には皇居警察というものは存在しません」と話した。

さらに、嘘だけでなく実害を引き起こしているとも説明。へずまがXで投稿するたびに、奈良県庁や市役所などに「奈良の現場を知らない県外の方々から」問い合わせや苦情が殺到するといい、「その電話対応で普段の業務が完全に止まってしまう」ことが問題であり、「結果的に奈良市民にも大きな損失」だと訴えた。

いっぽうで「私の発信の仕方にも炎上チックになってしまったので反省すべき点はあったと思います」と批判の対応に追われた職員にも謝罪した。

また、へずまが「悪質な中国人観光客に対して大声で怒鳴ったり、晒し上げたりする動画を投稿」していることをあげ、一部の迷惑な外国人旅行客を擁護するつもりはないと明言。

ただ、そういった観光客は本当にごく一部であり、「ほとんどの中国人観光客の皆様はとても礼儀正しく、奈良を楽しんでいらっしゃいます」といい、「ところが、へずまさんが大声を出したりすることで、奈良への旅行をやめたと、奈良公園が怖くなったと、日本人の方からも海外の旅行代理店からもそういった声が届いてしまっている」と報告。「これは奈良というかけがえのない場所のブランドを著しく傷つける行為である」と訴えた。

さらに、一部の国籍の人を「ひとまとめにして排除するやり方というものは人種差別につながって」国際問題になりかねないとも指摘。迷惑行為は許されないが、それを除けば長年「奈良の町は穏やかに平和が保たれてきた」といい、「それは誰が声を荒げたからではなく」現場が「地道に静かに誠実に」鹿や地域の人、観光客と向き合ってきたからだと話した。

また、奈良公園を管轄する奈良県の県議ではなく、奈良市からへずまが立候補することについても「どうしても話題作りのために奈良を利用してるのではないかなと映っています」と述べ、「鹿を守りたいという気持ちが本当なら」意思を尊重するし、実際に守れている部分には感謝するが、「嘘をついて人を煽って、行政を混乱させて奈良を守っていくのはまた違うところもある」と指摘。

「どうかこの大きな大きな影響力を、分断ではなく、対話のために使ってほしいなと思います」と締めくくった。

宣戦布告の真意を明かした山岡氏。果たしてへずまに届くだろうか。

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