さわやかな水色のセットアップをお召しの愛子さま。出席者たちにほほ笑みながら着席された――。
6月24日午後、皇居・宮殿の「連翠」にお出ましになったのは、天皇皇后両陛下、秋篠宮ご夫妻、そして愛子さまと佳子さま。日本芸術院賞受賞者らを招いた茶会が催されたのだ。
いつもと変わらぬご様子でいらした天皇ご一家だったが、実は深い悲しみに暮れられていた。
「前日の23日の夕方、ご一家の愛犬として知られる、由莉が旅立ったのです。16歳4カ月という高齢で、お三方で最期を看取られたそうです」(皇室担当記者)
学習院初等科の卒業文集に収録された愛子さまの作文『犬や猫と暮らす楽しみ』には、次のような一文がある。
《成犬となった今も、子犬の時と同じように、家族が帰って来ると、しっぽを振りながらおもちゃをくわえて走り回り、喜びを表現しようとしています》
人生の3分の2をともにした家族を失った愛子さま。だがお茶会では、そのほほ笑みに一点の陰りも見せられなかったという。
皇室番組を長年手がける放送作家のつげのり子さんは、お茶会での愛子さまと佳子さまのご様子についてこう語る。
「愛子さまがお茶会で明るく話されているお姿を見て、同席されていた佳子さまもお元気を取り戻されたようにお見受けしました」
愛子さまが初めて宮中茶会に出席されたのは昨年11月、文化勲章受章者と文化功労者を招いた会だったが、そのときも佳子さまとペアを組まれていた。
佳子さまは今回のお茶会の前日に武蔵野陵を訪れ、ブラジルへの公式訪問を終えたことを報告される予定だったが、めまいの症状など、ご体調が優れず、参拝を取りやめられていたのだ。翌日のお茶会へのご出席も心配されていたのだが……。
「日本芸術院賞受賞者たちとのお茶会では、愛子さまはご体調を崩されていた佳子さまのことを気遣われていたでしょう。
その愛子さまと佳子さまは、招待者との会話に間があくと、お二人ともあうんの呼吸で質問されるなど、高いコミュニケーション力をお持ちになっていると感じます」(前出・つげさん)
■富野監督を笑顔にさせた一言とは――
ご公務先、園遊会やお茶会でのご経験を積まれ、会話術も日増しに上達されている愛子さま。つげさんは、愛子さまの社会人としての日々も、その一助になっていると考えているという。
「日本赤十字社に入社されて2年目になります。昨年度も職場で多くの人とコミュニケーションをとられてきたでしょうし、4月からは新入社員に教えるお立場にもなられたでしょう。そういった言葉のキャッチボールを続ける日々のなかで、相手が何を考えているかを推察し、さらに相手が胸に秘めている思いを引き出す能力を培われたのだと思います」
そんな愛子さまの劇的なご成長を間近で感じたであろう人物がいる。招待客の一人であるチェリストの堤剛氏だ。
堤氏は陛下や上皇ご夫妻と長年、音楽を通じて交流しており、家族ぐるみのつきあいでもある。また昨年11月には文化勲章受章者として、お茶会に出席しており、当時本誌にこう語っていたのだ。
「愛子さまを小さなころから存じ上げておりますけれども、失礼な言い方かもしれませんが、本当に素晴らしい女性に成長されたと、第一に感じ入りました」
今回、愛子さまは陛下の“音楽仲間”である堤氏には、「楽しみにしておりました、お久しぶりでございます」と、挨拶された。
宮内庁関係者によれば、
「82歳の堤さんは、昨年暮れに関節炎を発症。2月には公演を中止し、5月末までの活動休止を発表していたのです。
堤氏と同じテーブルには、『機動戦士ガンダム』で知られるアニメーション監督の富野由悠季氏もいた。
「愛子さまが、ガンダムについてお尋ねになると、富野監督は宮﨑駿監督について話し始めたそうです。富野監督の真意は定かではありませんが、同年代でアカデミー賞も受賞している世界的名匠のことを強く意識していたのでしょう」(前出・宮内庁関係者)
富野監督はインタビューで過去にこう語っている。
《「(宮﨑監督のことは)同世代だから意識はします。かつて一緒に仕事をしたこともありますし、バカにされたこともある立場の人間ですから、嫌でも意識はします》(「ORICON NEWS」’17年10月15日配信)
対面する前に、お相手について入念に予習をされている愛子さまは、笑顔でこう富野監督にお話しになったという。
「どちらも影響を与えられて……」
前出の宮内庁関係者は、
「愛子さまは、富野監督の宮﨑監督への複雑な心境をご存じだったのか、もしくはお感じになられたのかもしれません。
両監督がお互いに影響を与えている“対等な関係”であることを強調されたのでしょう。
気難しいとも言われている富野監督が、お茶会では上機嫌だったそうですから、まさに愛子さまのファインプレーですね」
日増しに接遇術に磨きをかけられている愛子さま。そのご機転で、どんなテーブルにも満開の笑顔の花が咲き続ける。