「コロナ禍以降、感染症のリスクも気にかかり、自然災害による交通機関の遅延や欠航、高速道路の規制も増加しています。国内旅行でも、場合によっては保険を検討する必要がありそうです」

そう話すのは、旅行ジャーナリストの村田和子さん。

これまでの旅行では万が一に備え、海外旅行保険とクレジットカードの付帯保険で済ませてきた。

しかし、年初の海外旅行は、旅行を取りやめたときのキャンセル費用に備える「キャンセル保険」を初めてかけたという。

「航空券が変更不可なチケットで、宿泊は航空券とは別に手配、現地ではクルーズにも乗船予定でした。

もし旅行当日に空港までの交通機関がストップしたり体調不良などで出発できないと、連鎖的にすべての予約がムダになってしまう。また、冬場で感染症が流行していたのも大きな理由です。

キャンセル費用を考えると、保険をかけたほうが安心だと判断しました」(村田さん、以下同)

■予定の見えない段階での予約など不安要素に対応

補償対象になるキャンセル理由も幅広くて驚いたという。

キャンセル保険にもよるが、急な病気やケガ、当日の交通機関の遅延や運休、自分だけでなく家族やペットの入院、急な出張、参加を予定していたイベントの中止などの理由も含まれることが多い。

とくに夏場は、集中豪雨や線状降水帯が発生しやすく、台風のリスクもある。

さらに、外国人旅行客が増えたことで、急な予約が取りにくく、旅行予約の早期化が進んでいる。

「予定が見えない段階で旅行を手配すればキャンセルのリスクは高まります。

私の場合、親が高齢になり、急な体調不良の呼び出しがあるかもと旅の計画を躊躇することも。行けないときの備えをすることで、旅への一歩を踏み出すきっかけになり、不安からも解放されます」

キャンセル保険のように、一般の保険ではカバーしきれない特化したリスクに向けた「ミニ保険」がある。

ミニ保険とは「少額短期保険」を指す。保険金額の上限が1千万円以内、保険期間は2年以内と規定されており、保険の種類に応じて保険金額の上限も詳細に定められている。

少ない保険料で、レジャーをする当日だけなど短期でかけられるのが魅力だ。

スマートフォンやコンビニからなど簡単に申し込めるものも多い。

ここ数年で加入者が増加しているのが、熱中症による通院や入院をカバーする「熱中症保険」だ。PayPay保険サービスによれば、今年度の加入件数は、サービス開始以来最速のペースで3万件を超えたという。

保険料は1日100円からで、熱中症の診断で医師から点滴治療を受けると、治療保険金1万円、重症で1泊2日以上の入院をした場合は、3万円の入院保険金が支払われる。

「旅行先では、いつも以上に気持ちがハイになりやすい。予定をつめ込みすぎて、気づいたら熱中症一歩手前なんてことも。

夏の旅行は涼しい時間帯を有効活用するとよいです。定期的な水分補給と塩あめ、帽子や日傘を活用するなど熱中症対策を万全に」

対策をしたうえで夏の間は熱中症保険をかけておくと安心材料のひとつになりそうだ。

旅行することが多い村田さんは、「スマホ保険」にも加入している。

「カメラ機能で写真や動画を撮る機会が多くなるため、落として破損する恐れがあります。海や川へ行くレジャーなら水没のリスクも。絶景の風景の中や動物園でスマホを落として嘆いている観光客を見たこともあります……」

ほかにも、屋外でのBBQやピクニック、キャンプなど食がらみのレジャーに行く日に頭をよぎるのが、食中毒の危険性。

医療保険の未加入や入院・通院の特約をつけていないなら、ミニ保険で備えておくのも手だ。

60歳女性なら保険料1日125円で、入院時に5万円、通院で日額千円を補償する。

また、登山や山菜採りなどのアウトドアでは、スズメバチなど毒を持つ危険な虫に刺されたり、高山病などで体調を崩す人もいるだろう。

現在加入している保険の内容を確認し、足りない部分を補うように検討してみよう。

「旅行の計画段階で心配事が増え、旅へ行く気持ちがふさぐことがあります。それなら保険を検討し、いざというときも困らないという安心感を得れば、気持ちよく旅行に出掛けられるはずです」

■楽しみにしている夏のレジャーを台無しにしない

海外旅行やクルーズ船の旅では、病気やケガをしたときの医療費が高額になるため、旅行保険は必ずかけてほしいと村田さんは忠告する。

日本発のクルーズならキャンセル補償がついたミニ保険もある。

楽しみにしていた旅行が中止になっても、受け取った保険金で再計画ができそうだ。

ただし、予約から7日以内など保険に加入できる期間が決められているため注意が必要。

また、「気が変わった」などの自己都合によるキャンセルは補償対象外だ。

「旅行ではどれだけ準備をしていてもトラブルは発生するもの。それも含めての旅ですが、金銭的・体力的なダメージはあるので、事前に必要に合わせたミニ保険を検討するのもいいでしょう。あれもこれもと保険をかけると高額になるため旅行代金や費用対効果をしっかり検討する必要があります」

夏のレジャーのトラブルは、ミニ保険で備えて、後悔しないように楽しもう♪

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