「NHKの7月人事で、音楽畑のベテランプロデューサーや古株のディレクターが、NHKが地方に設けている放送局から東京に異動となりました。経験豊富な制作陣に入れ替えたのは例年にはない動きです」(音楽関係者)
今年の3月にNHKは、前身である社団法人東京放送局の開局から数えて、100年の節目を迎えた。
“次の100年”を作っていく若手職員を登用せず、東京に音楽畑のベテランたちが集められたのには理由があるようだ。
「年末の『NHK紅白歌合戦』のためだといわれています。放送100周年の節目の年に紅白を成功させるのは至上命題。
このため、人気アーティストや、各レコード会社にパイプがあるスタッフたちが東京に戻ってくることになったのです。例年どおりでしたら7月中にも紅白のスタッフ態勢が固まり、出演交渉を始めます」(前出・音楽関係者)
’25年の紅白はいったいどういったものになるのだろうか。
「去年の紅白で、THE ALFEEや、南こうせつさん(76)とイルカさん(74)などのレジェンドアーティストの企画が好評でした。
今年は、放送100周年をメインテーマに据えて、一時代を築いた松田聖子さん(63)や、中森明菜さん(60)、中島みゆきさん(73)などのスターたちをキャスティングしたいと考えているそうです」(前出・音楽関係者)
なかでもNHKが最優先で起用を目指す超大物歌手がーー。
「小田和正さん(77)です。昨年9月に喜寿を迎えましたが、現在、全国13カ所を回るアリーナツアーの真っ最中で、7月9日、10日にはさいたまスーパーアリーナを満員にしました。
ツアーファイナルは10月1日の横浜アリーナを予定しています」(前出・音楽関係者)
’70年にオフコースのリーダーとしてデビューした小田は、’79年に『さよなら』、そしてソロとしても『ラブ・ストーリーは突然に』などヒット曲を連発。今も日本の音楽シーンの第一線で活躍している。
「’80年代は、『ザ・ベストテン』(TBS系)などの音楽番組全盛期でしたが、オフコースは音楽番組に出演しませんでした。
その一方で、’82年に、日本武道館公演に密着したドキュメンタリー番組を放送。’84年にはお笑い番組『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)に出演しました」(芸能関係者)
音楽番組と距離を取っていたのには理由があるようだ。’24年12月24日に「朝日新聞デジタル」で配信されたインタビューで、こう語っていた。
「昔、仙台で学生でいたころは、テレビにも出てたりしたんだけど、なんか嫌なことが多かったのね。要するに、出してやっている、みたいな扱いをたくさんされて」
国民的音楽番組である紅白にも、小田は一度も出演していない。
「そもそも小田さんは音楽番組に対して、『大事に扱ってくれない場所』という印象を抱いたことがあったといいます。
紅白に関しては、以前、親交のある後輩バンドの初出場が決まった際に、小田さんは『君らは紅白に“偏見”はないのか』と言ったと報じられました。
実際、NHKは何度も紅白のオファーを出しているそうですが、小田さんが首を縦に振りませんでした」(前出・芸能関係者)
■アーティスト同士が認め、愛し、尊敬する
そんな小田だが、唯一出演していた音楽番組がある。
「’01年に“アーティスト同士がお互いを認め、愛し、尊敬すること”をコンセプトとした音楽特番『クリスマスの約束』(TBS系)がスタートしました。このコンセプトは小田さんの発案だといわれています。
’24年に最終回を迎えるまで、小田さんは信頼のおけるスタッフととともに、曲の選曲やアレンジ、リハーサルなどに時間をかけ丁寧に作り上げてきました。
毎回、収録が近づくと、『クリスマスの約束』の準備にかかりきりになっていたといいます」(前出・芸能関係者)
’24年12月に放送された最終回で、小田は番組を終了する理由について、「『クリスマスの約束』を楽しみにしていますと言ってもらえるうちに、番組を終えることにしました。
B’zがデビュー36年にして初出場し、大きな話題を呼んだ昨年の紅白。年末のスケジュールが空いた“アンチ紅白”の小田に、NHKが血眼になってアプローチをかけているという。
「NHKは小田さんをたびたび起用し、距離を縮めています。’17年にインタビュー番組、’19年と’23年にツアー密着のドキュメンタリー番組でNHKに出演。’22年のドラマ『正直不動産』では主題歌を担当していました。同作は’26年に映画化されることも発表されています。
実は’17年のインタビュー番組と、’19年のツアー密着ドキュメンタリーは、アナウンス室の制作でした。音楽畑のスタッフだけでなく、アナウンス室の小田さんとのパイプも使いながら、NHKが一丸となって動いているそうです」(前出・音楽関係者)
今年でデビュー55周年を迎えた小田。『NHK紅白歌合戦』への初出場は突然に!?