7月20日に投開票が行われた参議院選挙。自民・公明両党が過半数を割る大敗を喫し、新興政党である国民民主党や参政党の躍進が目立った。

当日はテレビ各局で選挙特番が組まれ、テレビ朝日では午後7時54分から深夜0時の約4時間にわたって『選挙ステーション2025 & 有働Times』を放送。番組中盤で参政党・神谷宗幣代表(47)と中継をつないだインタビューが実施され、大越健介キャスター(63)と激論を交わす一幕があった。

今回の参院選で「日本人ファースト」をキャッチコピーに掲げた参政党をめぐっては、神谷氏が選挙期間中に街頭演説で発した言葉がたびたび物議を醸していた。投開票直前の18日にも朝鮮人を差別する言葉を使用し、その場で訂正したものの批判の声が集まっていた。

大越キャスターは「これまでの選挙戦で非常に多くの方を引き寄せたいっぽうで、反発を浴びた発言もありました」とし、神谷氏が今月3日の街頭演説で「高齢の女性は子どもが産めない」「人口維持には若い女性に子供を産みたいという社会状況を作らないといけないが働け働けとやり過ぎた」などと発言したことに言及。

大越キャスターが「なぜ反発を招いたと思いますか?」と投げかけると、神谷氏は「それが正しいと思い込んでいる人が結構いたからじゃないでしょうか。私は(発言を)訂正する気も、謝罪する気も一切なくてですね。当たり前のことをしっかり問題提起したと思ってますので、国会でも引き続き同じテーマで訴えていきたいと思います」とコメント。

だが、神谷氏の「当たり前」発言に引っかかったのか、大越キャスターは「私の見立てですけれども、この発言、“女性というのは子供を産んで、家に入って子育てに専念すべき”だという固定観念に縛られているのではないかなという風にも聞こえました」と疑問をぶつけた。

すると神谷氏は笑顔を浮かべながら、次のように否定。

「違いますね、それは私は何回も否定してますし、うちの妻も働いてますし。私は男性が家庭に入ることも全然オッケーだという感じなので。

かなり私はその辺はニュートラルですから、男尊女卑的っていうのはちょっと語弊があると思いますし、それはイメージが作られているなと思います」

それでも大越キャスターは追及の手を緩めることなく、「つまり取り消しもされないし、謝罪もされないということですけれども、正しく理解されないんであれば、もうちょっと説明が必要なんじゃないですか?」と提起。

神谷氏が「そうですね……」と答えようとするも、大越キャスターは「心の領域に入り込む問題なので」としつつ、神谷氏の発言について「そのメッセージというのは非常にネガティブに響いて、ときによってある人を傷つけるかもしれません。それはどう思いますか?」と一息に問いかけた。

これに対して神谷氏は「でも、何を言っても誰か傷つく人はいますね」とし、「1億2000万人すべての気持ちに寄り添っていると何もなくなってしまうので、それはある程度、リスクも覚悟のうえで政治家は発言していく必要があると思っています」と回答。

大越キャスターが「リスクを覚悟の上と仰いますけれども、政治家の発言というのは、そうしたリスクも配慮して発言をしていくっていうのが大事なんではないですか?」と異論を呈すると、神谷氏はこう述べていた。

「配慮しすぎて政治家の発言が削られて、何言ってるかわかんないというようなところに国民は不満を持っているので。少し反発があったとしてもですね、私は別に高齢女性を差別する意図は全くないですし、生物学的に高齢になったら女性は子供を産めなくなるんですね。男性はもとから産めませんしね。そういったことをただ説明しただけなので、それは傷つくからって言われても私は困ってしまうなと思っています」

自らの考えを堅持した神谷氏に、大越キャスターは「神谷代表の仰ることというのは、なかなかこれまで言えないことをスカッと言ってくれると。非常に溜飲が下がるんだという支持者の方がたくさんいらっしゃいました。これは非常に政治家として大事な資質じゃないかと思います」と評価。

しかし、「ただ、そうなると少し過激な発言の連続になりやしないかという懸念を感じたんですけれども。

そういう懸念をいっぱい受けたと思うんですね。その辺どう思っています?」と詰め寄った。

神谷氏は「自分が間違えた発言をしたなと思うときは訂正もしてますし、謝ることもします。ただ、先ほどのように違う解釈をされると、『いや、それは違いますよ』ということをちゃんと言っていかないといけないと思うので。それはケースバイケースで柔軟にやりたいと思います」としつつ、発言には注意していく意向を示していた。

■大越キャスターが抱く神谷代表への懸念「国情が不安定になっていく」

大越キャスターと神谷氏の論戦は、この後も続いた。

大越キャスターが「ある種、歯切れの良い発言によって、人々のむしろ怒りとか不安とか、そういう負の感情に火をつける。それってある種のポピュリズムの主張じゃないかと僕は思うんです。ご自身、ポピュリストと言われていることについて、どう思いますか?」と問いかけると、神谷氏は「何も関心がない人に立ち止まって聞いてもらわないといけないわけですから、短くわかりやすい言葉でポンッと言わないと街頭活動は成立しませんので」と説明。

続けて大越キャスターから「トランプ大統領はお好きな政治家ですか?」と問われると、「人物が好きかどうかと言われると微妙ですけども、政策に関しては賛同できるところは沢山あります」と返していた。

神谷氏へのインタビュー終了後には、「あまり街頭というよりも、しっかり言葉を選んで話したいという風に仰っていました。ただ、短くPRする力を持つ発言をしていきたいということは、変わらないということでした」と総括した大越キャスター。

その上で、自身が抱く危機感をこう述べていた。

「私は正直、危惧をするのは、先ほど私が紹介した言葉であるとか、外国人に対する言葉についてですね、あれだけ反発の声が上がったという事実はしっかり受け止めていただきたいと思うんですね。『ポピュリズムじゃないですか?』というのはいささか失礼な質問だったかもしれませんけれど、やっぱりポピュリズムってこうやって広がるんですよね。

歯切れの良すぎる発言に対して拍手喝采が起こる、それは喜びとかそういうのではなくて、不満であるとか、怒りであるとか、そういうある種ネガティブな感情に火がつきやすいですよね。(中略)国情が不安定になっていくというのは、これまでも例がありますので、神谷さんには是非その辺りをしっかり認識して、これからの政治活動にあたっていただきたいという風に正直思いました」

インタビュー中は厳めしい表情で、容赦なく神谷氏を追及していた大越キャスター。視聴者のなかには大越キャスターが“怒っている”ように感じた人もいたようで、Xでは驚く声が上がっていた。

《大越さん、珍しく怒ってない? 自分も神谷氏の受け答え聞いてかなりイライラしてたけど》
《なんか、大越さん、神谷さんに対して厳しい。いつもの大越さんじゃない》
《大越さん絶対内心怒ってると思うわ あとここまでの怒りを感じながら冷静に淡々と進行を続けるのすごいと思うわ ほんとのプロだと思う》
《大越さん珍しく怒ってるなぁ》

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