「選択的夫婦別姓で戸籍制度が崩壊する」

7月3日公示、20日投開票の日程で行われた参院選。17日間の選挙期間中、物価高対策や外国人政策に加え、選択的夫婦別姓も参院選の争点に浮上するなか、このような主張がSNSで拡散された。

ここ数年、導入を求める声が高まっている同制度をめぐっては、立憲民主党、共産党、公明党などは賛成の立場を示しており、日本維新の会は今年5月の通常国会で「旧姓使用の拡大」に向けた法案を提出している。一方、今回の参院選で議席を大幅に増やした参政党は反対の立場で、神谷宗幣代表(47)は、「(導入によって)戸籍制度が複雑化する」などと選挙前から見解を述べていた。

そんななか、NHKが7月18日、《“選択的夫婦別姓導入で戸籍なくなる” SNSで根拠ない投稿拡散》と題した検証記事を配信。《戸籍制度は日本国民が生まれてから亡くなるまでの親族関係を登録し公証するもの》としたうえで、《制度が導入された場合であっても、戸籍の機能や重要性は変わるものではない》という法務省の見解を引用し、冒頭のような主張を否定した。

そんななか、この記事に異論をぶつけたのが、参政党所属の衆院議員・吉川里奈氏(38)だ。記事の中で参政党の名前が挙げられてはいなかったが、吉川氏は投開票日前日の19日に記事を引用リポストし、《“戸籍がなくなる“とは言ってない 賛成は25%、それ以外の国民が望んでないため、不要だと言ってます》と反応。

続けて、《お困りごとを解決する手当を考えましょう。ジェンダー平等、戸籍に縛られたくない方々の都合の良いように、法改正はさせません》と訴えると、以下のように締めくくった。

《我が国の最小単位は個人ではなく、家族なので》

吉川氏の発言からは“個人よりも家族が優先される”という意図が伺えることから、Xではこんな声が上がっていた。

《我が国の最小単位は個人ですよ 日本国憲法を読んだことありますか?》
《日本国憲法の最小単位は「個人」ですよ。勝手に変えないでください》
《日本国憲法を全く理解してない 個人の尊重が抜け落ちてますな 恐ろしすぎて草も生えない》
《最小単位は個人だからね 頑張って覚えようね》

というのも、日本国憲法第13条では、『すべて国民は、個人として尊重される』と明記されている。

「明治憲法下の民法では『家制度』が定められ、現行憲法の施行と共に廃止されましたが、これは個人の尊厳が優先されるべきという考え方に基づくものです。

なお、神谷代表は今年2月に公開された参政党YouTubeチャンネルの動画の中で、“家族は社会の最小単位のコミュニティ”と述べていましたから、吉川氏の認識はこちらとも矛盾しているようにも見えます。また日本には、様々な事情によって身寄りのない人もいますが、吉川氏はそうした人々をどう捉えているのでしょうか」(政治部記者)

なお、吉川氏は今年6月16日にもX上で、《もう一回言います。 選択的夫婦別姓は、 苗字だけの問題じゃないですからね。 社会の最小単位である家族よりも個人第一主義、 多数の国民よりも業界団体の声が最優先になっていますよ。質疑動画を見て下さい》と投稿している。

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