8月2日と3日に東京・中野で行われた「中野駅前大盆踊り大会」。今年で13回目の開催を迎え、中野の風物詩の一つともいえるイベントだが、その“前夜祭”として1日に行われていたイベントが物議を醸している。

問題となっているのは、1日にJR中野駅北口近くに位置する公園「中野セントラルパーク」で行われた「ピンク盆踊り」だ。開催場所は「中野駅前大盆踊り大会」と同じで、同実行委員によって1日の17時~20時頃まで行われていた。

「ピンク盆踊り」のチラシによると、当日は大手アダルトメーカー「SODクリエイト」所属のセクシー女優が複数参加。タレントのXを確認すると、会場には同社が所有するアダルトビデオ撮影用の車両「マジックミラー号」も搬入されていた。いかにも“ピンク尽くし”なイベントだが、チラシには、「中野駅前大盆踊り大会」の実行委員長名義で、こんな開催意図が綴られていた。

《最近、世の中から「ピンク」が少しずつ消えつつある気がしています。可愛らしさ、夢のようなときめき、そしてほんのりとした色気――それは、いつだって私たちの心をふっと暖めてくれるものでした。

しかしながら今は、ルールや正しさ、張りつめた空気に満ちた時代。そんな中で、ほんの少しでも「ゆるやかさ」や「遊び心」を取り戻せたら…。私たちは、そんな想いを込めてこの“ピンク盆踊り”を企画しました。

恋人同士でも、友達同士でも、もちろんご家族でも。是非、ナカボン前夜祭にお出かけください。

この日だけは、少し自由に。少し大胆に。桃色の想いを、踊りに託して》

Xでは参加者が投稿した映像が拡散されており、ステージ上ではセクシー女優たちが浴衣を纏い、“大人”な歌詞の音頭に合わせて踊っていた。ステージ前には多くの客が集まっており、イベントは盛況だったことが伺える。

なお、主にイベントが行われた中野セントラルパークの会場「パークアベニュー」は大手デベロッパー・東京建物が管理する民有地。いっぽう、パーク内には区有地である「中野四季の森公園」も含まれ、ここは東京建物が指定管理者に選定されている。

未成年も行き交う公共性の高い場所で、アダルトコンテンツが展開されたことをめぐって、Xではこんな批判が起こっていた。

《駅前の盆踊り、公式アカウントからピンク盆踊りだの、マジミラ号だのがボンボン投稿されてる。一生行かないし、子どもたちにも絶対行かせないと決めたよ。SODと提携するのは勝手だが、駅前や公園という公的な場所使って性消費コンテンツで騒ぐのはさすがにしんどい。》
《なんなの…ピンク盆踊りって…気持ち悪いんですけど何でこんなのがゆるされてるの…?》
《ピンク盆踊り、いま踊ってる動画見てきたけど、これはアウトだわ…。いかん、公共の場でこれはアカン…。

だって多分これR指定してなくて入場ガバガバだよね?》

こうした声を受けてか、中野区は8月8日、区長と東京建物代表取締役社長の連名で、《中野駅前大盆踊り大会前夜祭に対する抗議文》を区の公式HPに掲載。以下のように訴えるとともに、中野駅前盆踊り大会の実行委員会に対し、「マジックミラー号」に関連するすべてのSNS投稿を削除するよう求めた。

《当該イベントについては公序良俗に反する内容を想起させる演目等が含まれており、許可条件に反する行為となります。また、非常に公共性の高い空間である中野四季の森公園において、アダルトビデオの撮影用車両を無許可で設置したことは、公衆の利用に著しい支障を及ぼす行為であり、中野区および中野四季の森公園指定管理者として、看過できない重大な事態であると受け止めております》

なお、本誌が8月14日、公園の使用許可を管理する中野区の都市基盤部・公園課に対し、「ピンク盆踊り」が開催される前の段階で、実行委員会からどのような情報が共有されていたのかを問い合わせたところ、担当者からは以下のような回答があった。

「内容に関して(実行委員会による)記載がなかったので、区も指定管理者も知らなかったということになります。知っていたのは、前夜祭をやるということだけでした。また、前夜祭のメイン会場が中野区の公園の敷地ではなく、東京建物側の民有地『パークアベニュー』ということもあり、区に対する使用申請の中には、そもそも(前夜祭の内容に関する)記載がありませんでした。

なお、車両(マジックミラー号)が設置されたのは区有地の公園ですが、車両を設置するという申請はなく、区として把握することができませんでした。車両が設置されていたことに対し、苦情の声はいただいておりました」

また、中野駅前盆踊り大会は、中野区が後援としてバックアップしている。今回の前夜祭をめぐる騒動を受け、今後も後援を続けるのかを、文化振興・多文化共生推進係に問い合わせており、回答があり次第追記する。

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