「来場者や関係者に多大なる迷惑をおかけしたことをお詫びする」
8月14日、こう謝罪したのは大阪メトロの交通事業本部長である堀元治氏。前日、大阪メトロ中央線では、送電線の不具合により一時全線で運転を見合わせた。
「原因はコスモスクエア~大阪港間で、電車を運行するための送電レールが停電したこと。約8時間後に復旧しましたが、万博協会によると約3万人が帰宅の際に足止めを食らい、多くの人が会場やその周辺で一夜を明かすこととなりました。
SNSでは『オールナイト万博』と言われ、NTTパビリオンなど各パビリオンが臨時で休憩所として開放されることに。また各国のパビリオンも開放され、たとえばポルトガル館ではスタッフらがダンスを披露。ビールの販売もあり、非常時の万博の雰囲気を楽しむ人たちもいました」(全国紙社会部記者)
そんな“オールナイト万博”の最中である午前0時ごろ、大阪府知事であり、大阪万博の理事でもある吉村洋文氏(50)はXで《現在、夢洲万博会場におられる皆様へ まず、このような状態になっていますことを心からお詫び申し上げます》と謝罪し、万博会場や交通機関の状況を伝えた。
また、午前1時ごろには、《災害時と同様の対応をとることとし、現在、会場内におられる方に、水や食料等の物資を配布するように致します》と報告。その後もXを繰り返し更新し、施設開放やパトロール強化の情報などを発信し続けた。
そのいっぽうで、吉村知事は“オールナイト万博”中と見られるXユーザーの“ある投稿”をリポストした。その投稿では、非常時の対応として、ビールを販売したポルトガル館や、お菓子のプレゼントをおこなったドイツ館などへの感謝が述べられており、《大変な目に遭ってる人が居る中、不謹慎だけど、超楽しい♪》と綴られていた。
すると、吉村知事がこの投稿をリポストしたことがXで物議を醸した。
《昨晩、吉村知事がこれをリポストしたのが信じられないんですよね》
《万博オールナイトで楽しければいいじゃんって、体力ある若者がはしゃぐのはいいと思うけど、お年寄りや子供が大変な中で吉村知事がそれをリポストするのはダメだと思うぞ》
《投稿をした方が大変な状況を「ご機嫌」とか「超楽しい」と思うのは悪くないですが、吉村洋文大阪府知事が、それをリポストしちゃ駄目でしょう》
しかし、前出の全国紙社会部記者はそのリポストには“前段”があると指摘する。
「“オールナイト万博”では非常事態を楽しむ人もいましたが、深刻な状況を楽しめる人ばかりではありませんでした。実際、36名もの方々が熱中症などの疑いなどで体調不良を訴え、救急搬送されています。
搬送されなかったとしても体力的に厳しい人もおり、現地では『早く帰りたい』という声もあがっていたといいます。そんな状況だったので、吉村知事が《楽しい》と綴られた投稿をリポストしたことを“不適切”だと捉える人もいたのでしょう。
しかし、吉村知事はこのリポスト以前に、各国のパビリオンに対し、施設開放への協力を呼び掛けています。その後は、海外パビリオンの開放状況が分かる写真付きの投稿を中心にリポストしており、問題となっている投稿はその中の一つです。
一連のリポストは、帰宅困難になってしまった来場者に“生”の情報を共有することが主目的だったのだと思います。そのため、細かい文言よりも情報の分かりやすさやスピードを優先して、リポストする投稿を選んだのでしょう。当該投稿には動画も添えられており、ポルトガル館の混雑状況が一目でわかるものでしたからね」