8月13日、自身の“学歴詐称疑惑”をめぐって、静岡・伊東市議会の特別委員会(百条委員会)に出頭した田久保眞紀市長(55)。ただ、今回の証人尋問で明らかになった事実は何一つなく、いまだ騒動の終わりは見えない。
「市の広報誌に記載されていた『東洋大学法学部卒業』という田久保氏の経歴が“虚偽”だとする告発文書が、今年6月初めに市議会に届けられました。そして、田久保氏が6月28日に東洋大学に出向き、大学側に確認を行った結果、『除籍』されていたことが判明。しかし、本人としては卒業しているという認識だといい、卒業証書も所有していると主張しています。
その卒業証書を公にすれば、騒動に決着がつくのですが、田久保氏は公職選挙法違反で刑事告訴されており、“訴追につながる恐れがある”として頑なに提出を拒んでいるのが現状。今回の百条委員会でも、同じ理由で提出を拒否しており、証人尋問では『(東洋大に確認して初めて)卒業ではなく除籍だと知った』と従来の主張を繰り返すばかりで、騒動の解決に進展は見られませんでした」(全国紙社会部記者)
連日繰り広げられる“田久保劇場”に多くの市民が振り回され、市役所にはいたずら電話も殺到するなど、市政は混乱を極めている。ただ、田久保氏本人は“徹底抗戦”の構えで、14日、市議会の中島弘道議長の元を訪れ、議会に対する抗議文を手渡したのだ。
田久保氏は、中島氏を前に、「昨日の(百条)委員会の中の発言で、東洋大学に対して、一方的に事務にミスがあったと決めつけるような発言があったうえで、“悪の組織”というような看過できない発言がございました。これから私は大学にご協力を仰いで、自分のものを照会していただきたいと思っている矢先に、このような発言がございますと、協力していただく立場ですので、私としてもお詫びを申し上げますが、大変困ります」と発言。その後、怒り口調で、こう要求した。
「しっかり、大学の側にも謝罪をしてくださいというお願いですので、しっかり検討してください」
同日夕、自身のフェイスブック上でも、提出した以下の抗議文を掲載していた。
《これは特別委員会の調査権限の範疇を逸脱しているだけではなく、ライブ配信を通じて全国多くの視聴者がこれを見たことを鑑みれば、このような発言をもって伊東市議会が大学の名誉を毀損する行為はとても看過できるものではありません。大学への正式な文書による謝罪の申し入れ、及び、その謝罪文を伊東市議会ホームページ等へ記載するなどして東洋大学の名誉回復に尽力されることを申し入れます》
田久保氏が問題視する「“悪の組織”という発言」は、13日の百条委員会で、委員の四宮和彦議員が、「(田久保氏が)なぜ東洋大学の責任を追及しないのか」という話の流れで、以下のように述べていた場面を指している。
「もはや田久保市長個人の問題ではないんですよ。伊東市民全員が巻き込まれているんですよ。東洋大学のせいでね。だから東洋大学は“悪の組織”と言っていいぐらい。だって田久保市長に正当性があるんだから。正当性がある人が、なんでこんな目に合わなくちゃいけないのか、という話になっちゃうじゃないですか。だったら、市民からの信頼回復のためにも、市長自身の正当性を証明するためにも、東洋大学に責任を追及するのが、市長の義務という風に私は考える」
“母校”に対する看過できない発言に腹を据え兼ねた田久保氏だったが……。Xではこんな指摘が起こっている。
《他人の発言は隅をつつくのに自身の問題はのらりくらりと避ける本当に信用できない》
《この人って、人の話を理解できないよね。切り取りで勝手に解釈してる》
《切り取り、印象操作、論点ずらし。謝ると息ができなくなる人って、だいたい同じ行動パターンだな、と》
《今度は東洋大学に謝罪しろだとさ!元凶はあんた!委員の発言を切り取りしての屁理屈》
《揚げ足取りに余念がないが、「田久保の言い分が正しいとするならば」という前置きを無視した悪質な切り取り》
「たしかに“悪の組織”という表現だけを見れば、東洋大学にとっても到底容認できないでしょうし、実際、四宮氏は百条委員会で委員長から発言の撤回を求められ、それに応じています。ただ、四宮氏は“悪の組織”発言の前段で『田久保市長に正当性がある、悪くないのなら、誰が悪いのか。
田久保氏が卒業証書を見せず、“卒業したと思っていた”という従来の見解を崩さない以上、責任の所在が東洋大学にあると一旦考えなければ、もはや議論が進展しないわけですから。その文脈も介さずに、発言を切り抜いて抗議をするのはフェアではないでしょう」(前出・社会部記者)
混迷極める“田久保劇場”が閉幕する日は――。