最近、銀行には預けず家で保管していた“タンス預金”が波紋を広げています。

発端は現金2千万円の入金を銀行が断ったことでした。

その2千万円は自営業のAさん(69歳)がコツコツめたタンス預金で、母(90歳)が入る介護施設に入所一時金として振り込むお金でした。Aさんは入金できないことにショックを受けたといいます。

銀行が入金を断ったのは「マネーロンダリング」の疑いを消せなかったからだと思います。マネーロンダリングとは、違法な取引や脱税などで得た“汚れた資金”を、口座送金を繰り返すなどの方法で資金の出所や持ち主をわからないように画策すること。資金洗浄ともいわれます。

銀行はマネーロンダリングを防ぐため、本人の身元と原資を厳重に確認します。Aさんの場合、身元は明らかでも、原資の確認が取れなかったのでしょう。

たとえば銀行口座からの出金や給料振込などは取引が記録されますが、タンス預金には記録がありません。犯罪者から渡されたなどの疑いが払しょくできない大金を、銀行は危険と判断したのでしょう。

■詐欺電話で慌てた持ち主を銀行員が止めた例も増えて

タンス預金は2025年7月時点で47兆3千億円あると試算されます。(第一生命経済研究所、熊野英生氏)。2千万円はまれでも、数十万円、数百万円のタンス預金は案外多くの方が持っているのではないでしょうか。

ですが、タンス預金は銀行に入金が難しいことに加え、危険です。

まず、詐欺被害を受けやすくなります。オレオレ詐欺などの詐欺電話はいつ、どこにかかってくるかわかりません。非常に巧妙ですからだまされる方も多いのでは。

だまされたとき、手持ちに現金がなければ銀行に行くでしょう。慌てた様子から銀行員が気づいて詐欺を未然に食い止める例が増えています。いっぽう、タンス預金があるとすぐにお金を差し出してしまい、詐欺師の餌食です。

次に、強盗の危険性です。犯罪者にはお金がありそうな家はわかるといいます。また、詐欺電話でタンス預金の有無を下調べして強盗に入る家を探すこともあります。強盗にお金ばかりか、命を奪われることも。くれぐれもご注意を。

さらに、タンス預金の持ち主が亡くなったときにトラブルが起きます。家族がタンス預金のありかを知らなければ、財産を見つけられない可能性も。数年後に実家じまいをしようと遺品整理業者を依頼したら、大金を発見。相続税が必要なのに申告していない場合は追徴課税が必要になることもあります。なかには、発見したタンス預金をネコババする悪質な業者も。

「家にお金がないと不安」という方もいますが、手元におくのは、財布を落としたときなどに必要な最低限の現金がいいと思います。

銀行の預金金利は上昇中ですし、お金が必要なときは24時間出金する手段もあります。銀行を安全な“金庫”として活用しましょう。

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