ドラマも終盤にさしかかった今日このごろ、本誌ドラマウオッチャーたちが作品を一挙振り返り!最終話までワクワクが止まらない!

50代記者H(以下、H):まず全員のベスト3に入ったのが『誘拐の日』(テレビ朝日系)と『愛の、がっこう。』(フジテレビ系)です。

30代記者S(以下、S):『誘拐の日』はやっぱり韓ドラ原作らしい面白さがありますよね。毎話新しい展開があるので、起承転結の「転」がずっと続いているみたいに飽きない。子役の永尾柚乃ちゃんの天才的な演技に引っ張られて、斎藤工深澤辰哉など周りの大人のキャストまでいっそう魅力的に見えるからすごいですよ。

H:安達祐実が演じる政宗の妻の存在も不穏で気になるところ。原作の骨太さを生かしながら、日本版ならではの人間味がしっかり出ているところもいいですね。

S:もうひとつの注目作『愛の、がっこう。』は今期唯一の純愛ドラマ。最初は「年上教師×年下ホスト」という設定に不安もありましたけど、いやらしさや軽さを避けるように脚本や演出が丁寧に作られているのが伝わります。意外と純粋な関係性で、じんわり胸にきますね。

20代編集M(以下、M):脚本は『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(フジテレビ系)の井上由美子さん。親の支配から抜けられない女性、読み書きができない男性など、登場人物の背景がしっかり描かれていて、現代社会の格差や孤独にまで切り込んでいる感じがします。

S:また、今期は刑事・サスペンス系がとにかくバラエティに富んでいました。

3シリーズ目を迎えた『放送局占拠』(日本テレビ系)はもう日テレの伝統芸(笑)。櫻井翔の決め台詞「嘘だろ」も健在です。でも内容は、フェイク動画や報道の闇など、現代的なテーマも盛り込んでいて社会性が高い。

M:SNS連動など仕掛けが巧みで、今のテレビの生き残り方を見せてくれる作品ですね。

H:『大追跡~警視庁SSBC強行犯係~』(テレビ朝日系)は、テレビ朝日と東映がタッグを組んだ伝統枠に10年ぶりに誕生した刑事ドラマ。大森南朋相葉雅紀松下奈緒のトリプル主演に加え、佐藤浩市遠藤憲一ら脇も豪華です。

S:登場人物のキャラが濃いですよね。遠藤憲一の双子設定など遊び心もあって、家族で楽しめるドラマです。

H:それでいて、捜査の手法は最新で、防犯カメラ映像の分析やデータ解析を駆使するところは今っぽい。

S:『最後の鑑定人』(フジテレビ系)も同じく科学的アプローチが事件解決の糸口になっています。さまざまな鑑定にリアリティがあり、解決の過程に納得感があります。藤木直人松雪泰子の“元夫婦バディ”も絶妙!

M:朝ドラ『あんぱん』(NHK総合)で注目された中沢元紀も、爽やかな存在感で顔も刑事役にピッタリだなあって(笑)。

H:『スティンガース 響視庁おとり捜査検証室』(フジテレビ系)は、おとり捜査という新しい切り口で描く刑事ドラマ。毎回潜入捜査の扮装が笑えて。藤井流星の熱血漢も冴えています。

S:そして異色だったのが、『DOPE 麻薬取締部特捜課』(TBS系)。麻薬取締官が“異能力”を持つ設定には驚きましたが、髙橋海人と中村倫也の熱演が説得力を与えていると思います。井浦新が演じる謎の男の正体がいまだに不明で、麻取の中村倫也との関係性も気になるところ。

H:中村倫也の激情シーンは圧巻でしたね。身重の妻を殺された悲しみや怒りを見事に表現していました。髙橋海人は新人としての葛藤や麻薬依存者だった母親に対する感情など、とても繊細に演じていると思うな。

M:阿部サダヲ主演の『しあわせな結婚』(テレビ朝日系)は最初、アラフィフ世代の新婚生活を描くホームドラマだと思っていたんですけど、逆に、サスペンス要素が加わって、20代の私たちでも面白く見られると思いました。

H:ミステリアスな妻役の松たか子とのコミカルなやりとりが面白いです。とにかく、エンディングで英国のロックバンド「オアシス」の曲が流れてきたとき、懐かしくて思わず口ずさんでしまった。

S:社会派ドラマも見応えありました。日曜劇場の『19番目のカルテ』(TBS系)は医療ものですが、派手な手術シーンよりも、対話を軸にしたヒューマンドラマ。松本潤演じる主人公の影響で患者や病院が少しずつ変わっていく物語で、松潤自身も“人を生かす”抑えた演技で新境地を見せています。

H:小芝風花の演技もいいですよね。下手するとウザい後輩になりそうなキャラクターを、絶妙なさじ加減で演じていて。彼女が出ると場が柔らかくなる。

S:『明日はもっと、いい日になる』(フジテレビ系)は児童相談所が舞台。福原遥演じる刑事が子どもや親に真正面から向き合って、林遣都柳葉敏郎ら実力派が支える。社会の歪みや貧困問題を扱いつつも温かい物語になっています。

M:『僕達はまだその星の校則を知らない』(フジテレビ系・カンテレ)も、校則を通して多様性や生きづらさを描いていますよね。ティーン向けかと思いきや、大人にも刺さるテーマが多いです。

H:最後に“目の保養枠”を(笑)。

『ちはやふる -めぐり-』(日本テレビ系)と『初恋DOGs』(TBS系)。

S:『ちはやふる』は主人公が最初“タイパ重視”とか言っていたところが今っぽいと思いました。若手俳優が多く出演していて、フレッシュさが画面にあふれています。

H:映画版からのキャストが再登場するのもファンにはたまらない。上白石萌音が先生役として物語を引っ張っていて、札を読む声も美しい。新田真剣佑が、名人として福井弁で挨拶するシーンに胸が熱くなっちゃった。

M:『初恋DOGs』は完全に“犬とイケメン”の癒しドラマですね。ナ・イヌの存在感が抜群。清原果耶もかわいく、海辺のロケーションも映える。成田凌のちょっと頼りない役も意外とハマってます。

H:清原果耶をめぐる成田凌とナ・イヌの恋のライバル関係も、今のところ全然ドロドロ感はなし。財閥御曹司の立場に戻ってからのナ・イヌが戦いモードに変わったら、グッと面白さが増しそう。

S:バラエティ豊かな夏ドラマ、最後まで楽しめそうです。

【本誌記者のBEST3】

■50代記者H

1位:『しあわせな結婚』
2位:『誘拐の日』
3位:『愛の、がっこう。』

■30代記者S

1位:『誘拐の日』
2位:『19番目のカルテ』
3位:『愛の、がっこう。』

■20代編集M

1位:『僕達はまだその星の校則を知らない』
2位:『誘拐の日』
3位:『愛の、がっこう。』

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