「團子さんが映像作品に挑戦したがっているとは聞いたことがなかったので、今回の話には驚きました。歌舞伎一筋ですから」
こう語るのは歌舞伎関係者。
香川照之(59)の長男・市川團子(21)が、’26年のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』に出演すると『女性セブン』(9月11日号)が報じたのだ。
『豊臣兄弟!』は、豊臣秀吉の弟・秀長を主人公に戦国の時代を描く物語。團子は織田信長(小栗旬)の小姓・森蘭丸役で出演予定だという。
テレビドラマへの出演はこれが初めてとなる團子。冒頭の歌舞伎関係者は意外だと目を丸くしつつも、「團子さんは澤瀉屋の懐事情を気にしている」とも言う。
澤瀉屋をめぐっては’23年5月、市川猿之助(49)が一家心中を図り、両親は死亡。猿之助は自殺ほう助の罪で執行猶予中の身だ。
「歌舞伎界では、看板役者が一門を養うという構造があります。澤瀉屋には歌舞伎役者とスタッフ合わせて20人ほどが在籍しており、かつては猿之助さんの稼ぎが一門を支えていました。しかし事件以降は猿之助さんが休業状態ですから、澤瀉屋の収入は縮小している現状です」(前出・歌舞伎関係者)
香川も市川中車として歌舞伎の舞台を踏んではいるが、
「銀座ホステスへの暴行事件以来その名も地に落ちました。本来なら猿之助さんの代わりとなって澤瀉屋をけん引する存在でしたが、歌舞伎役者としての評価は高くなく、集客力はありません。
つまり、今の澤瀉屋で大黒柱になれるのは團子さんしかいないのです。
21歳の若さで一門の命運を背負うこととなった團子。映像作品へと舵を切るのには、市川染五郎(20)の後押しもあった。
「年齢は團子さんのほうが1つ上ですが、染五郎さんとは“親友”と公言する仲です。小学校から同じ学校だったこともあり、人見知りな染五郎さんにとっては團子さんが唯一心を開ける相手です。
染五郎さんは’22年ごろからコンスタントに映像作品に出演するようになりました。その姿に團子さんもかなり影響を受けたようです」(映像関係者)
7月、團子は日本テレビのインタビューに対し、染五郎についてこう語っている。
「ライバルっていう意識はずっと持っていて、うらやましいなとか思いますけど、最終的には頑張ろうっていう気持ちになる」
親友でありライバルーー。まるで映画『国宝』のような2人だが、染五郎は『鎌倉殿の13人』(’22年)ですでに大河ドラマを経験しているだけでなく、森蘭丸役としても團子の先輩にあたる。
「染五郎さんは’23年公開の映画『レジェンド&バタフライ』で蘭丸を演じました。蘭丸は10代のうちに本能寺の変で死ぬため、“若い今しか演じられない”という思いで受けたそうです」(前出・映像関係者)
そもそもは染五郎も團子と同様に“歌舞伎一筋”であった。
「幼いころから歌舞伎の稽古に励み、高麗屋の跡取りとして強い自覚を持っています。“とにかく歌舞伎が好き”といつも口にしています」(前出・歌舞伎関係者)
そんな染五郎だが、映像作品の意義も見いだしているようだ。
「『レジェンド&バタフライ』では殺陣のシーンもありました。歌舞伎で慣れていても映像となると勝手が異なるようで、無我夢中でやっていましたね。声量や間の取り方なども歌舞伎と映像では大きく異なりますが、染五郎さんは“映像の経験は歌舞伎にも生きる”と感じた点もあったといいます。
かたくなに“歌舞伎一筋”と言っていた團子さんですが、染五郎さんを見て大河への出演が歌舞伎にもいい影響をもたらすと感じたのでしょう」(前出・映像関係者)
染五郎は『レジェンド&バタフライ』の公開にあたり、本誌のインタビューに蘭丸役の心構えを語っている。
《撮影期間中にも、京都にある蘭丸のお墓やゆかりのある場所を訪ねたりして、彼の生きざまを肌で感じながら演じさせていただきました》(’23年2月7日号)
前出の歌舞伎関係者は言う。
「2人は日ごろから、歌舞伎の舞台をお互いに見ては忌憚のない感想を言い合っています。役作りに関してアドバイスし合うことも多いようなので、蘭丸役の先輩である染五郎さんに團子さんが助言を求めることでしょう」
澤瀉屋の人件費や交通費、そして名誉。すべてが團子にのしかかっているが、
「正直NHKの出演料はそれほど高くはないので、『豊臣兄弟!』への出演だけで澤瀉屋の窮状が回避できるということはないかもしれません。ただ、これを足掛かりに映像の世界に活動を広げ、澤瀉屋を一層もり立てたいということなのでしょう」(NHK関係者)
澤瀉屋を再興するべく、染五郎に縋る團子。“国宝級の相棒”となりそうだ。