《当該商品をお召し上がりになられたお客様には、多大なるご不快とご迷惑をおかけしましたこと、心より深くお詫び申し上げます。また、日頃より弊社をご利用いただいております、お客様および関係者の皆様に、多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを、重ねてお詫び申し上げます》
現在、全国に199店舗を展開する人気ラーメンチェーン「天下一品」。
「事案が発生したのは、今年の8月24日です。新京極三条店で20代の女性客が注文した『こってりラーメン』に体長1センチほどのゴキブリの死骸が混入し、女性客の申告によって判明しました。店側は女性客に謝罪し、返金を申し出ましたが、断られたといいます。なお、女性客に健康被害は確認されなかったとのことです」(全国紙記者)
「天下一品」を運営する株式会社天一食品商事は、9月8日に公式サイトを更新して害虫の混入を公表。冒頭のように謝罪をした上で、害虫の混入が発生した新京極三条店及び、フランチャイズ系列店の河原町三条店を営業停止にしたことを報告した。
また、《当該店舗へ専門業者による害虫駆除》《当該店舗へ保健所の指導のもと、原因調査および衛生管理体制の見直し》《全店舗への衛生管理徹底の指示と再発防止策の強化》も実施したという。
しかし、店舗での衛生管理が不十分だったことや、事案発生後すぐに保健所に報告がなされなかったことが騒動に拍車をかけているようだ。
「同店では9月2日に専門業者による害虫駆除が実施されましたが、京都市保健所に報告をしたのは翌3日。すでに事案発生から10日が経過しており、ゴキブリの死骸も処分されていたことから、侵入経路なども特定できなかったようです。また、店舗の衛生状況に大きな問題はなかったものの、食品衛生法で義務付けられている害虫対策の記録が残っておらず、保健所はこの点を問題視したそうです。
『天下一品』では’24年から首都圏で閉店ラッシュが続いており、今年6月末にも東京を中心とした10店舗が閉店したばかり。
実際、害虫の混入によって明るみになった同社の“杜撰な対応”に、Xやネットでは厳しい声が上がっている。
《保健所への対応が遅すぎるし、衛生管理を怠ってるとなるとかなりの悪質です》
《飲食店だから居るのは仕方がないんだろうけど せめてちゃんと対策してほしい それだけで頻度は減るはず》
《当該店舗の衛生状況を調べる必要あるがフランチャイズ店と言えども衛生に関し厳格な基準や方策を指示管理していない天下一品本体の運営も杜撰としか言いよう無い!》
《その名に恥じない衛生管理を望む!》
いっぽう、昨今の外食産業において、消費者の安心・安全を脅かす異物混入は社会問題化しつつある。今年1月に鳥取県内にある大手牛丼チェーン店「すき家」の店舗で、客に提供した味噌汁のなかにネズミの死骸が混入した事案も記憶に新しいだろう。
「すき家」では3月にも、東京都昭島市にある店舗でゴキブリの一部が商品に混入。立て続けに発生した害虫の混入によって、一部店舗を除く全国約1,970店舗が一時的に閉店されるという異例の事態に発展した。
あるフードライターは言う。
「『すき家』でネズミの死骸が混入した事案は、客がネズミの死骸を撮影した写真をGoogleマップの口コミに投稿したことがきっかけで発覚。たちまちSNSで拡散され、メディアでも取り上げられるなど物議を醸しました。この客は保健所と本社にも連絡を入れていたそうで、運営会社はすぐに当該店舗の営業を停止し、害虫駆除なども実施したそうです。しかし事案の公表までに約2カ月かかってしまい、この間に『すき家』を利用した人もいたことから、大きな批判を集めてしまいました」
いっぽう、今回の「天下一品」で起きた事案は、ネットやSNSが発端で発覚したわけではない。前出のフードライターは続ける。
「企業側が自発的に公表したという点では評価できるでしょう。しかし、すぐに店舗から保健所に報告がなされなかったこと、衛生管理に不十分な点があったこと、事案発生から公表までに時間を要したことは顧客の信用を揺るがしかねません。たとえフランチャイズの店舗だとしても、衛生管理などは徹底されて然るべきです。また、情報公開の遅れはときに“隠蔽”と見なされてしまうこともあります。企業の社会的信用を失わないためにも、異物混入などの事案が発生した際には迅速な公表が求められるのではないでしょうか」