朗読劇『ハロルドとモード』は、ヒロインのモードを演じる黒柳徹子(92)にとってライフワークといえる作品。’20年の初演から毎年上演され続けているが、今年のハロルド役には、Travis Japan七五三掛龍也(30)が抜擢された。

これまで、事務所の仲間たちが演じ継いできたこの役に、どうやって自分なりの“色”を表現するのか。

「誰かが支えていないとダメになってしまうような、危うさや繊細さを感じてもらえたらと思います。それがモードと出会い、彼女の生き方にふれることで少しずつ変わっていく過程をしっかりとお見せしたいです。モードのチャーミングでピュアな魅力は僕自身も素敵だと思うので、その感情を素直に表現しようと思っています」

偶然にも取材が行われたのは『徹子の部屋』の収録前日。黒柳徹子との初対面に向けて、意気込みを聞いてみた。

「徹子さんと一緒に“TJポーズ”をして写真を撮りたいです! それと、大変だったお仕事についてお聞きしようと思っています。僕、芸能界の先輩方には、よく同じことを聞いちゃうんですよ。完璧に見える方々にも、苦労した経験があるんだと知ると少しほっとするし、自分にとっても学びになると思うんです」

そんな七五三掛には、ハロルドと同世代のころ、少し不安定な気持ちになった時期があるという。

「グループのメンバーが続けざまに抜けてしまったときがあって。僕も未来への不安や迷いを感じて、精神的に落ち込んでしまったんです。そのとき父親が『今はつらくても、仕事は続けたほうがいい』と言ってくれて。その言葉に救われたから、今の僕があります。

ふだんは陰ながら見守ってくれるタイプなので、父から直接アドバイスをもらったのは、あのときだけなんです」

最後に、劇中のモードや彼女と出会ったハロルドのように、七五三掛が「生きる喜び」を感じる瞬間を尋ねると、笑顔でこう答えてくれた。

「いつも感じているかもしれません(笑)。おいしいものを食べただけでも感動しちゃうタイプなので。この間、(松田)元太とちゃか(宮近海斗)と、3人で夏フェスに行ったときも、車に乗ったときからめちゃくちゃ楽しくて、生きててよかったと思いしたね。コンサートはもちろんだし、おもしろい映画やゲームに出合ったときにも思います。僕、感受性が豊かなのかもしれませんね(笑)」

【INFORMATION】

朗読劇『ハロルドとモード』

東京・EXシアター六本木にて9月30日~10月10日、大阪・森ノ宮ピロティホールにて10月16~19日に公演。’71年にアメリカで公開された同名映画が原作の朗読劇。79歳の女性モードと19歳の少年ハロルドは、共通の趣味である“赤の他人のお葬式への参列”を通して出会い、次第に引かれ合っていく。

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