9月26日に最終回を迎える『あんぱん』。松嶋菜々子(51)が演じた嵩の実母・登美子は、登場当初は過干渉や厳しい叱責が目立った。
《登美子は、発想が少し独特なのかなと思います。子どもへの愛情がありながらも、自分の人生に迷いがあったり、葛藤を抱えていたり……。演じる上では、そうした心の揺れを理解することが大切だと感じています。実際、嵩のモデルであるやなせさんの母親も、息子たちを残して姿を消したと聞きました。そうした複雑な背景を持ちながら“アンパンマン”という作品を生み出したやなせさんにとって、母親は影響力のある存在であり、発想の源だったのだろうなと。登美子の突然現れては周囲を振り回し、またいなくなってしまうという設定だけをとるとどこか冷たく感じるかもしれません。けれど、嵩に対しては母親の愛情をきちんと伝えられるよう、丁寧に演じていきたいと思っています》(4月25日配信)
このため、SNS上では“毒親”と批判される声も少なくなかった。
「実はそれを気にした制作サイドは、松嶋さんへ“やさしい母親への路線変更”を提案したんです。しかし、松嶋さんは『登美子は死ぬまで悪態を吐くべきです』と断固として拒み、自らの意思で最後まで“毒親”を演じきりました。
結果的に自らの本音をさらけ出す登美子への反響と共感は日に日に増え、当初の台本より出演シーンが大幅に増えることに。いまや『あんぱん』屈指の人気キャラクターにまで成長したのは、炎上をも覚悟して登美子になりきった松嶋さんの役者魂にほかなりません」(前出・制作関係者)
『ひまわり』(96年)で朝ドラヒロイン、そして『なつぞら』(19年)では朝ドラヒロインの母をすでに演じた松嶋。