9月7日、在任わずか11カ月で退陣を表明した石破茂首相(68)。同日の会見では、日米関税交渉に区切りがついたことで退陣を決意したと話した首相だが、実際には7月の参院選で大敗を喫した責任を問う声が党内で吹き荒れ、最終的には“圧力”に屈したかたちだ。
とはいえ、参院選敗北の要因は、石破氏の政権運営能力だけではなく、昨年10月の衆院選以前から引きずる「政治とカネ」の問題など、党に対する長年の日本国民からの不信感が影響しているという見方も根強い。
そこで本誌はWEBアンケートツール「Freeasy」にて、選挙権を有する18歳以上の全国の男女1000人に対し、石破氏以上に「不信を招いた自民党議員」(自由回答)についてアンケートを実施した。なお、アンケート方式については、選択肢を設けず、不信を招いたと思う議員の名前を自由回答で書いてもらい、その数を集計した。
第3位となったのは、岸田文雄前首相(68)。在任中の’23年、過去に自民党旧派閥が主催した政治資金パーティー収入の不記載問題(裏金問題)が明るみになり、翌年4月に“裏金議員”39人の処分を決定。ただ、旧岸田派では約3000万円の不記載が明らかになりながら、岸田氏が自らの責任を問うことはなく、批判が相次いだ。結局、裏金問題が影響し、退任直後の’24年10月の衆院選で自民党は与党過半数割れの大敗を喫している。
岸田前首相は在任中、「資産所得倍増」を掲げ、NISA(少額投資非課税制度)の拡充などを敢行し、所得税・住民税の合計4万円の定額減税などの景気浮揚対策も行った。ただ、防衛費増額のためなどの「増税」を打ち出したイメージも付いて回り、「増税メガネ」という不名誉なあだ名も定着した。そのため、様々な問題を“清算できていない”と感じた人が多かったようだ。
《裏金とか問題が出てきた時、対処できる立場だったのにできなかったから》
《増税しかしてない》
《政治資金パーティーを含めた裏金問題と、経済不振何も改善出来なかった》
第2位は萩生田光一元政調会長(62)だ。旧安倍派の政治資金パーティをめぐる裏金問題では、’20年~’22年のパーティで受領した約1950万円を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、政治資金規正法違反の疑いで検察の捜査を受けることに。
そのほか、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係も取りざたされていた。’22年7月の参院選公示前に、八王子市内の教団関連施設を訪問。’24年9月には「朝日新聞」が、安倍元首相が’13年に党本部の総裁応接室で教団の会長らと面談した際、萩生田氏も同席していたことを報じた。萩生田氏は同紙の取材に対し、面談時の写真に自身が写っていることを認めつつ、面会した記憶はなく、何を話したかは「わからない」と話したという。
直近では、裏金問題で党の公認を得られず、昨年10月の衆院選で無所属での立候補を余儀なくされた(当選後に党所属扱いに)。今年7月に石川県内で行われた党の会合では、石破政権について「国民の支持を得られない」と辛口に評価してたことが報じられたが、国民からの自身の評価も“辛口”だ。
《裏金問題、統一教会との癒着、秘書問題と自分の事を顧みず、石破首相を批判するのにはあきれて物が言えない
《裏金疑惑、統一教会との癒着など、悪しき自民党を代表する人物でありながら、石破氏を蹴落として復権しようという厚かましさが許せない》
《統一教会・裏金問題ともに中心人物なのに説明責任をとっていない》
そんな2人を抑えて第1位に選ばれたのは、麻生太郎最高顧問(85)。裏金問題を受け、旧二階派、旧安倍派、旧岸田派、旧森山派、旧茂木派が正式に解散するなか、麻生派は、収支報告書への不記載がなかったとして党内で唯一存続している。とはいえ、自民党の刷新が求められるなか、旧体質の象徴ともいえる「派閥政治」への拒否感は根強い。
’09年の麻生政権末期には、閣僚だった石破氏が公然と“麻生おろし”に関わった過去があり、石破氏とは“犬猿の仲”として知られる。昨年の総裁選では、石破氏と小泉進次郎氏(44)、高市早苗氏(64)の3氏が競り合うなか、麻生氏が1回目の投票から高市氏を支持するように派閥議員に指示していたとされる。
そんな“キングメーカー”としての地位は健在で、参院選の大敗で石破氏の足元が揺らぎ始めるや否や、“石破おろし”に奔走。自派の研修会で「惨敗だったことは明らかだ」と石破氏の責任を問い、公の場で総裁選前倒しを要求するなど圧力をかけていた。
石破氏の退陣に伴う総裁選(10月4日投開票)を控え、候補者による「麻生詣で」が活発化するなど依然としてその影響力を保つ麻生氏。ただ、石破氏が残した「解党的出直し」という大きな課題が立ちはだかるなか、長らく権力を振るう麻生氏には疑問の声が多く寄せられていた。
《派閥を解散しない古い体質の政治家》
《派閥の解消をしないで石破の批判をする》
《実質、党のトップというか院政を敷いている身分として、はっきりものを云わずに、すべてを石破さんの所為にするという魂胆が見るに堪えなかった》《未だに派閥を解散せず、キングメーカーの様な振舞だから》
《旧態依然とした自民党の体制を引き継いでいる》
まさに“崖っぷち”に立つ自民党。次期総裁候補の中から“救世主”は現れるのか。