10月7日、’24年度前期に放送されたNHK連続テレビ小説『虎に翼』のスピンオフドラマの制作がスタートしたことが発表された。タイトルは『山田轟法律事務所』。

『虎に翼』の主人公は伊藤沙莉(31)演じる佐田寅子であり、『山田轟法律事務所』にも伊藤は出演するが、今回焦点を当てられるのは土居志央梨(33)演じる山田よねと戸塚純貴(33)演じる轟太一だ。今回は、2人が設立した山田轟法律事務所をめぐる、知られざるエピソードが描かれるという。

「『虎に翼』は日本初の女性弁護士で、のちに初の女性判事となった三淵嘉子さんをモデルにしたドラマ。伊藤さん演じる寅子やその仲間たちが困難な時代に道なき道を切り開き、迷える子どもや追いつめられた女性たちを救っていくというストーリーです。現代社会にも通じる『自分らしく生きること』をテーマにした物語は老若男女問わず支持され、最終話の平均世帯視聴率は関東で18.7%を記録しました。

スピンオフの主要キャラクターであるよねは貧しい農家の次女として生まれた男装の女性で、寅子とは表立って打ち解けあう仲ではありませんが、寅子に一目置いているような発言も。また轟はもともと寅子やその仲間とは隔たりがありましたが、物語が進むにつれて次第に距離が縮まっていきました。よねも轟も人気のキャラクターなので、スピンオフへの期待値がネット上で高まっています」(ドラマ制作関係者)

じつは本誌は、このスピンオフの情報を6月時点ですでにキャッチしており、映画化の計画も進行中であることと合わせて報じている。当時、あるNHK関係者はこう語っていた。

「スケジュールとしては、映画版を来年年明けから撮影し、来年年末での公開を目指すそうです。同時にスピンオフドラマの制作も進行します。こちらは映画版より先行し、今年秋から撮影、来年放送というスケジュールで検討されています」

■NHK上層部は『とらつば』ブームに“勝算がある”という考え

朝ドラの映画化は極めて珍しく、前例は『おはなはん』『藍より青く』など3作のみ。

実現すれば’00年の『すずらん』の映画公開以来、26年ぶりの快挙となる。前出のNHK関係者は「『すずらん』の映画版はヒロインの少女時代を描き、主演も子役が務めましたが、『虎に翼』は映画版も伊藤沙莉さんが主演です」と明かすと、こう述べていた。

「これまでNHKの朝ドラは、『カーネーション』『あまちゃん』などが『放送文化基金賞』の優秀賞を受賞していましたが、最優秀賞は『虎に翼』が初めてなのです。NHKにとっては快挙であり、その立役者となった伊藤さんはいまや、“朝ドラ史上最高のヒロイン”とも見なされています。もちろん映画化を成功させるために、主要キャストの多くにオファーしており、主題歌もドラマと同じく、米津玄師さんに依頼すると聞いています。

NHKは、若い世代のNHK離れに強い危機感を抱いており、『紅白歌合戦』の演出などを見てもわかるように、若者を取り込むことを強く意識しています。『虎に翼』はストーリーのテンポがよかったこともあり、若者層の取り込みにも成功したのです。

T層(男女13~19歳)と呼ばれる視聴者層が、通常の朝ドラの2倍以上だったという調査結果もあります。上層部は『虎に翼』ブームを再び巻き起こすことについても“十分に勝算がある”と考えているようです」

7月に行われた「第51回放送文化基金賞」贈呈式で、伊藤は

「『虎に翼』は、私がお芝居をさせていただいてきた中で生涯の財産だなって思っていて、それは“朝ドラヒロイン”という経験ももちろんあるんですけど、それ以上にこの作品に関わる方々との出会いであったり、みんなと過ごした時間であったり、全てひっくるめての財産というふうに思っています」

と涙ながらにスピーチしていた。スピンオフに映画にと、また新たな財産が伊藤に増えそうだ。

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