10月1日にスタートした連続ドラマ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(フジテレビ系)。主演を菅田将暉(32)が務め、脚本を三谷幸喜氏(64)が手掛けたとあって放送前から高い期待が寄せられていたが、30分拡大で放送された初回の世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は5.4%と低調な滑り出しとなった。
三谷氏が25年ぶりに手がけたゴールデン・プライム帯の民放連続ドラマとなる同作は、1984年の渋谷を舞台にした青春群像劇で、三谷自身の経験に基づいたオリジナルストーリー。菅田の他に、二階堂ふみ(31)、神木隆之介(32)、浜辺美波(25)という豪華な顔ぶれが脇を固める。
しかし、初回視聴率が振るわないだけでなく、Xでも《よくわからない》《長すぎる》などの辛口コメントが散見され、レビューサイトでも低評価を受けている。そこでTVコラムニストの桧山珠美さんに同作の不評の理由を聞いてみた。
「まず、私の立ち位置としては面白かったです。その上で、なぜ《面白くない》と言われているのかを考えたところ、登場人物が多すぎて第1話はごちゃごちゃした感じが確かにありました。
また、スマホの縦型ドラマが流行る”タイパ時代”のドラマを見慣れている人には、まわりくどく感じられた部分もあるのかなと思いました。初回90分という放送時間も長かったですし、挫折してしまった人もいるのかもしれませんね」
しかし、同作はそんな”タイパ時代”への三谷幸喜からの”挑戦”ではないかと指摘する。
「1話冒頭であまりの横暴ぶりに、劇団から追放される演出家を菅田将暉が演じていますが、『どうしてもっと観客を信用しないんだ! 彼らはわかりやすさなんか求めてないんだ』と怒る場面がありました。まさに、それが三谷さんの言いたいことかなと思いました。
視聴者を信用せず、テレビドラマがどんどんわかりやすいものを作った結果が今だと。たくさんの登場人物を均等に紹介するような感じが《どこを見ていいかわからない》などの批判に繋がった部分もあるとも思いますが、最近のドラマは”主役はこの人です”、”この人はその恋人です”みたいにわかりやすく作る傾向があります。
桧山さんは、撮影の時期に三谷氏とフジテレビの本気を感じるという。
「三谷さんがドラマの放送が始まる前に『撮影は全て終えてる』って言っていました。だから『文句言われても変えられない』って。テレビは優柔不断なところがあるから視聴者の反応で脚本の後半を変えたりとかありますが、三谷さんは雑音をシャットアウトするためにあらかじめ作っちゃったんだなというのはわかりました。
だから『事件だけは起こさないでほしい』とも(笑)。セットもキャストもすごく豪華ですし、撮り終えてから放送することを了承したフジテレビの気合も感じます」
桧山さんは同作が今後支持を得る可能性を感じているという。
「最近のドラマの傾向として、第1話が不評でも、第2話からすごく良くなるケースも結構あります。私はこのドラマはすごく面白いし、第2話以降も見たらもっと面白くなると思うんです。
最近では結末をネットで調べてから映画を見に行く人がいるそうですが、すぐに答えを欲しがる人が増えたように感じます。『観客を信じろ』というのは、フジテレビに言っているのか、観客である私たちに言ってるのかはわかりませんが、そういう三谷さんの挑戦に乗っかって見続けたらきっと『最後まで見てよかったな』って思うと、私は信じています」
まだ第1話が放送されただけ。今後の展開に乞うご期待。