10月4日開票の自民党総裁選で、高市早苗前経済安保担当相(64)が第29代総裁に選出された。’55年の結党以来、女性が総裁の座に就くのは初めてであり、15日召集予定で調整されている臨時国会では、日本初の女性首相が誕生する可能性も出てきた。
総裁選は、高市氏と小泉進次郎農水相(44)による決選投票にもつれ込み、同日午後2時55分に高市氏の選出が確定。各メディアが「速報」として高市氏が新総裁に選出されたことを続々と報じるなか、ニュースメディア「世界日報DIGITAL」は《【速報】自民新総裁に高市氏 初の女性首相誕生へ》と記事を配信。1回目の投票、決選投票の結果や、高市氏が今後野党との連立拡大を模索していく方針だと伝えた。
同紙はXのアカウントでも記事を投稿。すると、あるアカウントから、こんなリプライが寄せられた。
《高石早苗総裁 おめでとうございます》(原文には感嘆符、日本国旗の絵文字)
このアカウントの名称は「富田林家庭教会」。大阪・富田林市にある、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の支部であり、「世界日報」も旧統一教会と国際勝共連合によって設立された世界日報社が運営するメディアだ。
さらに、世界日報とは別のアカウントが、高市氏の選出に対する祝意を投稿すると、富田林家庭教会はここでも、以下のようなリプライを送った。
《やりました万歳 高市早苗新総裁 おめでとうございます》(原文には万歳、ハートの絵文字)
自民党結党以来、初めて女性が総裁の座に就いたこと、そして憲政史上初の女性首相が誕生する可能性に、世間は大きな賑わいを見せている。富田林家庭教会もその祝福ムードの中、先のように喜びをあらわにしたわけだが、5日までに2つの投稿は削除された。すると、Xでは削除された投稿のスクショが拡散され、こんな疑問の声が。
《お祝いなのになんで消したの?》
《「高市早苗が自由民主党総裁に選出された件」について、富田林家庭教会(統一教会の地方教会)が「お祝いの投稿」をし、その後削除したようです。
《世界平和統一家庭連合こと“統一協会”の富田林家庭教会、なぜ高市早苗に向けたお祝いの投稿を削除したのだろう》
ここまで注目を集める背景には、やはり政治と旧統一教会のかつて取り沙汰された“親密な関係”が影響している。
「旧統一教会をめぐっては、’22年の安倍晋三元首相銃撃事件以降、安倍氏が過去に教団トップの韓鶴子氏に対して『敬愛を表する』と話すビデオメッセージを送っていたことなど、教団側と、自民党をはじめとする日本の政党の所属議員との接点が問題視されてきました
高市氏も、’01年に教団と関係があるとされる『世界日報社』発刊の雑誌の対談に、教団と同誌の関係を知らずに出演していたことを認めています。こうした経緯もあるため、教団の支部がXというオープンな場所で高市氏を祝福したことに、困惑する人が多かったのでしょう。
ただ、総裁選前の9月30日、お笑いタレント・中田敦彦さんのYouTubeで公開された高市氏との対談動画で、中田氏から『自民党保守派と旧統一教会の教義の整合性が取れない』と指摘された際、高市氏は『教義はわからない』と発言。さらに、高市氏は旧統一教会の教祖・文鮮明の名前も知らず、韓氏の名前も曖昧な様子でした。その他にも、教団に関して知っていることは“ほとんどない”という風なスタンスで、自身を“勉強不足”だと反省していましたね」(政治部記者)
そこで本誌は10月8日、世界平和統一家庭連合に対し、富田林家庭教会がXで高市氏に祝意を表明し、その後、投稿を削除した経緯について問い合わせると、広報渉外局の担当者から書面で以下の回答が寄せられた。
「富田林家庭教会の担当者が、同教会の公式 X アカウントに個人的な見解を誤って投稿したため、削除したとのことです」
また、富田林家庭教会の投稿をめぐって、一部では高市氏と旧統一協会の接点を疑う声も上がっていた。これについて、担当者からは以下の見解を明かした。
「当法人と高市氏との間に具体的な接点はありません。また、当法人は、教団として特定の政治家や政党に対して支持や応援などはいたしません」