あいにくの雨のなかだったが、五ヶ所湾に面した入り江で、天皇陛下と雅子さまが、イセエビやマダイの稚魚を放流された。海に放たれた魚たちがかわいらしく泳ぎだす様子を、両陛下は目を細めてご覧になっていた。
11月8日と9日で、三重県を訪問されていた両陛下。冒頭は、9日の「第44回全国豊かな海づくり大会」の恒例行事である、宿田曽漁港でのご放流の場面だ。全国豊かな海づくり大会は、全国植樹祭、国民スポーツ大会、国民文化祭と並ぶ“四大行幸啓”として、両陛下が地方を訪れ、人々と交流される大切なご公務とされている。
「三重県での海づくり大会を終え、今年の四大行幸啓を終えられたことを天皇皇后両陛下も安堵していたと伺っています。今年は戦後80年の“記憶継承の旅”もあっただけに、雅子さまのご負担も少なからずありましたが、成果を得られたことでいっそう自信を高められているとお見受けしています」(皇室担当記者)
三重県ご訪問中、式典やご視察に臨まれる両陛下のお姿を感慨深げに見つめていた西村泰彦宮内庁長官の表情も印象に残ったと、前出の皇室担当記者は明かす。
「今回の三重ご訪問で両陛下は鳥羽市の鳥羽水族館を視察されていますが、西村長官は同市の出身。いわば“故郷に錦を飾った”わけで、無理もないことでしょう。西村長官は今年6月、歴代長官が退任するとされる70歳となり去就が注目されていましたが、じつは“海づくり大会を花道に退任するのでは”という見方が、宮内庁内には広がっているのです」
すべての職種を合わせて約1000人を超える宮内庁のトップである宮内庁長官。そして両陛下の最側近として、ふだんからご公務に同行し、あらゆる懸案に関する相談相手も務める重責を担う。
警察庁のキャリア官僚だった西村氏は、警視総監や内閣危機管理監を経て、2016年に宮内庁次長に着任した。そして令和となった2019年12月、宮内庁長官に昇格。宮内庁関係者は、着任時を振り返る。
「警察官僚としては22年ぶりの次長着任とあり、また各官庁に強権を振るっていた安倍政権が送り込んだ人材だということで、庁内では警戒する向きもありました。
しかし、元高校球児で警察庁時代からチームに入ってボールを追いかけるほどの野球好きといった一面があったり、穏やかで常に柔らかな物腰を崩さない人柄が、次第に天皇ご一家をはじめ職員たちの信頼を得ていったのです」
■オンライン行幸啓や広報室の実現に奔走
天皇陛下と雅子さま、そしてトップとなった西村長官が直面したのは、2019年末から世界を覆ったコロナ禍だった。前出の宮内庁関係者はこう続ける。
「令和皇室が本格的に始動し、国民との距離をさらに近づけようとしていた矢先のことでした。国民とふれ合うことができなければ、皇室の存在が薄れ、それが長引けば存在価値すら問われてしまうと、日々両陛下は危機感を募らせていらしたのです。
そうした両陛下の思いを受け止めた西村長官は、オンラインでの行幸啓というインターネットを駆使した交流の形を模索し、実現にいたりました。これにより皇室は、遠隔地の人々とも交流できる新たな手段を得たといえます」
存亡の危機に直面した皇室を守る盾としての役割を果たしつつ、西村長官はもっとも身近にいる側近として、心温まる一幕も演出していた。
「そして2021年12月に成年された愛子さまの行事も、コロナ禍のなかでもつつがなく終えることができ、ご一家と長官との連帯感もより高まったようにお見受けしています。
時には大好きな野球談議をなさったりと、“癒し役”として、ご一家も頼りにされていらっしゃったのではないでしょうか。退任時期は、省庁の幹部人事は国会会期中を避けるので、早ければ年内、年明けの新年行事が終わったタイミングではないかとみています」(前出・宮内庁関係者)
西村長官の功績は、退任後も皇室を守る組織を立ち上げたことだろう。元宮内庁職員で皇室解説者の山下晋司さんはこう語る。
「西村氏は広報室を新設し、インターネット上の情報発信、SNS対策の土台を作った功績は大きいと思います。
平成のころ、上皇ご夫妻は長官や侍従長が勇退した際には、その夫人も招いて四人だけで夕食会を開き、労われていたという。
「積年の恩への感謝を込め、絵画や工芸品を贈られるのも慣例となっていました。ただ陛下が皇太子時代から、雅子さまのご体調のことや近年のコロナ禍もあり、これまで慰労の夕食会が開かれることはなかったと聞きます。
しかし令和となり、さまざまな困難をともに乗り越え、支えてきた西村長官には、“何としても感謝を”と雅子さまはお考えであるように拝察しています。両陛下、愛子さまは異例のことであろうとも、そうした場を設けられるのではないでしょうか」(前出・皇室担当記者)
皇室の危機に立ち向かい、支えてくれた最側近との惜別――。雅子さまは陛下と愛子さまとともに、夕食会で感謝を形にされるはずだ。
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