雅子さまは12月9日、62歳のお誕生日を迎えられた。お誕生日に際して公表されたご近影には、7月に国賓として訪問されたモンゴルにちなむ品々があった。

「モンゴルではご体調を整えるペースが安定し、予定にはないご視察にも臨まれていました。2025年は雅子さまにとって激動の一年でした。戦後80年の節目に硫黄島や沖縄、広島を巡り、さらに例年の四大行幸啓もあり、ご負担も大きかったはずです。モンゴルでの国際親善を大成功で終えられたことで、かなり自信を高められたのでしょう。

来年以降の国際親善の場においても、いっそう力を入れていけるよう、雅子さまも天皇陛下とさまざまな構想を練られていると伺っています」(宮内庁関係者)

天皇陛下と雅子さまが2026年に訪問されるのはどの国か。令和となり、インドネシア、英国、今年はモンゴルと続いた。愛子さまが11月に国家元首級の接遇で歓迎されたラオスご訪問のように、天皇ご一家の訪問先にはアジアの国々が多い。外務省関係者はこの傾向を踏まえ、こう背景を明かす。

「日本政府としては、東南アジアや南アジアの国々との関係深化を目指している背景があります。皇室の国際親善は政治的な文脈を切り離して行われますが、両陛下をはじめ皇族方の公式訪問は、閣議決定あるいは閣議了解という形で、政府として決められます。ゆえに時の政権の方針が大きく表れるのです。

近年は中国やロシアなどに対抗していくためにアジアの国々へのご訪問が続いていたこともあり、かねて言われてきましたが“来年こそ両陛下にアメリカを訪問していただくべきだ”という声が高まっているのです。

高市総理もトランプ大統領との関係は良好ですし、日米両国の関係は盤石です。また来年は日本の国連加盟70周年であり、もし両陛下にニューヨークの国連本部に表敬していただければ、いっそう日本の国際的な地位向上にも結びつく、という狙いも政権上層部にはあるようです」

令和となってから、国賓として来日した国家元首は、2019年にトランプ大統領、昨年にはブラジルのルラ大統領の2人だ。外交儀礼上、招かれた元首は答礼をすることが慣例となっている。10月27日、天皇陛下は来日したトランプ氏と会見された。この際にも、両陛下への“ラブコール”が……。

皇室担当記者はこう話す。

「会見は非常に和やかな様子で進み、さまざまな事柄に話題が及んだそうです。慣例上、米国が両陛下を国賓として招く番となるわけですが、トランプ氏は『ぜひホワイトハウスに来てください』と招待する発言もしていました。

しかし最近は、トランプ政権の支持率は下降気味。秋の中間選挙では与党・共和党の苦戦が囁かれています。また来年は米国建国250年を迎えます。トランプ政権は7月4日の独立記念日に、国威発揚のため盛大な祝賀行事を計画しているとも報じられているのです。

政府や宮内庁内部には、“時期も含め、両陛下の訪米を政治的に利用されなければいいが”と懸念する声も聞こえてきます」

■上皇ご夫妻と同じく米国を横断され……

ただ雅子さまにとって、米国は特別な国だ。幼少期にNY、高校時代にはボストン、そしてハーバード大学……雅子さまが青春を謳歌された場所があり、いまもご友人らが暮らしている。

「そして外務省職員時代は、北米局北米第二課で、昼夜を問わず激務に臨まれていました。当時日米間の貿易摩擦が懸案で、タフな働きぶりが求められたそうです。

皇室に入ってから、まだ雅子さまは米国を訪問されていません。実現すれば、初めての“思い出の国”での国際親善です。日米のよりよき未来を志された若き日々を思い出されながら、両国の絆を深めるご活躍をなさっていただくことを願ってやみません」(前出・宮内庁関係者)

1994年に国賓として訪米した上皇ご夫妻は、南部アトランタを皮切りに、首都ワシントンD.C.、NY、中西部の各都市、西海岸のロサンゼルスとサンフランシスコ、そしてハワイ・ホノルルを巡られている。長年皇室番組を手がける放送作家・つげのり子さんは、ご訪米の実現についてこう期待を込めている。

「両陛下も上皇ご夫妻と同じく、東海岸から西海岸にいたる形で巡られるのではないでしょうか。NYの国連本部のほかには、ボストンに行き、近郊のハーバード大学で陛下を雅子さまが案内されるといった日程も予想されますね。

日米の親善をさらに深めるため、上皇ご夫妻もご覧になったメジャーリーグの試合を、両陛下もご覧になっていただきたいものです。大谷翔平選手が出場するドジャースの試合のご観戦は実現する可能性が高いでしょう。

先日の陛下とトランプ大統領の会見でも大谷選手の話題が出ましたが、ホワイトハウスの晩餐会に大谷さんと真美子さんが招かれれば、多くの日本人にとっても誇らしいことです。また、太平洋戦争中に起きた日系人の強制収容の記憶を残す場所、そして上皇さまがお立ち寄りを見送られた真珠湾などにも足を運ばれることも期待しています」

成功体験を重ね、ご自信を高められている雅子さま。だが皇后として、記者会見に臨まれるという“最後の試練”が残されている。

■日米の未来切り開く24年越しの悲願

前出の皇室担当記者は語る。

「皇后や皇太子妃がメディアを通じて広く国民に語りかける機会はさほど多くありません。外国公式訪問の出発前に行われる記者会見がその一つとされてきました。ただ雅子さまは、2002年のニュージーランド・オーストラリアご訪問前の記者会見以降、ご体調の悪化により臨めておられません。

“報道陣の向こう側には国民がいる”と意識されているようで、雅子さまにとり、大変な緊張を強いられる場面と言えます。こうした経緯もあって、外国公式ご訪問前の記者会見には、陛下がお一人で臨まれてきたのです」

ご出発前の記者会見は、訪問国に対しても重要な意味を持つ。元宮内庁職員で皇室解説者の山下晋司さんは次のように指摘する。

「記者会見は表情や声などから、よりお人柄を感じさせます。とくに外国訪問前の記者会見は、訪問国のメディアでも報じられますから、その国の国民により親しみをもってもらえ、歓迎の機運が高まる一因になります。

皇后陛下のご負担が大きいのであれば、冒頭の1問だけお答えになって退席されるとか、あるいはビデオメッセージという形など、ご負担を軽減した発信方法を検討する時期だと思っています」

来年にも実現すれば24年越しとなる記者会見。雅子さまもご決意を固められているようだ。

「長年のご病気との闘いを見守ってくれた国民に、雅子さまは直接ご自身の言葉で感謝のお気持ちを伝えたいとお考えになっているそうです。雅子さまが全身全霊で臨まれているご姿勢は、日米両国の人々の胸を打ち、次世代の親善を切り開く端緒となるでしょう」(前出・宮内庁関係者)

まさに悲願となる記者会見の成就に向けた、雅子さまの62歳のご決断。日米両国の絆を固く結ぶという若き日の志とともに、運命づけられたその使命を果たされるため、雅子さまの新たな挑戦が始まっている。

編集部おすすめ