12月15日に東京・港区赤坂の個室サウナ店「SAUNATIGER」で火災が発生し、30代の夫婦が亡くなった事故。警視庁と東京消防庁は16日に現場検証を行い、火災発生当時の状況が明らかになりつつある。

報道によれば、15日正午すぎに、サウナ店が入る5階建てビルの3階で「非常ベルが鳴っている」と119番通報があったとのこと。消防が駆けつけたところ、個室の入り口付近で30代の男女2人が倒れているのを発見。2人は意識不明の重体で病院に搬送されたが、約1時間半後に死亡が確認されたという。

「亡くなったのは、川崎市に住む美容室経営者の松田政也さん(36)と妻でネイリストの松田陽子さん(37)だと判明。2人が利用していたサウナ室は2畳半ほどの広さで、折り重なるように入口付近で倒れていたそうです。また、サウナ室の壁や座る部分の背もたれが焼けており、2人が肩や背中などに軽いやけどを負っていたことも確認されました。16日時点ではサウナ室のドアノブが内側・外側ともに外れて現場に落ちていたことも分かり、夫婦が閉じ込められた可能性が指摘されています」(社会部記者)

“大人の隠れ家”や“完全プライベートな空間”を謳い、高級感をアピールしていた「SAUNATIGER」。都度利用のビジター料金は人数や部屋の広さによって1万9000円から5万9000円までとなっており、月額料金も6万円から39万円と高価格帯で設定されていた。亡くなった松田さん夫婦は初来店だったそうで、2時間1万9000円のビジタープランで午前11時から午後1時までの枠を利用していたという。

「1階部分はラウンジとアパレルブースになっており、2階から上の各個室にサウナルーム、ヒノキの水風呂、ベッド付きの外気浴スペースを完備。ドライヤーやスキンケアのアメニティも高級品を取り揃えており、サウナ後には1階のラウンジスペースでこだわりの料理やアルコールを楽しめるサービスも。富裕層だけでなく、芸能人やインフルエンサーからも人気が高かったと聞きます」(前出・社会部記者)

しかし、火災発生当時の状況が明るみになるにつれ、店側の安全管理が疑問視されている。

前出の社会部記者は「店側の責任は非常に重いのではないでしょうか」とし、こう指摘する。

「まず、サウナ室の扉は公衆浴場や個室サウナなど営業形態を問わず、内側から押すと開く仕組みになっている開き戸やスライドさせて開閉する引き戸であることが一般的。『SAUNATIGER』のようにサウナ室にドアノブがついている店はごくわずかで、事故などが発生した際の安全予防対策としてあえてドアノブはつけない店がほとんどです。加えて、同店のドアノブは木製という珍しい素材でしたが、構造の面でも調査が必要でしょう。

次に同店の公式サイトでは、《利用上の禁止事項》として《サウナ室への可燃物(新聞・雑誌・タバコ等)や情報機器(PC、携帯電話、タブレット等)の持込》と明記。そのいっぽうで、公式サイトのトップページにはサウナ室の写真を添えて《スマホ持ち込みも可能です》と記載されていたので、誤った認識を招きかねない危うさもあったのでは。火災の原因はまだ特定されていませんが、リチウムイオン電池が発火した可能性もあり得るでしょう。

そして今回、新たに判明したのは火災が発生したサウナ室の非常用ボタンカバーが壊れていたということ。各サウナ室についている非常用ボタンを押すと、フロントにある受信盤に通知される仕組みだったそうですが、受信盤の電源が入っていなかった可能性が指摘されています。従業員らは、煙を感知した火災報知機の警報音で火災に気づいたという情報も。カバーが壊れていたことから、夫婦は非常用ボタンを押して助けを求めていたと見られており、定期的に保守点検がきちんと行われていたのか疑問です」(前出・社会部記者)

次々と杜撰な管理体制が明るみになり、ネットニュースのコメント欄やXでも同店の責任を問う声が広がっている。

《ドアノブ壊れ、非常ボタンも不十分?人災では?》
《最悪の事が重なりすぎたのかな… サウナでドアノブが外れるだけで血の気が引くだろう。

。。非常ベルが鳴らないなんて、何の意味があるんだよ》
《会費月額6万~39万円取る店に許される管理体制じゃねえだろ》
《決して大袈裟ではなく、サウナと言えど安全管理を怠れば人命に関わる。責任者は人の命を預かる商売だという意識が欠落していたと思う》(すべて原文ママ)

尊い2人の命が失われた痛ましい火災事故。一刻も早く、全容解明されることを願うばかりだ。

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