1月下旬に中国に返還予定のパンダを一目見ようと、多くの人々で賑わう年の瀬の東京・上野動物公園。実はいま、その動物園がある上野公園に新設された「公衆トイレ」が、SNSで物議を醸している。

「12月24日、Xであるユーザーが上野公園内の新設トイレの写真を投稿。この写真によると、建物中央に設置された多目的トイレを挟んで男女のスペースがあります。建物両端に男女別の入り口が設けられており、多目的トイレ正面にある入り口からも、男女それぞれのスペースに移動が可能です。問題視されているのは、この建物の構造。男女のスペース前の通路に仕切りなどはなく、一直線で繋がっており、個室の出入りが“丸見え”と波紋を呼んでいます」(WEBメディア記者)

実際、Xでは、投稿された写真を見たユーザーからこんな声が上がっている。

《公園とか駅のトイレってだいたい繋がってるもんじゃない?と思ったけど動画みたら一直線に繋がってて丸見えすぎる これじゃ真ん中に多機能がある男女一緒のトイレじゃん なんで誰も反対しなかったんだろう》
《都会だから近辺にも公衆トイレがあるからマシだとしても限界ギリギリ時にここしか行けなかったら嫌すぎる》
《これ入ってから異性と塀の中で鉢合わせする構造じゃない?怖すぎるし、こういう公衆トイレの罠みたいなのがあちこちにあったら公衆トイレそのものを避けなきゃならなくなるそれは誰が得する事なの?》

トイレの建物があるのは、台東区・池之端方面の公園敷地内。実際に現地を訪れて確認したところ、建物の外に設置された案内板が設置されており、内部は男性用の小便器が3基、個室が一室、多目的トイレの個室1室を挟んで、女性用の個室3室が並ぶ構造だ。

Xで注目された写真の通り、男女のスペース前の通路は一直線につながっており、個室の出入りは容易に確認できそうだ。また、建物自体は人通りが多い観光名所・不忍池の至近にあるものの、多目的トイレ前の中央入り口は、動物公園「爬虫類館」との間に設けられた柵に面している。

そのため、例えば多目的トイレの前を通って通路を移動する利用者がいた場合、池側と比べると、人目に触れる頻度は低いと考えられる。柵は高く、本紙記者が建物を訪れたのは夜間だったが、この入り口側に人影はなかった。

なお、本誌記者が建物を訪れた際、多目的トイレ前のスペース両端がカラーコーンでブロックされており、通路を移動することはできない状況だった。

また、個室は天井とドア枠の間に広い空間があるタイプだった。

同じ敷地に内にある別のトイレは、男女スペースが完全に分けられていたが……。本誌は27日、市民から寄せられたトイレに対する反応について、上野公園を管轄する東京都に問い合わせた。

担当者によると、問題視されているトイレの設置は、近くにキャンパスを構える東京芸術大学との共同事業によるもの。建物は一部で工事が残っており、まだ完成には至っていないものの、トイレとして使用できるようになったのは24日午後だという。

いまやトイレをめぐっては、SNSで批判が続出したことに加え、全国紙もそのことを報じている。担当者は実際に寄せられた声や、設置に至るまでの経緯について以下のように話した。

「やはり、男女のスペースに仕切りがないことに対するご指摘や、性的犯罪を懸念する声をいただきました。設計の段階でも、“性犯罪が起きるのでは”といった意見は出ていましたが、最終的に問題ないと判断されました。

なお、26日午前の時点で、通路を移動できないように暫定措置として仕切りを設けています。また、数は少ないですが、例えばお子様をお連れの女性が、お子様に対して目が行き届きやすいことなど、肯定的なご意見もいただいておりました」

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