「今年も貯められなかった。来年こそ家計簿をつけて、お金を貯めるぞ!」と誓いを立てる人も多いのではないだろうか。

だが、消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんは「漫然と家計簿をつけてもお金は貯まりません」と指摘する。ただ支出を書くだけでは「またこんなに使ってしまった」とモヤモヤするだけだからだ。

「お金を貯めるには、お金をどう使っているかという現状把握が不可欠です。そのための家計簿ですから、ざっくりで構いませんが、定期的に集計し自分の“ムダ遣いのクセ”を見つけることが大切です」(松崎さん、以下同)

実は、家計簿を書くことに必死で、集計せずムダ遣いのありかを探さない人が多いという。

「家計簿で、無意識に使っているお金を可視化し、自分のクセが見つかれば、次はクセを意識してお金が貯まる行動に変えればいいのです。ムダ遣いが減れば、自然とお金が貯まっていきます」

とはいえ家計簿をつけようと意気込んでも、続かないことが多い。

「支出を全部細かく書こうとすると面倒で続きませんよね。私は家計のお悩みに応じて、記帳する部分を『○○だけ』と限定する簡単家計簿を提唱しています」

ではまず、どんな「○○だけ」家計簿が必要か、フローチャートをやってみて。5つの家計簿の記入方法やお金の貯め方を松崎さんに教えてもらおう。

「最近はキャッシュレス決済に悩む人が多い」と松崎さん。ポイント欲しさに何でもクレジットカードで払ったり、小銭を出すのが面倒とコード決済を多用したり。

「キャッシュレス決済で『つい使いすぎる』『いくら使ったかわからない』という人は『キャッシュレスだけ』家計簿をつけましょう」

キャッシュレス決済は現金より使った実感が乏しく、節約意識を忘れがちだ。

また、ネット通販などレシートのないものもあり、何に使ったか思い出せないことも。

「キャッシュレス決済だけを1カ月分集計すると『こんなに使っているのか』と驚く人が多いです」

少額利用の多いコード決済などで、ムダ遣いのチリツモ化が進行しているのかも。「使いすぎ」を認識できたら、キャッシュレスを使おうとするタイミングで「この買い物はムダではないか」を考えるようになるという。

「クレジットカードは後払いなので、財布から現金が減りません。だから管理が難しいのです。

キャッシュレス決済の管理が苦手な人は、クレジットカードで払っても、買った代金を財布から抜き出し銀行口座に戻すか、支払用封筒に取っておくとよいでしょう」

チャージして使う電子マネーやコード決済は月の予算を守ること。

「現金がないからカード払いでしのぐのは最悪です。やめましょう」

■「用もないのにコンビニに行く」ムダ遣いのクセが

家計の困りごとでもっとも多いのは「とにかくお金が貯まらない」ことだろう。原因は「生活費」。

「家計管理の熟練度や節約の達成度などで、おすすめする家計簿が異なります。まず『毎月赤字』という家計管理初心者さんには、『残高だけ』家計簿がいいでしょう」

これは家計管理の基本、「赤字を出さない」ための家計簿だ。

まず月の予算を決める。

予算を使い切っても、家計が赤字にならないならOK。そして「絶対に予算を超えて使わない」と誓おう。

記帳は、毎週月曜などと決める。1週間分のレシートを集め、何に使ったかは考えず、使った合計金額と予算の残金を記載するだけ。

「『まだ3週間あるのに残金が少ない』と思えば『次の週はいくらまで』と考えるでしょう。予算がいくら残っているか、いくら使ってもいいかを明確に意識すれば、赤字は回避できると思います」

食費だけ、自分の小遣いだけなどから始めてもよいという。

次は、毎月赤字ではないものの、「そんなにお金を使ったつもりはないのに、貯まらない」人向けの「店名だけ」家計簿だ。

「どこで、どんな使い方をしているかわかっていない人向けです」

記帳は、毎週月曜や隔週土曜などとまず決める。それまでにレシートを集めておき、店名ごとにレシートを分けていこう。

「レシートの数が多い店を2~3店ピックアップし、その店のレシートだけ、店ごとに使った日付と金額を書くだけです」

「店名だけ」家計簿を見ていると「特に用もないのに毎日コンビニに行く」「100円ショップでいつも1千円以上使う」など自分のムダ遣いのクセが見えてくるという。

「『店名だけ』家計簿では『何を買ったか』より『いくら使ったか』に注目してください。『いつもドラッグストアで買いすぎる』クセに気づいたら、カゴの商品を1つ返す。

『100円ショップで不要なものを買いがち』がクセなら、レジに並ぶ前に本当に使うのかを考える。小さな行動の変化が、貯まる家計に変わるきっかけです」

さらに「予算も決め節約もしているのになぜか貯まらない」という節約上級者は、お金が貯まるまであと一歩。「買って後悔」だけ家計簿で、貯まる家計に進化しよう。レシートを定期的に、中身をじっくり検討する。買った商品に注目して「買ったけど余って腐らせた」「安いから買ったけど着てない」「ご褒美だと思ってムダなものを買っちゃった」など、買って後悔した支出だけをピックアップし、金額を記入していくのだ。

「集計すると、後悔する買い物の多さに愕然とする人がたくさんいます。ムダ遣いがなければ貯蓄できたはずの金額ですからインパクトは絶大です。後悔しがちな使い方を徹底的に洗い出しましょう」

最後は推し活をする人が陥りやすいムダ遣いだ。趣味に関しては「この出費は特別」と聖域化しがちな支出だけを、「趣味だけ」家計簿につけていこう。

「趣味の出費は青天井になりがちです。どれだけ使っているか現状を知り、使いすぎなら予算を決めましょう」

とはいえ、趣味が日常にもたらすメリットも大切なもの。家計に支障がない範囲で楽しもう。

■「店名だけ」家計簿にとても似た自家製家計簿を駆使

貯めることに必死にならなくても、ムダ遣いを減らせばお金は貯まるというが、本当だろうか。「店名だけ」家計簿にとても似た自家製家計簿を駆使する時短節約家のくぅちゃんさんに話を聞いた。

家計簿をつけるきっかけは?

「当時は浪費家で貯蓄ゼロ。バリバリ働いていましたが、2人目を出産後、仕事をセーブすることになり、一念発起しました」

くぅちゃんさんの家計簿は1カ月分が見開き2ページに収まる。食費や日用品費、子ども費などを書く欄は分けているが、書くのは日付と店名と金額だけ。

「レシート1枚で家計簿1行。簡単だから続けられたと思います」

くぅちゃんさんは家計簿をつけ始めて1年目に「元々の浪費を抑えたから」100万円貯まったそう。だが、2年目は家電の買い替えラッシュで貯蓄できず、3年目に断捨離して貯蓄に拍車がかかり、6年間で1千万円の貯蓄に成功した。

「家計簿はもはや習慣化していて、書かないと気持ち悪い。歯磨きみたいなものです」と笑うが、店名だけ家計簿の極意とは何だろう。

「大きな目的は支出の見える化です。長年家計簿をつけていると、使いすぎがすぐにわかります。

それに、たとえば子ども関係で急な出費があったから、今月は食費をちょっとセーブして子ども費に回そうといったひとり作戦会議を家計簿とやっている感覚です」

前出・松崎さんは、家計管理はダイエットに似ていると話す。

「『現状を知るのは怖いから、体重計に乗りたくない』感覚が家計管理にもあるのでしょう。怖いけど現状を知ることがスタートです」

「○○だけ」家計簿で自分のムダ遣いのクセをあぶり出し、2026年こそは貯める体質にアップデートだ。

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