愛子さまが歌会始の儀に出席されるのは今年で2回目。

「ゆったりとにこやかにお座りになり、愛子さまはご自身の歌ばかりではなく、ほかの方たちの歌も楽しんでおられるようでした」

そう語るのは、皇室の和歌の相談役として宮内庁御用掛を務めている歌人・永田和宏さん。

1月14日、宮中の伝統行事「歌会始の儀」が皇居・宮殿「松の間」で開催された。天皇皇后両陛下をはじめとした皇室の方々の前で、古式ゆかしい節回しにより、歌が詠み上げられた。

天皇陛下の御製は、

《天空にかがやく明星眺めつつ新たなる年の平安祈る》

「和歌には2種類あり、日常の出来事や思いのたけを詠うケ(褻)の歌、そして立場のある方が公に詠うハレ(晴)の歌があります。今回の天皇陛下の御製は明らかにハレの歌です。

元日の歳旦祭という大事な務めを終えた後、ほっとして空を見上げると、明星(金星)が輝いて見えたというもの。これからの世界情勢がどうなるかわからないという状況で、国の平安を願われた歌です」(永田さん)

天皇陛下が明星という言葉を使われたように、今回のお題は「明」だった。雅子さまは“明るき”という言葉を御歌(みうた)に盛り込まれている。

《メダル掛け笑顔明るき選手らに手話で伝へる祝ひのことば》

昨年11月に日本で初めて開催されたデフリンピックでの、交流のワンシーンを詠まれた一首だ。宮内庁が公表した解説にはこんな一文も。

《(天皇家の)お三方には、聴覚に障害のある選手や関係者の方々と少しでも直接お話しができればと思われ、日本語の手話と国際手話の挨拶などを学ばれました》

永田さんによれば、雅子さまの感性が表れている御歌だという。

「デフリンピックの選手たちに、手話でお祝いをお伝えになったという内容です。勉強した手話が、相手にうまく伝えられたという喜びが伝わってきます。

この御歌は、私もほとんど直すところはありませんでした。

雅子さまは感性が非常に素直でいらして、御歌もあまり慣用句を使わず、無理をされたところが感じられません。それは愛子さまも同じで、お二人の感性はよく似ていらっしゃると思います」

愛子さまは学習院女子中等科時代に開催された百人一首大会では、100枚中約40枚を一人で取り、10人ほどのグループ内で最多だったというエピソードも。

■お歌の素材自体も変えられた愛子さま

その文才は幼少のときから評判が高かったが、学習院大学時代には古典文学を研究されることによって、いっそう洗練されていった。今回の歌会始では皇族を代表し、愛子さまのお歌が披講された。

《日本語を学ぶラオスの子どもらの明るき声は教室に満つ》

愛子さまは、昨年11月に初めての外国公式訪問でラオスを訪れられた。足を運ばれたビエンチャン中高一貫校で、現地の中学生と高校生が日本語や日本文化を学ぶ授業を参観したときの思い出を詠まれたのだ。

「愛子さまは歌会始のために、ラオスご訪問にまつわる5首を提出されました。皇室の一員として大事な務めを果たしたという気持ちを大切にされたかったのでしょう。これまでは友達や学生生活のことなどを詠まれてきましたが、今回は素材選び自体が変わりました。

歌も一人の女性としてというよりは、皇室の一員というスタンスで詠まれているようで興味深かったです。

今回披講された歌は、私が全く助言する必要がなかった一首です。

愛子さまは大学時代に後白河天皇の第三皇女で、歌人としても知られている式子内親王や、和歌の歴史を研究されました。和歌というものをよく理解されており、まとめどころもしっかり自分のものにされていると思います。愛子さまは、毎月の月次歌会(つきなみのうたかい)に提出する歌も作られています」(永田さん)

皇室では毎月、共通の題を決めて歌を詠む「月次歌会」が催される。皇室の方々全員が提出する義務はなく、集まって開かれる会でもないが、天皇皇后両陛下の誕生月は提出者が多いという。

愛子さまは、どれほどの頻度でお歌を詠まれているのだろうか。

「美智子さまの御歌も解説していた皇室ジャーナリストの渡邉みどりさんは、かつて“月次歌会や両陛下のお誕生日、ご公務で遠出されたときなど、年間で16首は詠まなければならず、披露できるような16首を作るためには、100首ぐらいは詠まないといけないといわれています”と話していました。

愛子さまは真摯なご性格ですし、昨年は初めてのご公務も多かったので、100首以上は詠まれていると思います」(皇室担当記者)

ご公務と日本赤十字社のお仕事の合間に寸暇を惜しんで創作と研鑽を続けられている愛子さま。その原動力となっているのはご家族とのひとときだという。

「天皇皇后両陛下と愛子さまは、それぞれのお歌についてご存じでした。きっと日ごろからご家族で見せ合っていらっしゃるのではないでしょうか。愛子さまが、歌を父にも見せましたと、メールで書かれていたこともありました。本当に仲のよいご家族だと思っています」(永田さん)

来年の歌会始の儀のお題は“旅”。

愛子さまもこれから訪れる地に思いを馳せられていることだろう。

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