「かゆみや痛み、ぶつぶつしたできもの、下着に便がつく、便漏れなど、お尻に異常があっても誰にも相談できず、人知れず悩んでいる女性は少なくありません。

更年期世代になると大腸がんの罹患率も上がり、お尻の異変には重篤な疾患が隠れている場合もあるので、ためらわず専門医を受診しましょう」

こう話すのは、10万人以上のお尻を診察してきた大阪肛門科診療所副院長の佐々木みのり先生だ。

みのり先生はその豊富な経験から、お尻のトラブルの多くは便秘や洗いすぎ、そして排せつ後に便が残っている「出残り便」が原因である、と断言する。

「誤った習慣を改めない限り、腸活をがんばっても改善しません。正しい知識を持ってお尻と向き合うことで運命が変わります」

今回は、今日から始められる、日常でできるお尻トラブル対策の心得をみのり先生に解説してもらった。

■便秘を引き起こす「悪いもの」を控える

「便秘症をはじめ、来院する女性の多くは食生活に問題があります」

改善の鍵となる食事療法について、みのり先生は乳製品、小麦、白砂糖、カフェイン、アルコールを「5毒」と称し、極力抜く食生活を指導している。

「小麦に含まれるグルテンと乳製品に含まれるカゼインというタンパク質は、消化されにくく腸内にとどまり、便秘や下痢などの原因に。アルコールは分解されるとアセトアルデヒドという物質が発生し、体に悪さをします」

乳製品は豆乳やココナツミルク、小麦は米粉や玄米、白砂糖は三温糖や黒砂糖などに置き換える。腸内環境を整えるため、必須の栄養素である乳酸菌、プロバイオティクス、ビタミンCなどをしっかりとることをみのり先生は推奨している。

「継続するうち見違えるほど便通が整い、不調があらわれなくなる人も多くいます」

■洗いすぎない生活

「肛門そう痒症や肛門狭窄症など、洗いすぎが原因で起こる疾患は少なくありません。どうしても温水洗浄便座から離れられないなら1日1回、ゆるい水圧で3秒以内と決めましょう」

公共のトイレの温水洗浄を利用することは厳禁。キレイにしようとするほど汚くなるもの、とみのり先生は言う。ペーパーはボールのようにふわっと丸めてさっとひと拭きが理想だ。

「強い水圧をかけたり石けんでごしごし洗うと皮脂膜がはがれ、免疫力が低下してしまいます」

下剤の使いすぎも癖になる。

増量を重ねているうちに自力で排便することが困難になり、出せない体になってしまう。

「出残り便に(下剤は)効果がなく、腸内で下痢を起こして出口で渋滞し、激しい腹痛を引き起こすこともあり、安易な使用は注意が必要です」

■毎日のセルフチェック

「理想は、いきまなくてもするりと出て、表面が歯磨き粉より少し硬め、が目安。拭いたペーパーに便がつくなら便秘を疑って根本から改善をしなくてはなりません」

出した便はもちろん拭いた紙もすぐに流してしまわず、血が混じっていないかなど、チェックすることをみのり先生は勧める。

「出血があるなら、すぐに受診を。便の状態はしっかり形があること、便器の水が濁らないのが理想。ニオイのもとはインドールやスカトールという物質で、腸内環境がよく善玉菌が多いと便臭は強くありません」

逆に善玉菌が少ないとニオイがキツくなるので注意が必要。お尻と便、そしてペーパーの状態は健康のバロメーター。まずはしっかり向き合うことが大事だ。

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