勇壮な行進曲が流れるなか、護衛馬部隊をはじめ皇宮護衛官たちが颯爽と行進するのを、天皇陛下と雅子さま、そして愛子さまが見守られている。1月23日、皇宮警察本部の年頭視閲式が皇居・東御苑で開かれていた。
「昨年に続いて、天皇皇后両陛下とご一緒に愛子さまも出席されました。皇宮警察の幹部や護衛官たちは緊張しつつも“非常に光栄なことだ”と晴れがましい様子で話していました」(宮内庁関係者)
晴天の下、つつがなく行われた年頭視閲式。同日午後1時過ぎ、国会には“紫の袱紗(ふくさ)”に包まれた、天皇陛下の御名御璽(ぎょめいぎょじ)が記された解散詔書が届けられた。そして議長が詔書を読み上げ、衆議院が解散されたのだった。
通常国会冒頭の解散は60年ぶり、選挙戦の期間は1月27日公示、2月8日投開票と、戦後最短の選挙戦がスタートした。高市早苗首相が衆院解散を決断した背景には何があったのか。自民党関係者はこう話す。
「総裁選での勝利に貢献した麻生太郎副総裁や、鈴木俊一幹事長には一切伝えず、わずかな側近たちとのみ相談し、決断したと聞いています。政策の実現のためには、安定した国会勢力と“選挙に勝った総理総裁”としての影響力強化が欠かせません。さらに野党の準備不足を突くため、冒頭での解散に踏み切ったというわけです」
しかし事態は、首相がもくろむ展開とは異なる方向に急転する。昨年26年続いた連立関係を解消した公明党が、野党第一党の立憲民主党と合流し、新党「中道改革連合」(以下、中道)を結成したのだ。
「両党の衆院議員が合流するという急ごしらえの結党でしたが、立憲を支援する連合や公明党の支持母体・創価学会の組織票は、自民党内にも不安を広げています。
以前より数は減ったとはいえ、公明票は一つの選挙区あたり1万から2万票とされていて、自民や維新との接戦区では勝敗を左右しかねない数です。また高市政権は発足後、報道各社の調査で6割から7割という高い支持率を維持してきました。そんななか、中道が掲げた“食料品の消費税ゼロ”の検討を、高市総理が急きょ19日の記者会見で言及したことに、党内外から“ブレブレだ”という具合に批判が上がりました。
現状では、“必ずしも自民党が大勝する展開とはならないのではないか”という悲観的な見方も出てきています」(前出・自民党関係者)
■“皇室の危機”を巡る議論には進展が
大混戦の度合いを深めながら始まった厳寒の総選挙。
本来ならば通常国会で議論が進むはずだった、皇族数の確保策を巡る議論には、どのような影響を及ぼすのか。これまで、結婚後の女性皇族の身分保持案、旧皇族に連なる男系男子の養子縁組案の2案を中心に議論が進んできた。神道学者で皇室研究家の高森明勅さんは次のように語る。
「安定的な皇位継承、皇族数の減少に対する問題点については、これまでよりも議論が進む可能性が高いでしょう。
現状の自民と維新の連立合意書では、養子縁組案を優先することになっています。ただそれ以前の自公連立政権時では、女性皇族が結婚後も皇室に残られる案でおおむね合意ができており、配偶者や子も皇族にするかという点で議論されていました。
また逆に中道が大きく議席を伸ばせれば、野田共同代表を筆頭に立憲が優先すべき案としていた、女性皇族が結婚後も皇室に残っていただくという喫緊の課題に本格的に取り組む基盤が整うでしょう」
国会の停滞は、女性皇族が未来を選べないままの膠着した状態を生み出していた。ようやく光明が差してきたかに見えるが、皇室にとってさらなる大転換も起きうる可能性もあるという。前出の自民党関係者はこう明かす。
「調査によっては国民の9割が容認している“女性天皇”の実現に向けた動きが加速するかもしれないのです。じつは高市総理が、女性天皇を可能にする方策の検討に大きく舵を切るのではないかと囁かれています」
高市首相は2021年の『文藝春秋』のインタビューで“女性天皇には反対しない”と述べていたこともある。“愛子天皇論”が急浮上する背景には、高市首相が当選同期ながら“政治の師”と仰いだ安倍晋三元首相の存在があるという。
「安倍元総理の没後、“じつは愛子天皇の実現を模索していた”などと報じられてきました。解散の決断を下すにあたって意見を仰いだ一人が、今井尚哉・内閣官房参与でした。今井さんは安倍晋三元総理の総理秘書官などを務めた安倍晋三元総理の最側近。高市総理は当初、今井さんに秘書官への就任を打診したといわれるほど信頼しています。
高市総理は、人事、外交・経済政策、あらゆる分野で“安倍路線”の継承を打ち出して求心力を維持しています。
だが依然として保守派の政治家や論客は、男系男子による皇位継承の堅持を掲げている。前出の高森さんはこう続ける。
「高市首相も皇室が直面する問題について、それなりに勉強しているでしょう。一夫一婦制のもとで男系男子にこだわり、女性天皇を認めないと、皇位継承がいずれ立ち行かなくなることは、少し勉強すれば理解できるはずです。安倍元首相が旧宮家の感触を探ろうとして挫折した経緯があり、養子縁組案に現実味がないことは、高市首相も認識しているでしょう」
愛子さまに「天皇への道」も拓ける可能性の浮上――。両陛下はそうした可能性も早くから念頭に入れておられたのではないかという。
「天皇陛下は2005年の記者会見で、『どのような立場に将来なるにせよ、一人の人間として立派に育ってほしいと願っております』と述べられています。愛子さまが現行の皇室典範の規定とはちがうお立場になられる可能性も考慮されて、愛子さまをお育てになったのだと思います」(前出・高森さん)
■岩手・宮城ご訪問に愛子さまもご同行へ
戦後80年の節目だった昨年、愛子さまは両陛下と「記憶継承の旅」で各地を巡り、また初の外国公式訪問先のラオスで、ご自身のおつとめに全身全霊で臨まれた。
「昨年はご公務の幅がより広がった一年でした。そして東日本大震災から15年となる今年、両陛下は3月下旬に岩手・宮城県を訪問される予定ですが、愛子さまも同行される方向で調整されています。
愛子さまはご公務で、はつらつとしてほほ笑みを絶やさず、国民との交流を楽しみながら、やりがいをお感じになっているようにお見受けしています。
総選挙がいかなる結果であろうとも、愛子さまはご自身の運命に従って、力強く歩まれていく。
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