「解散の大義をほとんどの方に理解いただけていない。でも、これは私なりの筋です」

衆院選が公示されて2日目となる1月28日、札幌市内のホテルでこう語ったのは、高市早苗首相(64)だ。

高市氏は新たな連立政権の構想や「責任ある積極財政」といった政策について国民の信を問うとして、23日に衆院を解散。今回の衆院選を「政権選択選挙」と位置づけている。

しかし、この解散と選挙に対し、違和感や反発を示す声も少なくない。とりわけミュージシャンを中心に、疑問や批判が噴出している。

たとえばシンガーソングライターの春ねむり(31)もその一人だ。25日、Xを更新した春は一般ユーザーのコメントを引用する形で、19日に行われた高市首相の記者会見映像を投稿。動画内で高市氏は「国論を二分するような大胆な政策にも、批判を恐れることなく果敢に挑戦していきたい。改革をやりきるためにはやはり政治の安定が必要であり、有権者の皆様の信任を得たい」と述べ、解散に踏み切った理由を説明していた。

これに対し、春は《「選任されたら重大な法案を通すけどその中身はみんなには選挙前には教えません!」って公言する政治家をファシストと呼ばない意味がわからない。典型的な民意ガン無視のファシストだよ!》と私見を投稿。強い言葉遣いが、ネット上で大きな議論を呼んだ。

また、28日にはロックバンド「子供ばんど」のボーカル・ギターで俳優のうじきつよし(68)がXで次のような投稿をおこなった。

《【大拡散希望!】難しいことは言いません。次は絶対に『自民党』に投票しないで下さい。「他より良さそう」「永年支持」皆さん全員です。さもないと、今の日常の安全『幸せ』がもれなく失われ、今がキツい人は、間違いなく更なる苦境、貧乏に貶められます》

この投稿は、29日時点で297万件以上のインプレッションを記録するなど大きな注目を集めている。さらに、続く投稿では比例代表について《『共産•れいわ•社民』のいずれかに、必ず投票して下さい》と具体的な政党名を挙げ、小選挙区についても《3党の候補者があなたの選挙区にいなければ、『中道』の候補者に投票してください。3党(予備で中道)以外には絶対に投票しないで下さい。自称富裕層の方たちも、よろしくお願いします。荒廃していく社会で暮らしたいですか?》と呼びかけたのだった。

この投稿に呼応したのが、フォークロックユニット「たけとんぼ」のボーカル・平松稜大(31)だ。平松は同日、うじきの投稿を引用する形で、《野党に入れて!とか、共産党の名前を出したりするとウッてなる人いまだに多いとは思うけど「戦争をしない」「差別をしない」「格差を是正する」という、なにも悪くない、むしろ人が人としてやさしく安全にゆたかに生きられる国のためにはこの3党の存在非常に大事なので是非検討されたし》と訴えた。

続けて、《差別と戦争とカルト宗教と裏金のお得4点セットか、そうでないほうかの2択だったら迷うことはマア本来ないはずですのでね》と投稿し、現政権への強い問題意識をにじませたのだった。

「ミュージシャンが政治的立場を明確に示すことは日本では珍しいですが、うじきさんは以前から政権批判を繰り返してきた人物です。

昨年10月、トランプ米大統領が来日した際には、高市首相のふるまいを《権力とみれば高揚し卑屈に媚びへつらい》《醜悪》などと、かなり強い言葉で批判し、物議を醸しました。

今回の投稿についても、強い言葉で特定政党への投票を呼びかけた姿勢に対し、平松さんのように共感の声をあげる人がいる一方で、抽象的な表現で有権者の判断に強く踏み込んだ点を疑問視する意見も出るなど、賛否を呼んでいます」(全国紙記者)

「これは私なりの筋」と主張する高市氏と、強い言葉を使って「それは民意なのか」と問いかけるミュージシャンたち。その間に横たわる溝は、決して小さくない。今回の衆院選は政治と社会の距離が改めて問われる選挙となりそうだ。

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