1月27日に公示された真冬の衆院選。2月8日の投開票に向けて、与野党がSNSや各地の演説で党勢拡大を狙うなか、1月30日に自民党広報によるXのアカウントが、こんなアピールを投稿した。

《高市内閣就任3か月の取り組みと実績 ガソリン税・軽油引取税の暫定税率廃止》

ガソリン税と軽油取引税の暫定税率廃止法案は、昨年11月28日の参院本会議で全会一致で可決され、成立。1リットルあたり25.1円のガソリン税の暫定税率は同年12月31日で廃止となり、17.1円かかっていた軽油取引税の暫定税率も、今年4月1日をもって廃止されることが決まっていた。

この法案は、昨年10月に就任した高市早苗首相(64)の元で成立。それを功績としてアピールする自民党広報だが、一部からは、こんな疑問の声が上がっている。

《間違いなく自民党だけでは達成できなかった取り組みですよ。その裏でガソリン暫定税率の合意に奔走した議員がどれだけいるかご存知ですか?野党の手柄を横取りするかのような見出しで大変残念》
《ご協力には感謝します が、その政策はどこからきた!》
《大変な申し訳ないですが、これって野党がけしかけてなければ実現しなかったんじゃないの 違うの?》
《ぜんぶぜーんぶ、国民民主党が提案して言い続けたことだよね》

というのも、法案成立には国民民主党をはじめとする野党による大きな働きかけがあったからだ。

「暫定税率が廃止されるまでの過程は、国民民主党が’21年の衆院選で、1リットルあたりのガソリン価格が3カ月連続で160円を上回った際に発動される『トリガー条項』の凍結解除を公約に盛り込んだことに遡ります。以降、国民民主党と自民党・公明党との協議が設けられ、石破政権下の’24年12月に3党の間で暫定税率そのものを廃止することで合意に至りました。

ただ、具体的な実施時期までは決まらず先送りされることに。その後、’25年11月に自公と国民民主党、日本維新の会、立憲民主党など与野党6党で暫定税率廃止(ガソリン税は年内、軽油取引税は’26年4月)が正式合意に至り、臨時国会で法案が成立しています。

そもそも、’24年12月に一度合意に至ったのも、与党が同年10月の衆院選で過半数を割り込んだ状況で、国民民主党から同年度補正予算への賛成を得ることの引き換えでした。また、’25年6月の衆院で野党賛成多数で法案が可決(参院で廃案)した際、自民の小寺裕雄議員(65)が財源の裏付けがないとして『ま・る・な・げ』『究極のポピュリズム』と揶揄したことからも、自民が当初から法案成立に積極的だったわけではありません。

自民党が衆参で過半数を割って影響力が落ち、国民民主党をはじめとする野党の粘り強い要求をのまざるを得なくなった側面が大きい。そのため、“高市内閣の手柄”と喧伝する広報の言葉選びには異論が出てくるのでしょう」(政治部記者)

なお、税制改正法案が年度内に成立しない場合は、4月1日に予定される軽油取引税の暫定税率廃止に影響が出てくる可能性もある。衆院選がどのような結果に終わろうとも、国民との“約束”が反故にされることはあってはならない。

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