「『カーネーション』への出演を聞いたとき、ドッキリかと疑ってしまうほど驚きました。朝ドラ出演は長年の夢で、デビュー以来、何度もオーディションを受けては落ちてきたんです。
こう振り返るのは、新山千春さん(45)だ。“このタイミング”と感じたのは、育児に奮闘していた時期だったからだ。
「朝ドラは大阪の撮影で、半年ほど住まなければなりません。家族会議をひらいて、2歳の娘と4匹の犬を連れて行くことに。NHKが局の近くのホテルを用意してくれていたのですが、娘や犬がいるために、自分で不動産屋さんに足を運んで家探しをしました。撮影期間は、娘を近くの保育園に預かってもらい、家では段ボールの上にランチョンマットを敷いて食事をするような生活でした」
覚悟を持って臨んだ撮影でもっとも苦労したのは、舞台となった岸和田の方言だ。
「幼いころにピアノを習っていたので、セリフに音符のような印を書き加えて覚えました。それでも夏木マリさんとのシーンで、何度も方言指導の先生にNGを出されてしまって……。申し訳なく思っていたのですが、夏木さんは『千春、間違えても死にはしない。私たちだけ関西弁で育ってないからしょうがない! 大丈夫だからもう一回やろう』と励ましてくださって、肩の力を抜くことができました」
主演の尾野真千子は母親役だが、新山さんと同じ年齢。
「それなのに『あんた、そこ座り!』って怒られると、本当にお母さんみたい。でもカメラが止まると、同い年ということもあり、話しやすくて親しみやすい方でした。
妹役の川崎亜沙美とは、とにかくぶつかり合うシーンが多かった。
「バッグを奪い合いながら道路でもみくちゃになったり(笑)。川崎さんはもともと女子プロレスラーをされていた経験がある方なので力は強かった印象ですけど、私は長女だから負けられない。その気持ちを大事にお互い手加減しないようにぶつかってくださいと監督から言われていました」
新山さんが演じた役のモデルとなった、ファッションデザイナーのコシノヒロコさんも撮影現場に顔を出していた。
「目の奥に意志の強さを感じられて、すごく凛とした方。そのヒロコさんが『似ている』と言ってくださったのは、私の財産。思い入れが強い作品だから、今でも落ち込んだときに『カーネーション』の主題歌を聴くと、過去の頑張った自分に励まされるんです」
NHK連続テレビ小説『カーネーション』(2011~2012年)
主人公はファッションデザイナーとして活躍するコシノ3姉妹の母、小篠綾子がモデル。ギャラクシー賞大賞ほか数多くの賞を受賞し、「朝ドラ史上最高傑作」との呼び声が高い名作。ミシン片手に「女」「仕事」「家庭」「時代」と戦う糸子(尾野真千子)の姿に毎朝号泣!
【PROFILE】
にいやま・ちはる
1981年生まれ、青森県出身。1995年、ホリプロスカウトキャラバンをきっかけに芸能界入り。多くのドラマ映画に出演するほか、バラエティ番組でも活躍。
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