「東京都内の賃貸物件の家賃は、この1年だけを見ても、1割ほど上昇しています」

こう話すのは、東京都港区の不動産会社・アプロウドの代表・榮德圭之輔氏。

実際、賃貸住宅専門サイトを確認すると、5年前には9万円弱だった東京23区のワンルーム(30平方メートル以下)の平均家賃が、今年は大台をはるかに超えて約10万7000円に。

ファミリー向け物件(50~70平方メートル)にいたっては、およそ19万円だったのが25万円超、約1.34倍にハネ上がっている。

背景にあるのは、やはり物価高。

建築資材や人件費が上がり、分譲マンションの価格も高騰。新築マンションの平均価格が3年連続で1億円を超えており、中古マンションでも1億円を超える物件が。

「金利も上がり、購入を断念した人が賃貸市場に流入。需給バランスが崩れ家賃相場を押し上げています。この傾向は東京に限らず、全国ほとんどの都市部で同じことが起こっています」(榮德氏、以下同)

そんななか、ある種の物件に注目が集まっている。

「入居後の暮らしぶりの想像がつかない“狭小”ワンルームや、50年以上前に竣工されたような、極端に“築古”なマンションなどへの関心が高まっています」

そこで、独自に不動産情報を徹底検索。東京や大阪などで見つけた驚くほど狭い、あるいは古い、でも、超リーズナブルな物件を紹介する。

■DIYで自由にリノベーションできるのが魅力

いっぽう、さらなる驚愕の人気物件も。案内してくれたのは、国内外のユニークな物件情報を発信して大人気の“内見系”YouTubeチャンネル「ゆっくり不動産」。6年前の配信開始以来、500件近い物件を内見・取材してきた。

「もっとも衝撃を受けたのが、昨年3月に内見した福岡県の、20年ほど前に廃業したラブホテルをそのまま賃貸にした物件。建物の外観も内部も、ほぼ当時のままなんです」(ゆっくり不動産、以下同)

動画を見ると、屋上にはホテル名のネオン看板、駐車場入口にはボロボロになった“ビラビラ”、玄関ホールには、シニアにはきっと懐かしい、部屋を選んでボタンを押す“客室パネル”まで。

「ラブホテルだった建物を全面的に改修し、貸し出している物件はあるかもしれませんが、ここまで居抜きで、というのはおそらくここだけでは」

借りられるのは2階の約11~14平方メートルの8部屋。各部屋にはトイレはもちろん、ちょっと広めで艶っぽいバスルームも完備。これで家賃は、全室共通の1万円。

「入居者は自由に室内をDIYできます。しかも、建材費はオーナーさん負担。さらに、初心者にはDIYのレクチャーまで。だから、入居者はアイデアと労力だけで部屋をリノベーションできる。借り手と一緒に、物件を進化させたいというのが、オーナーさんの意向のようです」

この“元ラブホ”と同じオーナーが、まったく同じシステムを導入し見事、再生させたのが、同じく福岡にある“元廃墟団地”だ。

「もとは公営団地。1949年に設計された、団地マニアが一目置く『49A型』と呼ばれるタイプ。

ここも家賃は1万円、建材費はオーナーさん負担で自由にDIYが可能。こちらは2024年10月に動画を公開して、現在まで40万回ぐらい視聴されていますが、その動画の配信を契機に、一気に満室になりました。かつての廃墟団地がいまや、おしゃれなカフェや、ちょっと不思議な秘宝館まである、個性豊かな人気スポットに生まれ変わっています」

そのほか、銭湯の敷地内にあって、配管だらけのボイラー室を通らないとたどり着けない京町家(京都)や、専有面積わずか7.9平方メートルの部屋を、不釣り合いなほど巨大なキッチンが占める格安ワンルーム(東京)など超個性的かつ、お手ごろ家賃の物件動画も、多数配信中のゆっくり不動産。

「もともと、狭小物件の動画のニーズは高かったんです。『こんなに狭くて、どうやって生活するの?』と、面白がって見る人が多かった。それが最近では一般的な賃貸物件の家賃高騰の影響で、低価格の物件を見つけたいという切実な理由の視聴者も増えて、さらに注目度が上がった印象。視聴回数も伸びています」

こんな、安価でクセの強い部屋で、あなたも新生活を始めてみてはいかがだろうか?

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