ベージュ色のセットアップをお召しの雅子さまが、ほほ笑みながら握手を交わされた。

「3月4日午後、天皇皇后両陛下は皇居・御所で、カナダのガニエ上院議長夫妻と会見されました。

再来年の’28年には、日本とカナダは外交関係樹立100周年を迎えます。天皇陛下と雅子さまは、カナダで発生した山火事被害のお見舞いを伝え、また東日本大震災の際のカナダからの支援に謝意を示されています。

この日さらに両陛下は、オーストラリアのゲイグラー最高裁判所長官夫妻とも会見されたのです」(皇室担当記者)

天皇陛下は初めての外国旅行として’74年にオーストラリアを訪問されており、その当時の思い出話なども語られたという。

親善のためのご会見であり、雅子さまも終始にこやかなご表情でいらしたが、そのお心には強固な決断が秘められていたのではないかと、この皇室担当記者は続ける。

「’24年に『第10回太平洋・島サミット』に出席した各国首脳たちを宮殿に招いて両陛下がお茶会を開催されたことなどはありましたが、雅子さまが同じ日に連続して外国の賓客と会見されるのは異例です。

そもそも君主や元首級ではない賓客と御所でお会いになること自体が珍しいケースです。それだけ現在の世界情勢を憂慮されているようにお見受けします」

いまもっとも懸念されているのはイランを巡る中東情勢だ。

「今年2月上旬には、アラブ首長国連邦のムハンマド大統領が国賓として来日し、宮中晩餐にも参加する予定でしたが、アメリカのトランプ政権がイランへの軍事圧力を高め、情勢が緊迫したため、直前に来日が延期となりました。

そして2月10日、両陛下は外務省の総合外交政策局長のご進講を受けられています。この際には米軍によるイラン攻撃の可能性が高まっていることについてのご説明があったようです。

日本が輸入する原油の8~9割が、イランが面しているホルムズ海峡を経由して輸送されます。同海峡の封鎖による日本国民の生活への打撃は計り知れません。

そうした危機を目前にして雅子さまも“いまの自分にできること”を模索した結果、国際親善にさらに励むことを選ばれたのでしょう」(前出・皇室担当記者)

■早々に会見へのご出席を表明されて

雅子さまにはご体調の波があるため、近年は希望されているご予定であっても、事前には天皇陛下のみの予定として発表されることが多いとされる。

「宮内庁内で雅子さまもカナダとオーストラリアの高官と会見に臨まれる予定であることが発表されたのは2月27日でした。1週間近くも前に今回の会見への出席を表明されていたことからも、並々ならぬ意欲を持たれていたことが伝わってきます」(前出・皇室担当記者)

だがその翌日の2月28日午後(日本時間)、アメリカ軍とイスラエル軍がイランへの攻撃を開始。さらに衝撃的な情報に雅子さまは愕然とされたという。

「そうしたなか、イラン南部の都市ミナブで女子小学校が爆撃を受けたことが報じられたのです。がれきの山からは幼い少女たちの遺体や学用品などが次々に見つかり、死者は学校関係者も含めて170人以上とされています。

たくさんの棺が並べられた情景に、イラン国内のみならず、世界中の多くの人々が震撼しました。近隣には軍事施設もあり、米軍がこの小学校がある地域を攻撃対象にしていたと欧米のメディアも伝えています。

国際人道法違反として国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)など、国際機関から非難の声も上がっていますが、トランプ大統領は、『イランの仕業だ。彼らの攻撃の精度は低い』などと述べ、米軍の関与を否定したのです」(全国紙国際部記者)

雅子さまはずっと、世界の子供たちの平和と幸せを願われてきた。昨年12月、62歳のお誕生日に際して公表されたご感想にはこうつづられている。

《世界各地での戦争や紛争により、子供を含む多くの人の命が失われ、多くの人が故郷を離れることを余儀なくされていることに深く心が痛みます。

暴力や武力などの力に訴えることなく、異なる価値観を尊重して受け入れる寛容な社会と平和な世界を築いていくために、人々が対話を重ね、相手の立場を理解しつつ協力していくこと、そして世界中の人々が手を携えて、平和を築いていくための努力を重ねていくことの大切さを切に感じています》

暴力や武力などに訴えない理想の世界を目指してきた雅子さまにとって、罪なきイランの少女たちの殺戮は「看過できない」ものだ。

皇室番組を長年手がけてきた放送作家・つげのり子さんはこう話す。

「皇室の方々は政治的な発言を控えられていますので、雅子さまも具体的な発信をされることはないでしょう。しかしイランでの少女たちの惨劇について、雅子さまは陛下や愛子さまと痛ましい思いを共有されていると思います。

アメリカとイスラエルによる攻撃は、いつまで続くのか見通せない状況です。イランによる反撃を受けた周辺国が参戦する可能性も指摘されています。

中東での戦争が長引きますと、両陛下が6月に検討されているオランダ・ベルギーのご訪問にも影響を及ぼしかねません。予定どおりにご訪問が実現しましたら、両陛下は世界平和の実現に向けたご信念を表明されるのではないかと考えています」

トランプ大統領は地上部隊の投入も示唆している。戦闘が激化すれば、より多くの人命が失われることは明らかだ。

“これ以上、子供たちが犠牲にならないように……”、陛下も雅子さまも平和への祈りを捧げられているに違いない。

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