独創的な筆運びや構図の作品を前に、愛子さまは身を乗り出されながら、一つ一つの書画を丁寧にご覧になっている。3月2日、都内で開かれていた第57回現代女流書展を鑑賞された。

皇后や女性皇族方がご覧になることが多い同展に、愛子さまは初めて足を運ばれた。皇室担当記者は振り返る。

「123人もの女流書家による漢字や仮名、篆刻をはじめとする作品が展示され、じっくりとご覧になっていました」

新年恒例の歌会始の儀で、書をしたためることもある愛子さま。感慨深そうに、

「書を勉強しなければ」

とお話しになっていたという。

そんな愛子さまが、いっそう学びを深められたいとお考えになっていることは、両陛下とまもなく足を運ばれる東北の“被災地の現実”だろう。天皇ご一家は3月25日から26日にかけて、岩手県と宮城県を訪問される。宮内庁関係者はこう言う。

「天皇ご一家は、東日本大震災から15年の節目に合わせ、あらためて被災地で犠牲者を追悼されます。また被災や復興の経験を伝える施設などを訪れ、人々の声にも耳を傾けられます。岩手県は大槌町と大船渡市、宮城県は南三陸町や石巻市を訪問されるご予定です。

被災の記憶を風化させず、次世代へ継承する……両陛下が愛子さまを伴われることには、“皇室は今後も震災で傷ついた人々へ寄り添う”というメッセージが込められているとも思いました。

訪問に先立つご準備として、専門家を御所に招き、復興の現状や人々が直面する課題について、お三方でご進講などといった形で説明を受けられると伺っています。

さっそく12日には、復興庁の山野謙事務次官によるご進講が予定されています」

そして愛子さまは、御所だけではなく、ご勤務先である日本赤十字社(以下、日赤)でも、被災地での救護に尽力した職員らの経験に接する場に臨まれていたのだ。

日赤は3月3日、東日本大震災以降に入社した職員を中心に、被災地で活動した日赤のスタッフらによるセミナーを本社で開催した。前出の皇室担当記者は続ける。

「医療や災害救護、献血、ボランティア、国際人道支援……日赤職員は日々、“命を守る”という活動にあらゆる形で関わっています。あの震災での壮絶な救護活動に携わった職員らの知見や教訓を、若手や中堅職員にも生かしてほしいという目的のもとに開かれたそうです。

セミナーはオンラインでも配信され、今後はアーカイブ視聴も予定されています。愛子さまは会場にはいらっしゃらなかったのですが、別の場所でセミナーをご覧になっていたと聞いています。これまで愛子さまは、どのようなお務めにも徹底的に“予習”されて臨まれてきました。震災時、最前線で奮闘した先輩方のお話は、何としても聞いておきたいとお考えでいらしたはずです」

■最前線にいた職員の葛藤や教訓を……

セミナーに登壇したのは、宮城県石巻市の石巻赤十字病院の医師だった植田信策さんや、日赤の福島県支部の久保芳宏さん、宮城県支部の防災ボランティアとして啓発活動に従事する安倍志摩子さんの3人だった。

「15年前、大津波で近隣の病院が機能停止に陥るなか、石巻赤十字病院は津波被害を免れ、被災した患者が続々と搬送された病院です。植田さんは職員の20人に1人が家族を亡くしたと説明しつつ、『目の前の人の命を救うのに集中するしかなかった。同じ状況になったら、皆さんもそうなる』などと、災害の最前線で活動する過酷さについて話していました。

福島支部の久保さんは、福島第一原発に近い地域に向かった救護班が、事故発生のため撤収を余儀なくされた事例を語っています。救護員の一人が綴った手記の、『どうせ見捨てていくんでしょ、そんな罵声のような避難者の声が撤収の際に聞こえてきた。罪悪感と恐怖感が入り交じり、心が折れそうだった……』といった一節を、久保さんは涙ながらに読み上げていました」(前出・皇室担当記者)

愛子さまが業務でも関わることが多い防災ボランティアを務める安倍さんは、宮城県東松島市で被災。夫とともに津波に流されたが、ともに消防団に救助された経験を語りながら、日赤の後輩たちに“大切なこと”を伝えていたと、前出・皇室担当記者は話す。

「看護師資格があった安倍さんは身を寄せた避難所で救護活動を支援したことを振り返っています。その経験から、震災後に本格的に携わるようになった防災ボランティアの活動で、“笑顔を絶やさない”“笑顔に出会えば人は笑顔になる”ことの大切さを実感したと話していました。

悲しみに寄り添いつつ、傷ついた人々を安心させる……まさに皇室が大切に受け継ぐなさりようですし、愛子さまもお務めに大いに生かされたいとお考えになったのではないでしょうか」

静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんは、愛子さまのご姿勢について次のように語る。

「皇室は古くから、自然災害の被害を受けた人々への励ましや支援を続けてきました。

愛子さまがご公務で被災地を訪問し、また日赤でお仕事をされていることは、歴代の皇室の営みに沿ったものです。両陛下との岩手・宮城両県のご訪問を通じて、言葉では表現しきれない祈りや内面的なお心のあり方を学ばれる大いなる機会となることでしょう」

笑顔は命を救う――先輩社員たちからの教え、そして直面した葛藤から学ばれた愛子さまは、東北ご訪問に向けたご準備を、今日も真摯に重ねられている。

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