(写真:アフロ)
「すごく順調にきています。(自軍の)ホームのデビュー戦でホームランが打てることは、あまり予想していなかったんで、『できすぎじゃないか』と思います!」
アメリカ・メジャーリーグのエンゼルスに入団して1年目の大谷翔平(23)。
最新刊に『夢をつかむパワー! 大谷翔平86のメッセージ』(三笠書房)がある、追手門学院大学特別顧問で臨床スポーツ心理学者の児玉光雄さんは、こう話す。
「大谷選手は、『自分はできるんだ、能力が備わっているんだ』と思い込むことのできる『有能感』が桁外れです。周囲の意見に左右されることなく、夢の追求を貫いてきたのではないかと思います」
自分の夢を着々とかなえつつある23歳の若者が、ここに至るまでの道のりは、どんなものだったのだろうか。原点である家庭について取材した。
大谷は'94年7月5日、元・社会人野球選手で会社員の父・徹さんと、元バドミントン選手の母・加代子さんのあいだに生まれた。長男、長女、大谷と3きょうだいの末っ子だ。
大谷を取材し続け『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』(扶桑社)を著したスポーツライターの佐々木亨さんが、当時の大谷家をこう語る。
「大谷選手が生まれる1年前に、大谷家は父・徹さんの地元・岩手県にもどりました。いまでもそうですが、大谷家にはテレビが1階のリビングに1台だけ。夕食は父の帰りを待って5人家族全員が食卓を囲むのが当たり前でした。
大谷本人も「ほとんど怒られた記憶がない」と佐々木さんに話したという。
「徹さんに聞くと、親が『おはようございます』『お休みなさい』と言ったり、自分の食器は自分で片づけるという程度のことを率先してやるだけでいいんだと。子どもたちもそれを見て、自然とするようになるだろうと思ったそうなんです」
前出・児玉さんはこう見る。
「親からネガティブな叱責を受けていない子どもは、自分の考えを信じて成長できます。大谷選手が他人の意見によって自分の心の声を消してしまうことがなかったのは、両親の自分をやさしく見守るような子育てに起因していたのではないかとも考えられますね」
小学3年生になる直前に入った野球チームには監督となった父とともに通った。
両親に温かく見守られて育った大谷は、このころから自分で考え、道を開くメンタルトレーニングを開始していた。
「内職をしていたお母さんは大谷選手が小学生になると同時にパートに出ました。息子のチームの監督であるお父さんも、勤めていた自動車会社の夜勤明けでも、そのまま大谷選手と試合に出かけた。身を粉にして働きながら見守ってくれる両親の背中を見て、大谷選手は親に頼るのではなく『自分で努力をしなければ』という自覚を持ったのではないでしょうか」(前出・佐々木さん)
脳科学者の塩田久嗣さんは、大谷の発想について次のように解析する。
「両親の教育で育まれた『根拠のない自信』が二刀流の原点でしょう。彼は幼少期に大脳辺縁系という感情をつかさどる部分がしっかり形成されたのかもしれない。逆境に強く、ポジティブに捉えられる発想は、幼少期に両親から肯定されて育てられた場合に発達することがあるんです」

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