あなたには忘れることのできない思い出の一食がありますか? 今回は、そんなエピソードをご紹介しましょう。

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インフルエンザでフラフラに

笹野愛花さん(仮名・30歳/派遣社員)は、突然インフルエンザにかかり寝込んでしまいました。

「とりあえず会社を1週間休むことにし、食糧の買い置きもなかったので発熱でフラフラしながらも、ネットスーパーで簡単に食べられるパンやチンするご飯、水などを買い込みましたが……食欲が湧かずゼリー飲料ぐらいしか喉を通らなくて

そして彼氏の直樹さん(仮名・29歳/コンサルタント)に「絶対にうつしたくないから、当分うちには来ないように」と連絡を入れたそう。


「そしたら最近多忙で私のことを放置しがちな直樹が、食欲のない私に『何なら食べられそう?』と心配そうにたずねてくれました。嬉しくてつい『じゃあ直樹が作ったお弁当が食べたい』とわがままを言ってしまったんです」

思わず「う、嘘でしょ?!」と叫んでしまった

直樹さんは快諾してくれましたが、正直なところ愛花さんは全く期待していませんでした。

「直樹が料理なんてできないのは知っていたし、お弁当なんて多分作ったことはないはずなので。それでも、私のためにお弁当箱に何を詰めてくれるんだろう? と思うと胸が躍りましたし、たとえ不味くても全然OKという気持ちで楽しみにしていたんですよ
 
そして翌日の午前中に「今玄関にお弁当さげておいたから。たいしたものは作れなかったけど良かったらどうぞ」とLINEが届いたそう。

「見に行ってみたら紙袋が玄関にぶら下がっていました。お弁当はシンプルなタッパーで、ワクワクしながらあけてみた瞬間、思わず『う、嘘でしょ?!』と叫んでしまいました」

何の変哲もないシンプル弁当に驚いた理由

中には冷凍のエビピラフが綺麗に敷き詰められていて、おかずはスクランブルエッグとソーセージとピーマンの炒めものにきゅうりのキューちゃんという、普通に見れば何の変哲もないシンプルなお弁当でした。しかし愛花さんにとってはその中身こそが驚きの理由だったのです。

彼氏が用意した“手作り弁当”を開けて驚き!「泣きながら夢中で食べた」中身とは
一食
「彼が作ってくれたお弁当の中身は、2年前に亡くなった父が、私が子どもの頃に作ってくれたお弁当そのものでした。母が忙しい時に父が代打で作ってくれるお弁当は毎回このメニューで、当時は文句を言っていましたが、今では懐かしくてたまらなくて……夢中でがっついてしまいましたね」

食べ終わる頃には涙が流れていた

そして見た目だけではなく味付けも、シンプルな塩コショウとちょっと油が多めな感じがかなりお父さんの味に近く、食べ終わる頃には涙が流れていたそう。

直樹に父のお弁当の話なんてしたことないので、完全な偶然なのですが……直樹を通じてまた父のお弁当を食べられたようでとても嬉しかったんですよ」

天国のお父さんが結婚を後押し?

その話を直樹さんに伝えると「スーパーに買い物に行った時に、直感的にこのメニューにしようと思ったんだ。愛花のお父さんと同じなんて、なんかとてつもないご縁を感じるね」と喜んでくれました。

そしてほどなくして、愛花さんは直樹さんからプロポーズされたそう。

「もちろんOKしましたが、例のお弁当の件が決め手になってのプロポーズだったようです(笑)。実は私もあの日から直樹との結婚を父から後押しされているような気がしていたので、やっぱり通じ合っているのかも? とキュンとしてしまいましたね」

それ以来、愛花さんが喜ぶので直樹さんは毎週のように例のお弁当を作ってくれるそうです。


<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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