夫がバーベキューに
真田芽衣さん(仮名・31歳/主婦)は、昨年2年間お付き合いをした俊介さん(仮名・34歳/会社員)と結婚しました。「私たちはいま妊活中なんです。
そんなある日、俊介さんが「職場の仲間たちとのバーベキューに行ってくる」と出かけていったそう。
「途中で何枚かバーベキュー中の写真がLINEに送られてきて、美味しそうなお肉や野菜や、うちにも遊びに来たことのある後輩の田中くん(仮名・28歳)と俊介が一緒に焼きそばを作っている姿が映っていて、楽しそうでいいなと微笑ましい気持ちで見ていました」
そして夕方になると酔っ払い上機嫌で帰宅した俊介さんは、シャワーも浴びずにソファーで寝落ちしてしまいました。
「まぁ昼間にお酒を飲むと想像以上に酔ったりするし、仕方がないかなと思いました。俊介が寝てしまいバーベキューの様子を聞けないのがなんだかつまらなくて、ついスマホを勝手に見ちゃったんですよね」
見慣れないカタカナの名前にピンときた
すると若くて派手めな女性2人と俊介さんが親しげに肉を頬張っている写真が出てきてしまい……。「あ、これは職場の仲間なんかじゃないとすぐに分かりました。もしかして、私に嘘をついて合コンしていたとか? と怖くなりLINEやメールなどをチェックしてみましたが、女性との個人的なやり取りは見つかりませんでした」

「そうか、きっと『シャン◯◯◯』という飲み屋のお姉さんとのバーベキューだ! とピンときたんです。どおりで美人ばかりだし、私に黙ってこんなお店でデレデレしながら飲んでいたのかと思うとムカついてたまりませんでしたね」
飲み屋じゃなかった!「シャン◯◯◯」の正体
俊介さんの働く会社の近くには、都内でも有数の歓楽街があり、きっとそこにあるお店に違いないと思った芽衣さんは検索をかけてみました。「すると確かにシャン◯◯◯というお店は存在していてビンゴだったのですが……なんと飲み屋じゃなくて風俗店(ファッションヘルス)だったんですよ! ショックでクラクラしながらホームページのキャストの写真を見てみたら薄いモザイクがかかっていましたが、俊介と一緒にお肉を食べていた女性にそっくりな人がいたんです」

「すると今度はカレンダーアプリの1週間後の日付のところに『シャン◯◯◯予約19時半』と書いてあるのが目に入り……私はある決心をしたんです」
あんた何やってんの! 思いっきり足を踏みつけた
さて芽衣さんと俊介さんはどうなったのでしょう?「それまで俊介とは普段と全く変わらない態度で接し、私は予約の日時に例の風俗店の付近まで出向くと、物陰に隠れて俊介が現れるのを待ったんですよ」
すると何も知らない俊介さんが、ほんのりニヤついた間抜け顔で歩いてきたそう。
「すかさず俊介の前に飛び出して『あんた妊活中に何やってんの? 全部バレてるからね』と思いっきり足を踏んづけてやったんです」
俊介さんは驚きすぎて現状が把握できないのか、しばらく「え?……え? え?」と、痛い足と芽衣さんの鬼の形相を交互に見ていました。
「俊介は謝ってくれましたが『でも好きなのは芽衣だけだし、風俗は浮気ではないと思うよ。
「もう妊活は無理」と言うと、泣きながら謝ってきた
そして芽衣さんは、俊介さんを睨みつけながら引っ張るように連れて帰ったそう。「私が真面目な顔で『こんな裏切りを受けたら、ストレスでもう妊娠なんてできないと思う。もう妊活なんてやめよう』と言ったことで、やっと自分の過ちの罪深さに気がついたらしく『本当にごめんなさい! もう絶対にあんなことしないから許してください』と泣いていましたね」
そして俊介さんが、心の底から反省し行動を改めると誓ったので今回だけは許してあげることになったそう。
「ただスマホに残っていた証拠を突きつけてキレるより、現行犯でとっ捕まえた方が本人的にも気まずくて今後繰り返さないでくれるんじゃないかな? と思ったんですよね」
さらに念には念を入れて、一緒に風俗通いをしていた後輩の田中くんとも個人的に遊ぶことは禁止しました。
「俊介は了承してくれたし、今後は妊活に集中しようと言ってくれています。でも油断ならないなと思っているので……これからも定期的にスマホチェックはしなくちゃなって感じですね」とため息をつく芽衣さんなのでした。
<文・イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop