突然彼氏の実家に訪問することになってしまったら、とても緊張してしまいますよね。それが大晦日だったらなおのことです。


今回は、そんな経験をした女性のエピソードをご紹介しましょう。

仕事関係から始まった恋

年末年始に彼氏の実家へ! 好かれようと努力したら…「どんな親...の画像はこちら >>
木下明日香さん(仮名・27歳)は、陽太さん(仮名・26歳)とお付き合いを始めて2ヶ月になります。

「きっかけは、仕事の取引先だった陽太からアプローチを受けたことでした。最初私は周りの人や上司にバレたり、もし付き合ったとしても別れた後に気まずくなると仕事に支障をきたすのが嫌で、デートをするのを渋っていました。でも、『僕は真剣だし先のことも今からちゃんと考えているから安心して』と陽太が言ってくれたので、そこから少しずつ距離を縮めてお付き合いをするようになったんですよ」

そんな恋愛のいちばん楽しい時期の真っ只中だった明日香さんは、初めて陽太さんと過ごす年末年始を楽しみにしていました。

「お互いの部屋を行き来してイチャイチャしまくるぞ! と意気込んでいたら、なんと陽太に『よかったらうちの福岡の実家に一緒に帰らない? そんな堅苦しいことじゃなくて、ただ明日香を両親に紹介したいんだ。それに事前に何度か会ってコミュニケーション取っておいた方が、いざ結婚ってなったときもスムーズでしょ?』と言われてびっくりしてしまって」

年末年始を彼の実家で過ごすことに

ふたりきりで年末年始を過ごしたい気持ちもありましたが、陽太さんが真剣に将来のことを考えてくれていることが嬉しかった明日香さんはその提案を受け入れたそう。

「ですがいきなり実家に泊まるのは緊張するし、やはり少しはふたりきりになりたいので『ご実家に数時間挨拶をしに行って、夜はホテルに泊まらない?』と相談してみたのですが、陽太に『2月は明日香の誕生日でしょ? だから、実はここで宿泊費を浮かせて誕プレをグレードアップしようと思っていたんだけど……』と告白されて、じゃあそれならと実家に泊まることを了承してしまいました。私って現金ですよね(笑)」

そしてワクワクと緊張の中、大晦日に明日香さんは陽太さんの実家に足を踏み入れました。

年末年始に彼氏の実家へ! 好かれようと努力したら…「どんな親に育てられたの?」と言われたワケ
食事を楽しむ家族
「私が九州に来たのが初めてだと言うと『遠路はるばる来てもらってありがとうね。ゆっくりしていってね』とご両親ともに笑顔で迎え入れてくれてホッとしました。とにかく気に入られるように振る舞って、結婚への足場固めをせねばと心の中で肩をぶん回しているような状態だったんですよ」

ご両親に気に入られよう作戦

テーブルにはお義母さん手作りのご馳走が並び、手厚くもてなしてくれたそう。

「実は私には用意していた作戦があったんです。昨年結婚した女友達から、『彼の実家に行った時は、お義母さんの手料理を美味しい! と褒めちぎりながらとにかくいっぱい食べること。そしたら絶対好感度が上がって可愛がってもらえるから』とアドバイスをもらっていて。
ちゃんと事前にお腹周りがダボッとしたワンピースを購入して、いっぱい食べられるように準備してきたんですよ」

年末年始に彼氏の実家へ! 好かれようと努力したら…「どんな親に育てられたの?」と言われたワケ
もつ鍋を食べる
そしてその作戦を実行した明日香さんに、陽太さんは驚いたようで「ちょっとどうしたの? いつもと様子が違うよ?」と慌てていましたが……。

「でもお義母さんが『お口に合ったみたいで嬉しいわ。いっぱい食べてね』と笑ってくれたし、お義父さんは何度も『イケる口だね』とビールをお酌してくれたので『やった! これでご両親の懐に入れたぞ』と手ごたえを感じていました」

食後に聞こえたショックな一言

そして食事を終えて、お風呂をいただいた明日香さんが陽太さんの部屋に戻ろうとリビングの前を通りかかると、ご両親の声が聞こえてきたので、つい耳を澄ませたそう。

「そしたらお義父さんが『あんな大食いを嫁にもらったら陽太は破産するんじゃないのか?』と私の食べっぷりに引いている様子でショックでした。私の作戦は全く響いていなくて、むしろ逆効果だったことが分かり、冷や汗が止まらなくなってしまって」

年末年始に彼氏の実家へ! 好かれようと努力したら…「どんな親に育てられたの?」と言われたワケ
大晦日彼の実家
するとお義母さんまで「本当にあさましい……いったいどんな親にしつけられて育ってきたのかしら? あんな嫁じゃ恥ずかしくて誰にも紹介したくないわ」と同調。

味方になってくれない彼にも違和感

明日香さんは落ち込むと同時に「たしかに料理をいっぱい食べすぎたのは行儀がよくなかったかもしれないけど、私は親からきちんとしたしつけを受けてきたし、食事のマナーやお箸の持ち方もちゃんとしているのに……私のことはともかく、両親を侮辱するなんて許せない!」と無性に腹が立ってしまいました。

「そして陽太にすぐそのことを話したら『大きな声で話さないで! 親に聞こえちゃうから。ここで揉めたら結婚がもっと遠のくよ? 何も聞かなかったことにして、明日から誤解を解いて名誉挽回できるようにしよう。いいね?』と説き伏せられて寝たのですが、私はモヤモヤして全く眠れなかったんですよね」

明日香さんは「なぜ陽太は、結婚したいほど私が好きなはずなのに自分の両親に『俺の大事な人とそのご両親を悪く言うなんてやめてくれ!』と怒ってくれなかったんだろう? それによく考えたらちょっといっぱい食べたぐらいで、そこまで酷く言う必要ある? 陽太ももっと『明日香は悪くないよ』とフォローしてくれてもよくない? なんで私はせっかくの年末年始をこんな知らない土地で窮屈な思いをしながら過ごしているんだろう?」と急に馬鹿らしくなってきて陽太さんへの気持ちが冷めていくのを感じたそう。

ひとりで帰ったらブチ切れLINEが

「そしてどうしても我慢できなくなり早朝にこっそり陽太の実家を抜け出し、ひとりで東京へ帰るため空港へ向かう電車に乗り込んだら……すごく気持ちがスッキリしたんですよね」

そして空港に着く頃に陽太さんから電話がきたので無視をしていると「ふざけんなよ! うちの両親に『あの子、泊めてあげたのにお礼も言わず黙っていなくなるなんて、食い逃げしに来たの?』って呆れられたじゃないか! 恥かかせんじゃねーよ!」というLINEが届きました。

「やっぱりあの家で我慢して過ごさなくて正解だと思いました。でも空港や飛行機の中は仲の良さそうな家族連れやカップルがいっぱいで、私だけ独りぼっちでこんな罵倒メッセージを送りつけられるなんて……本当に最悪な年明けになってしまい、虚しさでいっぱいでした。不貞寝しながら、東京に着くのを待ちましたよ」

そして案の定、仕事で再会したふたりは気まずくてギクシャクしてしまったそう。

「ギリギリ周りの人たちには気づかれていないとは思いますが……しっかりと仕事に支障がでてしまいました。
もう取引先の人と付き合うのはこりごりですね」とため息をつく明日香さんなのでした。

<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
編集部おすすめ