恋愛・婚活コンサルタントの田中亜依です。700万円の費用を投じた10年間の婚活で、600人以上の男性とデートを重ねた末に結婚しました。
“本気の婚活経験”を活かし、年間1000人以上の男女の恋愛サポートを行ってきた筆者が、婚活に「リアルに役立つ情報」をお伝えします。

婚活は誰でも一筋縄ではいかないものですが、中でも障がいを持つ方の婚活の場合は、他の人とはまた異なる悩みや葛藤もあるようです。

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今回は、障がいを持つ方に特化したマッチングアプリ「IRODORI(イロドリ)」で現在の恋人に出会ったというマミさん(仮名・39歳/会社員)を取材しました。マミさんは、発達障害のASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動性障害)だと診断されています。

障がいについて「打ち明けるタイミング」に苦労していた

――マミさんが、IRODORIを利用したきっかけについて教えてください。

マミさん(以下、マミ):最初は友達を作ろうと思って使い始めました。このアプリを使う前は発達障害の人が集まるリアルイベントに参加して友達を作っていましたが、オフラインには来ない層の友達も欲しいと思ったんです。

――現在お付き合いされている方とも、IRODORIで出会ったそうですね。

マミ:途中からプロフィール欄に恋人も探していることを書いたら、いいねが来るようになって、恋人ができました。

他のマッチングアプリを利用したこともありましたが、そこで出会った人とは、私が障がいについて打ち明けてから連絡が取れなくなってしまったんです

付き合ったり結婚したりと先のことを考えると、障がいについて一生黙っているわけにはいかないと思って話しました。でも、関係が深まっていない段階で伝えるのはあまりいいことではないのかもしれないと思うようになりました。でもやっぱり、打ち明けるタイミングがわからなくて、苦労しましたね。


お互いの障がいの特性を、あらかじめ想像できる

――現在の恋人とは、お互いの障がいについてどのタイミングで打ち明けましたか? どんな経緯があってお付き合いに発展したのでしょうか?

「障がいを打ち明けたら音信不通に…」恋人探しに苦労した障がい者女性が、大きな幸せをつかんだ“きっかけ”は
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マミ:障がいについては、お互いIRODORIのプロフィール欄にどんな障がいがあるか書いてあったんです。私は発達障害でASDとADHDなのですが、彼も発達障害があると書いてあって、メッセージの段階でお互いの障がいについて軽く話しました。

私も彼も、その発達障害ならこういう特性があるかもしれないなっていうのが、日頃から同じ障がいの人たちと接していてなんとなくわかるので、あえて色々質問しようっていう感じにはならなかったですね。

アプリのメッセージのやりとりをしていて楽しかったので、2~3週間くらいして実際に会うことになり、お付き合いすることになりました。

恋人と一緒に「乗り越えてきたこと」は

――お2人の関係を築く上で、障がいによって何か、乗り越えなければならないことはありましたか?

マミ:私はマルチタスクがすごく苦手なんです。だから、やらなくてはいけないことが増えると心配ごとが増えて、相手に寄り添う余裕がなくなってしまうんです

でも、彼は思いやりがあって、きちんと気持ちを伝えるとそれに応えてくれます。例えば、こういうふうに言ってほしいと伝えると、それをしっかり言葉にしてくれる。

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落ち込む
――婚活では、自分が思ってることを言わずに相手に期待をして、相手がそれに応えてくれないと嫌な気持ちになって上手くいかない……という人も多いんですよ。マミさんみたいに自分の気持ちを素直に伝えて、2人で解決できる関係ってすごくいいなと思いました。マミさん自身、コミュニケーションにおいて、工夫していることはありますか?

マミ:やっぱり私は察するのが苦手なので、はっきり言ってほしいし、自分もはっきり伝えたいんですよね。

過去に障がい者ではない方とお付き合いしてた時に、その人が思ったことをあまり言ってくれない人だったんです。私は彼の気持ちや思いを察することができなくて辛い思いをしました。その経験も影響しているかもしれません。


――気持ちを言葉にして伝える。とても大切なことですね。

「大切な人と出会うための行動」は恋人作りだけじゃない

――私は普段婚活の相談を受けているのですが、恋人を作りたいけれど、実際に行動できない人という人も多いんです。マミさんだったら、なかなか行動できない人に向けてどんな応援メッセージを送りますか?

マミ:不安もあると思うけど、何もないよりは、何かが始まった方がいいと思うんです。だから、まずは人と会うところから挑戦してみてほしいです。

私は同じ障がいを持つ仲間にここ数年でたくさん出会って、仲良くなれなかった人もいるけれど、仲良くなれてもう何年もの付き合いになっている友人もたくさんいます。

恋人ももちろん大切なんですが、仲間たちは私にとってすごく大きい存在で、最初に行動しなかったら出会えなかったと思うと、実際に会ってみるのはやっぱり大事だなと実感します。

多くの人と出会う中で学んだこと

――出会った人たちと関係を築く上で、学んだことや得たものはありますか。

マミ:友達や恋人に対してのちょうどいい距離感ってやっぱりあると思うんですよね。でも以前の私は、人との距離感がわかっていなかったんです

そこを間違えてしまってトラブルが起きることもあったのですが、アプリを使ったりオフラインの集まりに参加したりして、たくさん人と出会うようになって、ちょうどいい距離感が少しずつわかるようになってきたかなと

例えば、警戒心が強い人には、あんまりグイグイいかないようにしたりとか、 逆にノリがいい人に対してはこっちも同じような距離感で合わせたりとか、そういうのがわかるようになってきたと思います。

――取材していてマミさんは察し上手な印象を受けたのですが、そういう経緯があったんですね。

行動してみたら、新しい自分を発見できた

――そうした出会いによって、人生観や価値観に変化はありましたか?

マミ:これまでは、友達であっても人と話す時には「1対1じゃないと話せない」って思い込んでたんです。
だから大人数で話すときはいつも輪の中に入れなくて。でも、実際に友達がたくさんできたら、実は自分が思い込んでいただけで、そんなことないということがわかって、新しい自分を発見できたなと思えました。

早いテンポで話すノリのいい集団だと聞き取れないことがあるかもしれないんですけど、私の周りにいる友人の集まりって、1人が話してるとその人の話をちゃんと聞いてくれる人が多いんですよ。だから自分も入っていけるなという実感があります。

――マミさんの周りにはきっと、マミさんを含め、思いやりのある方々が集まっているんですね。

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恋人でも家族でも友人同士でも、良い関係を築く上で相手への思いやりは欠かせません。自身の発達障害の特性を理解しているからこそ相手への配慮をしたい、というマミさんの心構えは本当に素敵だと思いました。大切な仲間たちに恵まれ、苦手だと思っていたことを克服し、気持ちを伝え合える今の恋人にも出会えた。そんな大きな幸せを手に入れたきっかけは、マミさんの行動であり心構えでした

婚活をしながら「相手にありのままの自分を受け入れてほしい」と思う方は多いです。気持ちはとてもわかります。でも、「その分、自分は相手への気遣いができているか?」と、改めてご自身に問いかけてみてほしいと思います。


【IRODORI(イロドリ)】
障がい者やその理解者専用のマッチングアプリ。ユーザーからは「障がいを打ち明けやすい環境で、友達作りや恋愛、婚活ができる」と評価されている。完全審査制を採用しており、安全に利用できるのが特徴。これまでにダウンロード数は6万件を突破、累計マッチング数は15,000組以上に達し、結婚したカップルも誕生している。公式X:@irodori_info

<取材・文/田中亜依>

【田中亜依】
恋愛・婚活コンサルタント、デートコーチ。婚活歴10年、婚活に700万円を投資。マッチングアプリ、結婚相談所、合コンで600人以上の男性と出会い結婚。この経験を生かし、国内最大手結婚相談所にて「また会いたくなるデート方法」などのセミナー講師として活動。公式ホームページ/Twitter:@date_coach_ai/Instagram:@ai_tanaka1019
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