元TBSアナウンサーの宇垣美里さん。大のアニメ好きで知られていますが、映画愛が深い一面も。


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 そんな宇垣さんが映画『ファーストキス 1ST KISS』についての思いを綴ります。

「松たか子の生活感のあるたたずまいは…」宇垣美里が見る話題の映画『ファーストキス 1ST KISS』
©2025「1ST KISS」製作委員会
●作品あらすじ:お互い好き合って結婚しながら、いつしか気持ちがすれ違ってしまい離婚話も出る中、夫(SixTONES・松村北斗)が事故死してしまいます。

唐突に15年の結婚生活が終わってしまった妻(松たか子)でしたが、そこで突然のタイムトラベル! 若き日の夫に出会い、もう一度彼に恋をします。その先に待っていたのは……。

ドラマ『カルテット』や映画『花束みたいな恋をした』など数多くの名作脚本を手がけ、『怪物』でカンヌ国際映画祭脚本賞を受賞した坂元裕二脚本を、『ラストマイル』『グランメゾン・パリ』の塚原あゆ子が監督したラブストーリーを宇垣さんはどのように見たのでしょうか?

(以下、宇垣美里さんの寄稿です。)

かけがえのなさに注がれる尊い日々

「松たか子の生活感のあるたたずまいは…」宇垣美里が見る話題の映画『ファーストキス 1ST KISS』
©2025「1ST KISS」製作委員会
 永遠なんてどこにもないってことを、どうして私たちはすぐ忘れてしまえるんだろう。簡単に死んでしまう私たちが、「またね」の後にもう一度会える奇跡に慣れ切ってしまうんだろう。軽率に手放した今日が本当に最後になってしまうかもしれないのに。

 関係の冷え切っていた夫・駈を電車事故で亡くしたカンナ。自分と生きていくことよりも、見ず知らずの他人を助けることを選んで死んでしまった夫にモヤモヤとした気持ちを抱えていた彼女は、ひょんなことから15年前にタイムトラベルする術を知り、そこで自分に出会う前の若かりし頃の夫と遭遇する。

「松たか子の生活感のあるたたずまいは…」宇垣美里が見る話題の映画『ファーストキス 1ST KISS』
©2025「1ST KISS」製作委員会
 過去に戻る度に少しずつ未来が変化していることに気が付いたカンナは、駈を事故死から救うべく、タイムトラベルを繰り返して未来を変えようと奮闘する。

 15年前の夫と15年後の自分、その歳の差をものともせず、なんてことない一言や、ささやかなきっかけからまた何度だって恋に落ちていく様はどうしたって運命で。タイムトラベルを繰り返すにつれどんどんオシャレして過去に向かうようになっていくカンナがいじらしいやら微笑ましいやら。


松たか子・松村北斗が作品の世界観にぴったり

「松たか子の生活感のあるたたずまいは…」宇垣美里が見る話題の映画『ファーストキス 1ST KISS』
©2025「1ST KISS」製作委員会
 ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」などで坂元裕二作品に参加してきた松たか子の、生活感のある佇まいはもちろんのこと、駈を演じる松村北斗の不器用で面倒くさくて、だからこそ愛おしい存在感もこの世界観にぴったり。軽妙で思わずくすっと笑ってしまう会話の応酬の中に、坂元裕二ならではの胸に刺さるセリフがふんだんに盛り込まれていて一瞬たりとも気が抜けない。

「松たか子の生活感のあるたたずまいは…」宇垣美里が見る話題の映画『ファーストキス 1ST KISS』
©2025「1ST KISS」製作委員会
 王道な設定から導き出される新しい眼差しは、結果よりもむしろそこまでの過程のかけがえのなさに注がれる。改めて大切な人と過ごせるこの一日一日を愛おしく尊く思えた。

 ふとしたシーンが味わい深く、私が特に好きなのは二人の朝食シーン。和食と洋食、大雑把と几帳面、どこまでも正反対なふたりがそれでも食卓を共にすることの喜びったらない。

 私は未婚だけれど、長く連れ添っている相手がいる人はどのようにこの作品を受け止めるのだろう。人生の先輩方にぜひ聞いてみたい。

『ファーストキス 1ST KISS』
脚本:坂元裕二 監督:塚原あゆ子 出演:松たか子 松村北斗 吉岡里帆 森七菜 リリー・フランキー 配給:東宝 ©2025「1ST KISS」製作委員会 全国東宝系にて公開中

<文/宇垣美里>

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©2025「1ST KISS」製作委員会


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【宇垣美里】
’91年、兵庫県生まれ。同志社大学を卒業後、’14年にTBSに入社しアナウンサーとして活躍。’19年3月に退社した後はオスカープロモーションに所属し、テレビやCM出演のほか、執筆業も行うなど幅広く活躍している。
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