メイク講師の池田曜央子(いけだ・ようこ)です。元設計士の私が考案した顔の比率を補正する『骨格補正メイク』はセンス不要で理論的に好印象をつくるメイク法として書籍化されています。


 一般向けメイクレッスンや後進を育成する資格講座などを開講しているのですが、今回はメイクで素敵に変身した60代の方の事例をお伝えしたいと思います。
※使用したアイテムは、店舗により同じ商品がない場合や、既に販売終了している可能性があります。

介護に疲れて絶望していた60代の女性

「自分の姿に絶望して」いた60代でも、メイクで別人級の美マダ...の画像はこちら >>
 Mさん(60代/講師業)は母親の介護をきっかけに前職を退職、長く介護中心の生活を送っていました。

 そんな時「介護中心でいいからオンライン講師やってみない?」と誘いを受け、講師業を始めるタイミングでメイクレッスンの受講を開始。

「オンラインとはいえ人前に出る仕事なので印象をよくしたい。還暦になったこと、鏡に映る弛んだ顔の自分、この姿でzoom越しに生徒さんとお話しすることへの軽い絶望感がある」とのことで、「メイクすることで絶望感を払拭させたい」というお悩みを抱えていました。

「自分の姿に絶望して」いた60代でも、メイクで別人級の美マダムになった!
メイクを学ぶ前のMさん
「絶望感?!」と驚いたのですが、ご本人いわく「長く続く介護生活に疲れ切っていて、画面に映る自分の姿が憧れの先生像ではない、こんな姿では生徒さんに申し訳ない、がっかりさせてしまうかも」とのこと。私も講師業をしているのでその気持ちはよく分かります。

 生徒側からしたら「やっぱり習うなら素敵な先生から習いたい」、それが正直な気持ちです。なので講師としてはキチン感のあるキレイな見た目にしていたいですよね。

目ヂカラUPと似合うヘアスタイルでマイナス5歳

 そんなMさんでしたが、骨格に似合うメイクで素敵に変身。初回の体験では、ご本人からは「やっと自分を取り戻せました! 60代からでもキレイになれるんだと自信が持てました。メガネを使っているので、レンズ越しに目が小さく見えるのがイヤでしたが、その悩みもすっかり解消できました!」と喜びの声が。

「自分の姿に絶望して」いた60代でも、メイクで別人級の美マダムになった!
レッスン1時間後のMさん。メガネでも目ヂカラUP
「自分の姿に絶望して」いた60代でも、メイクで別人級の美マダムになった!
メイク前(左)→レッスン1時間後→その後、さらなる激変が!
年々印象が薄くなってくる目元をナチュラルに強調すること、また骨格を補正するヘアスタイルで一気に若々しい印象が手に入ります。
ということで今回はこの2点について、ポイント解説とおすすめアイテムをご紹介したいと思います。

目ヂカラUPのコツ①ナチュラルカラーでまぶたの余白を埋める

「アイシャドウはどうやって選んだらいいですか?」と生徒さんからもよく聞かれるのですが、そんな時は”肌の中にある色が入ったパレットを選ぶ”とアドバイスしています。

 具体的にいうと、ベージュやコーラルピンクなど少し黄色が入った暖色系パレット。元々顔の中にあるような色なので、ナチュラルな目元を作れます。ちなみに実際のレッスンで最初の1つ目ならこれ、とおすすめしているパレットは、プチプラな韓国コスメ「ロムアンド」のベターザンアイズ 01です。

「自分の姿に絶望して」いた60代でも、メイクで別人級の美マダムになった!
肌馴染みの良さそうなカラバリの4色パレット ロムアンド ベターザンアイズ 01
 逆にいうと顔の中にないような色み、例えばブルー系のアイシャドウなどを使うと、例えブルベだとしても“自然”には見えないんですよね。

よく「ブルベだから青系しか似合わない」と思っている方がいますがそれは間違い。色の変化は連続していますし、肌の色にも黄色の色素は少なからず入っています。ブルベだからといって黄色が入ったらダメ、ということはありません。

 ちなみにブルベの生徒さんにコーラルカラーのメイクを提案した時、帰宅したら娘さんから「すごくいい! もう青いのやめなよ」と言われたそうです。ということでブルベの皆さん、ぜひ騙されたと思って一回試してみてほしいと思います。

「自分の姿に絶望して」いた60代でも、メイクで別人級の美マダムになった!
ブルベ夏だけどオレンジメイクを楽しむ筆者・池田

目ヂカラUPのコツ②アイラインで粘膜部分を塗りつぶす!

 ここでいう“インサイド”とは、まつ毛の下に見える粘膜部分に引くアイラインのこと。この粘膜部分は若い頃より露出する方が多いので、もしかしたら粘膜もたるむのかな?と思っているのですが、鏡を見て粘膜が見える人は“超ラッキー”だと思ってください。見える粘膜を隅々まで塗りつぶすと、まるでカラコンを入れたレベルで目が大きく見えます。


粘膜に使うのは、滲みにくく速乾性のあるリキッドアイライナーが鉄則。私のおすすめは、「K-パレット」の1DAY TATTOO リキッドアイライナー01です。

「自分の姿に絶望して」いた60代でも、メイクで別人級の美マダムになった!
Kパレット 1DAY TATOO リキッドアイライナー01


目ヂカラUPのコツ③笑顔でメイクする

 みなさんはメイクする時、真顔でメイクしていませんか? 特に大人の場合は、それだと笑顔の時に目ヂカラが出ない場合が多いのです。なぜなら、真顔だと見えているアイシャドウやアイラインでも、笑顔になると全部消え失せてしまう、そんな方が多いからです。1番いい笑顔の時に1番キレイに見えてほしいじゃないですか。

 なので生徒さんには「メイクする時は必ず笑顔で!」とお伝えしています。デフォルト顔を笑顔にして、その状態でメイクすれば笑顔の状態が1番キレイに見えるのです。そうすればいつも笑顔でいようと思いますし、印象もどんどんよくなりますよね。“笑顔でメイク”はいますぐできる最高のコツなのです。

「自分の姿に絶望して」いた60代でも、メイクで別人級の美マダムになった!
楽しそうに見えて、実は仕上がりのための意図的な笑顔。笑

輪郭の補正はヘアスタイルで簡単に叶う

「似合うヘアスタイルがわからない……」「美容室で“似合わせカット”をオーダーしてもいつも同じ感じになる」そんなお悩みをよくお聞きしますが、それらは自分の顔を測ってバランスを理解すれば即解決します。

 ちなみにMさんの場合は、輪郭の縦横比が縦優性の面長タイプ、さらに縦方向3分割の1段目の比率が大きめ。こういうバランスの方の1番簡単な補正法は「前髪を作って横を強調」すること。人の目は線を追うという目の錯覚を利用して、一部でもいいので前髪で横線を作ってあげると骨格の補正が叶います。さらにサイドをふわっと作ってあげるとさらに横幅が出るので、今後トップの毛を伸ばすといいですよ、とアドバイスしました。


「自分の姿に絶望して」いた60代でも、メイクで別人級の美マダムになった!
自分の顔のバランスを測って客観的に理解しましょう『骨格補正メイク 顔の比率を描き変えて、一生美人!』(主婦の友社)より
 逆に横優性の丸顔タイプは、どうやって縦線を作るかが似合うポイント。目線を縦に動かすスタイルで縦幅を強調していきましょう。

最終回セルフメイク完成

 Mさんは介護の関係で月一回ペースで間隔の空いたレッスンでしたが、自主練を頑張ってセルフメイクがここまで上達。

「自分の姿に絶望して」いた60代でも、メイクで別人級の美マダムになった!
最終回セルフメイク完成
 メイクはデッサンなどと同じで、練習を繰り返すことで必ず上達します。「私は不器用だから」と諦めないで。美しいメイクの技術は練習の数に正比例します。

 どんどん上達するMさんへ、すごく変わったと思うけど誰かに気づかれたりしないかとお聞きしたら、「実は彼に聞いてみたんです、メイク変えたんだけど気づいてる?って。そうしたら、“本当はこういうことあまり言わないんだけど、控えめに言ってすごくいい!”、と褒めてくれました!」とのこと。照れ屋さんの彼からそんなふうに言ってもらえると、これはモチベーションがさらに爆上がりですね!

年齢を重ねても、自分をもっと好きになれる

 また最後にMさんがおっしゃった以下のような言葉がとても印象的でした。

「でもね先生、人に気づいてもらうことよりも、自分がメイクが楽しくて仕方ないのが1番の収穫です。何もない日でも自分のためにメイクしよう、自分の顔まだイケる!って心から思えるようになったことが1番嬉しいです。メイクを通じて朝からご機嫌な気持ちで生活できること、年齢を重ねても自分をもっと好きになれる可能性があることを知れて良かったです。」

 レッスンにはMさんと同じく60代の方も多くいらっしゃいますが、「今まで自分に構うことをせずに、仕事に子育てに奮闘して気づいたらあっという間にもう還暦。今まで頑張ってきたんだし、これからはちょっとくらい自分に手をかけてあげてもいいんじゃないかなって」そんなお話をお聞きします。


 毎朝の自分に「うん、今日もキレイ! 頑張ろう!」そう思える人が増えたら、どんどん明るく活力溢れる世の中になるんじゃないかなと、メイクを通してみなさんにキレイをもっと楽しんでもらいたいと心から願っています。

<文・撮影/池田曜央子>

【池田 曜央子】
(いけだ・ようこ)メイク講師。骨格補正メイク考案。一般社団法人日本骨格バランス協会代表理事。
1977年生まれ、青山学院大学経済学部卒業。建築士だった38歳のころ、愛犬の事故死でうつ状態に陥り、糖質依存となり15kgの激太り。外見差別を受けたことをきっかけに、美容・ファッションなどを学び、メイク講師として活動を開始。輪郭と顔パーツを数値で分析、骨格や年齢による変化を補正し、好印象な美人に近づける独自の「骨格補正メイク」を考案。メイク講座やスキンケア講座などで1000名を超える女性を変身させる。43歳で-17kgのダイエットも成功させ、ミセスコンテストで特別賞受賞。著書『骨格補正メイク 顔の比率を描き変えて、一生美人!』(主婦の友社) Instagram:@ikeda.makeup ブログ
編集部おすすめ