2024年はドラマ7本、映画3本に出演。
イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、今、もっともときめきを供給する人、野村康太の魅力を解説する。
あざと可愛いが日本一似合う俳優?
あざと可愛いという言い方がある。これは、意図的に施された可愛さを意味するのだろう。あざと可愛い動作や仕草の主体である本人がキャラとして意図している場合もあるし、その主体に対して演出する側が意図的に施す場合もある。例えば、バラエティ番組に出演するタレントが、わちゃわちゃしたひな壇の一角であざと可愛い雰囲気を率先して醸すことはよくある。これをそのままテレビドラマの世界で俳優に演じさせるとどうか。うーん、鼻白んでしまう。
でもどうだろう、『夫の家庭を壊すまで』(テレビ東京、2024年)に出演した野村康太に限っては、これもありだなと思わせてくれた。いや、それどころかむしろ、どんどんあざと可愛くやってくれと頼みたくなるくらい。あざと可愛いが日本一似合う俳優だとひとまず記憶されるべき存在なのだろうか?
混ぜるな危険要素
松本まりか主演の『夫の家庭を壊すまで』は、主人公・如月みのりが別の女性ともうひとつの家庭を作り、二重生活を送る夫をじりじり追い詰める復讐ドラマである。野村が演じたのは、そのもうひとつの家庭の息子・三宅渉役。みのりはまず渉に近づくため、彼が通う予備校の講師になる。
それはとびきりクリーミーな泡。かなりの持続力で付着する。新人俳優に施すには、ちょっと粘り気があり過ぎるかもしれない。混ぜるな危険……。渉のピュアなキャラクター性と野村康太自身の純度に加わる、このあざと可愛い要素。あまりに刺激的なさわやかさである。あざといのに混じり気がない。
沢村一樹のかつてのニックネーム
ちょっと悪ふざけ程度に、野村康太のニックネームを考えてみた。あざと可愛い“ピュア男爵”。なんで男爵なんだ。さわやかイケメンくらいじゃダメなの?と思われるかもしれない。どうしても男爵でなければならない理由がある。野村康太の父親は誰か。沢村一樹である。かつて沢村一樹はどんなニックネームで呼ばれていたか。人呼んで“エロ男爵”だ。
一昔前、バラエティ番組に出演していた沢村は、なぜだかセクシートークを連発していた。セクシーだけれど、お茶目で人懐こい。
新旧男爵父子の会話を想像
伊藤沙莉主演の朝ドラ『虎に翼』(NHK総合、2024年)で、沢村一樹は、殿様判事と呼ばれる久藤頼安を演じた。自分ではライアンと呼んでくれと言って、自らも誰彼かまわず、ニックネームをつけたがる人。主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)には「サディ」と命名していた。ライアンよろしく、実際、沢村一樹もエロ男爵という愛称に愛着をもっているように見える。となると沢村は現実でもニックネームつけたがり名人ではないかと想像する。
野村康太は出演作品を確認するとき、沢村と一緒に見るそうだが、きっと息子が演じる役名を勝手に愛称呼びしていたりしてね。ピュアとエロの新旧男爵父子の会話が気になるなぁ。
初バラエティ番組出演でのときめきポイント

『トークィーンズ』は初バラエティ番組出演である。
ときめき方が筋金入り。番組内で乙女男子と形容されるように、男性俳優のときめきポイントを恥ずかしがりながらも興奮を隠さずに語る。パク・ソジュン主演の『キム秘書はいったい、なぜ?』(2018年)などのキスシーンを例に、注目するのはいずれも男性俳優たちの手の仕草や動作。着眼するところが面白い。
あぁそう言えば、金子隼也と共演したBLドラマ『パーフェクトプロポーズ』(フジテレビ、2024年)や主演ドラマ『その着せ替え人形は恋をする』(MBS、2024年)などに出演する野村康太自身もまた手の仕草、特に右手周りに演技のポイントを作る俳優である。
その意味で初バラエティ番組出演で実証されたピュア男子のときめきポイントが、野村康太その人にときめくポイントになっている。
5月2日に公開される初主演映画『6人ぼっち』では、今、もっともときめきを供給する人、野村康太がどんなときめきポイントを提示してくれるのだろう?
<加賀谷健>
【加賀谷健】
コラムニスト / アジア映画配給・宣伝プロデューサー / クラシック音楽監修「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu