栄養不足や貧血に陥りながらも、よく生き延びてくれた――。保護当時を振り返り、愛猫あんずちゃんをあらためて優しく包み込んだのは、飼い主の「きのひとまる」さん(@KINOHITOMARU)。
体重わずか275gの小さな命は「あんず」と命名されました。それこそが元気な大人にゃんこへの記念すべき一歩となったのでしょう。あんずちゃんと飼い主さんの出会いから現在までを聞きました。
母猫たちとはぐれた子猫を会社の敷地内で保護

それから2、3日ほどが経った、11月7日。朝から子猫が1匹だけで鳴いており、ほかの猫の姿は見当たらないことに気がついた飼い主さんは保護を決意します。

あんずちゃんは飼い主さんの同僚が用意していた段ボールの上に乗って、力いっぱい母猫やきょうだい猫を呼んでいたようでした。保護時には鳴き疲れたのか、丸まりながらぐっすり眠っていたそうです。
「怖がらせないようにそっと近寄りましたが、逃げる様子は全くありませんでした。ひざ掛けを敷いた段ボールに入れても、鳴かずにじっとしていましたね」
275gの小さな命をつなごうと奮闘

自宅にはすでに3匹の先住猫がいたため、あんずちゃんにはしばらくケージで過ごしてもらうことに。
「翌日、ケージ内には仰天するほど大量な、ノミの死骸がありました。
ノミに血を吸われて貧血状態になっていたあんずちゃんにとって、食事をしっかり摂ることは重要なミッションです。

お迎え当初からあんずちゃんは人間を怖がらず、喉を鳴らしながら甘えてきてくれたそう。飼い主さん家族は心細い思いをさせないよう、就寝時以外、常に誰かがあんずちゃんと一緒に過ごすことを心がけました。

大人しかった保護時が懐かしいほどの活発にゃんこに!

「体に登ってきますし、ご飯の催促もうるさいぐらいです(笑)。全速力で走り回り、華麗なジャンプまで披露してくれます。丸くなりながら大人しく過ごしていたころが懐かしい……(笑)」
ただし、甘えん坊な性格は変わっていません。飼い主さんたちが近くにいると、自ら膝や肩に乗ってくるなど、積極的にスキンシップを取ってくれます。

幸運の“鍵しっぽ”とともに、末長く幸せな猫ライフを…

「小さな体で一生懸命生き延びてくれたこと、私につながってくれたこと、すべてに感謝しかないです」
これからは先住のお姉ちゃん猫たちとのんびりまったり、元気にマイペースに過ごしてほしい。
<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291