恒例となっている着回しコーデの特集が「医師と結婚したすぎて院内の外科医とドロドロ院内不倫をするオペ看の着回しコーデ」という内容で「医療従事者をバカにしている」として炎上。
ドロドロ不倫をするオペ看護師の着回しコーデで炎上
2025年2月28日に発売された2025年4月号『CLASSY.』では、「オペ看護師が主人公! スカートしばりの着回しDIARY」として着回し企画を掲載しました。これまでもたびたび特定の職業や独特のストーリーで着回し特集をしていた同誌。主人公の看護師役にはトラウデン直美さんが扮し、医者役にはお笑い芸人の三福エンターテイメントさんが登場。今回初めてとなる医療モノを取り上げ、実際に医療現場で撮影したことなど大々的に企画を組んでいたことがうかがえます。
しかし内容を見るとただの看護師の着回し特集ではなく、医師と結婚したい看護師が院内の外科医とドロドロの不倫をしているという設定。男女が薄暗い室内で手を繋いでいる写真など、不必要に不倫を押し出していました。
同誌が発売されるとSNSには「着回しコーデでわざわざ不倫を設定する意味がわからない」、「女性誌が不貞行為である不倫を推奨しているみたい」といった批判が多く寄せられていました。
また「医療従事者がみんな不倫をしているかのようでバカにしている」、「フィクションなら笑えるけど、細かいオペ看の設定や実際に医療現場で撮影してリアル感を出しているのが悪質」、「真面目に働いているのにまるでAVみたいにされて、こういうことが看護師に対するエロい偏見や現場でのトラブルにも繋がる」など、医療の現場に従事する当事者からも怒りの声が寄せられていました。
日本沈没やゾンビなど過去に独特のファッション企画
こうした批判を受け、3月11日には同誌は公式HPでお詫び文を掲載。「不適切で配慮に欠けるものでした」として謝罪するに至りました。しかし「こんな短い謝罪で済ますつもり?」、「どこをどう配慮に欠けたのか理解していないのでは」とさらに批判を広げることに。いまだ事態の余波は収束していない様子です。
女性誌の着回し特集と言えば、その季節に合ったスタイルやトレンドアイテムを組み合わせながらシチュエーションに沿った着回しを紹介する人気企画。
『CLASSY.』の着回し特集も人気企画となってきましたが、最近では洋服や着回しよりも設定やシチュエーション、ストーリーなどネタに走る傾向が強かったことも事実。
「日本沈没の危機を知り奮闘する内閣府の特任防災アドバイザー女子の大人きれいめ着回しDiary」、「新年早々寒さにやられた雪女が人間からダウンジャケットをかけてもらえた日のコーデ」、「ゾンビの目をかいくぐって生きながらトレンドのオシャレを死守するアラサー女子1月の着回しDiary」などの企画を掲載してきました。
炎上の背景に、話題になるための奇抜なストーリー作りか?
こうした奇抜な企画は『CLASSY.』読者以外にもSNS等でたびたび話題になり、多くの人が同誌を知るきっかけとなったため、プロモーションに貢献してきたことでしょう。今回のオペ看護師のドロドロ不倫企画も、これまでのように話題となる奇抜なネタを仕掛けたい思いが募り過ぎた結果、悪ノリに走り過ぎたことが原因のように見受けられます。洋服が売れなくなり、雑誌も売れなくなり…と、厳しい岐路に立たされているファッション業界と出版業界。本来の目的である、洋服やファッションコーデの魅力を伝えるためではなく、ネタで話題になり、ストーリーを読ませることを先行しすぎたために今回の炎上が起きたのではないでしょうか。
ただ、女性誌は洋服だけでなく恋愛や生き方全般にまで関わってくる指南書のような存在であることに存在価値はあるはずです。今回の炎上は女性の地位向上や女性差別をなくすために設定された「国際女性デー」の3月8日とも日付が近かったことから、特に女性たちから関心が寄せられたのかもしれません。
そうした社会トレンドを読み取る力も今回は特に欠けていたのではないでしょうか。
不倫調査の探偵着回しコーデもすでに実施
どうしても「不倫」というキーワードで話題になりたかったのであれば、たとえば「不倫を調査する探偵コーデ」でもいいのでは?と思ったら、2024年11月号ですでに同誌では「浮気男を徹底調査! 今どき探偵女子の10月着回しDiary」を特集していました。この特集でも、くしくも主人公はトラウデン直美さん。こうなるとすでに同誌の着回しコーデもネタ切れになっているのでしょう。
<文/エタノール純子>
【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中