美容が好きだったら、手だけのスキンケアでは物足りなく感じ、美顔器に興味を持つ人も多いのではないでしょうか?

 医師の中には、その効果を疑問視する方もいるようですが、最近はメーカーが外部機関に委託してエビデンスデータをもっていたり、学会で発表されることも多くなってきました。といっても、最近はあまりに種類が豊富で、興味があっても何を選んでいいかわからないですよね。


 そんな女性のために、今まで300以上の美顔器を試してきたという美容エディター・吉田瑞穂さんが、日々のスキンケアがレベルアップし、美容活動が充実する美顔器の選び方をご紹介します!

(以下吉田さんの著書『美肌投資』の一部を抜粋し、再編集しています)

美顔器市場は年々拡大し、性能もアップ

 
失敗しない「美顔器の選び方」…300種類を試した“美顔器マニ...の画像はこちら >>
 私が18歳から美顔器を使うようになり、約30年。試した数は300台を超え、所有している美顔器は70台超にのぼります。

 というのも、初期はエステのような効果を目指して開発された美顔器は近年、美容医療に着想を得た即効性を感じさせるものが増えているのです。

 現在は、美顔器のマーケットが拡大することで、医療機器メーカーが開発した美顔器など、スペックが高いものも手に入りやすくなり、競争は激化しています。メーカー各社もより性能の高いものを求められるようになりました。

 私はすべてのケアのうち、美顔器が占める割合は1割でいいと考えて実践していますが、それでも手だけのスキンケアでは得がたい手ごたえを感じます。「これはすごい」と体感したからこそ、次々に試したくなり、所有台数が増えていきました。

まずは悩みに特化した美顔器を選ぶ

 購入するのが初めての場合、多機能な美顔器よりまずは、悩みに特化したもののほうが手ごたえが得やすく、継続しやすいです。美顔器は電気エネルギーを与えるものが大半なので、即効性を追求するならパワーを重視したいところ。わかる範囲でアンペアやジュール数を比較しましょう。

失敗しない「美顔器の選び方」…300種類を試した“美顔器マニア”が出した結論
美顔器70台が並ぶ吉田さんの美顔器部屋
 充電式かコード式かで言えば、コード式のほうが出力が大きい傾向にあります。重さ、充電や推奨する使用時間が長すぎないか、併用する化粧品は入手しやすいかもチェックしてください。

メイクの前に使うことで変化を感じて

 朝メイクの前に使うと、より変化を感じやすいでしょう。化粧水の後、またはスキンケア前に使用。使う頻度、時間は説明書を参考にしてください。


 私は週に一回ほど、エイジングサインが気になるときに集中して使っています。多機能美顔器や、複数の美顔器を組み合わせて使うこともあります。

 たとえば、高周波やEMSでむくみ、たるみケアをした後、イオン導入でビタミンCを導入して整えるなど。ただ、同じ機能をもつ美顔器を複数使用すると、摩擦や熱などで肌に負担がかかる可能性があるので注意が必要です。

 以下、現在の美顔器の代表的な機能をご紹介します。

美顔器の代表的な機能

①レーザー:くすみ、ハリ
 可視光線と言われる波長のうち、特定の波長だけを人工的につくり、増幅させたものです。狙った場所にピンポイントに届き、その熱エネルギーで、活性化し代謝を上げます。

 光と違い、レーザーは波長が長くパルス幅が短い特徴があります。そのためエネルギーは深く、狭く進み、悩みがある部分へダイレクトにアプローチができるのです。

 そして、熱エネルギーを真皮へ届け、その回復過程で、コラーゲンやエラスチンの生成を高めます。軽いピーリング作用があり、直後は、美容成分が浸透しやすくなるメリットもあります。

 美顔器に採用されているレーザーは、JIS(日本産業規格)でクラスM1に該当し、家庭でも安全に使えるようになっています。

 美容医療機器はクラスM4であり、たとえば医療レーザートライビームの最大パルスエネルギーが1万3000mJ/Pulseであるのに対し、家庭用レーザーは12mJ/Pulseとなっています。


②導入:くすみ、毛穴、質感改善
 成分を導入する技術には、イオン導入、超音波導入、エレクトロポレーション(パ ルス導入)などいろいろな種類があります。イオン導入は、マイナスに荷電したイオン導入器と、同じくマイナスに荷電した美容成分が反発し合うことで、プラスに傾いている角質層に成分を引き込みます。

 美顔器の電流値が高いほど導入量は増加しますが、一定値以上は浸透率は変わらなくなります。

 イオン導入できるものは、水溶性の成分で分子の大きさが600g/mol以下のものです。イオン導入に適した代表的な成分は、ビタミンC誘導体やプラセンタです。ビタミンC水溶液を導入した場合、手のひらで塗ったときに比べて30~100多く浸透すると言われています。

 超音波導入は、300万回の振動を与えて空洞化現象を起こすことで、ビタミンAやトラネキサム酸などイオン化できない成分も浸透させることができます。

 エレクトロポレーションは、電気穿孔法とも呼ばれ、電気の力で皮膚の細胞膜に隙間を空け、美容成分を浸透させやすくします。イオン導入に比べて20倍という圧倒的な浸透力を誇ります。

③導出:エレクトロクレンジング、吸引

 毛穴の深部の汚れを取り去ったり、古い角質を除去する美顔器は、古くからあります。エステティックサロンや美容クリニックの技術に着目したものが多く、超音波クレンジングやイオン導出(エレクトロクレンジング)、毛穴吸引器などが代表的です。

 定期的に使うことでくすみやゴワつき、毛穴汚れを改善。
後から塗布する成分の浸透も高まります。

④超音波:たるみ、脂肪燃焼、導入

 高い周波数の音波のこと。この音波が振動を生み、脂肪細胞にアプローチしたり、肌深部に熱を与えて、細胞を活性化します。

 超音波のうち1~3MHzの周波数の超音波は皮膚表面に作用。クレンジングや導入、マッサージなど美顔器の技術として取り入れられてから長い歴史があります。

 周波数が18~40kHzの超音波になると脂肪層に気泡を作って排出を促すキャビテーションと呼ばれる現象が起きます。この技術はボディのスリミングケアにも使われています。

 超音波を一点に収束させ照射部位に瞬間的に高い熱エネルギーを与えるハイフなど、超音波は美容医療分野でも使われており、改めて注目されています。

⑤RF[ラジオ波・高周波]:たるみ、血流促進

 高い周波数の電磁波のこと。RFのほか、ラジオ波・高周波ともいいます。RFを当てると皮下の水分が振動し、摩擦熱が発生。この熱エネルギーにより真皮を活性化し、深部を温める作用があります。


 また、真皮に熱ダメージを与えることで、ヒートショックプロテインを生成。コラーゲンの生成や修復を促進します。血行促進や代謝の活性化も期待できます。規定の時間で深部までしっかり温まっているか意識して使いましょう。

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機能を理解して、目的に合った美顔器を選びましょう
 ⑥EMS:たるみ、血流促進

 EMSとは「Electrical Muscle Stimulation」の略。電気刺激によって、筋肉を弛緩収縮させること自体を指し、エネルギーの名称ではありません。具体的には、低周波、中周波(干渉波)、高周波を含む電磁波です。

 周波数が低い電磁波ほど皮下の浅い部分に電気が流れ、ピリピリした刺激をともなってごく浅い部分の筋肉運動を引き起こします。電磁波の周波数が高いと(RF)皮下の深い部分に電気が流れ、ピリピリ感は少なくなり深部を温めます。

 筋肉運動を起こしやすいのは、20~100Hz程度の低周波ですが、10000Hz以上の高周波は深部の筋肉(インナーマッスル)まで動かすことができます。

 その間の中周波は、皮膚抵抗が弱く筋肉運動が起こりにくい(体感もない)ため、2本の中周波を体内で交流させて干渉させ、筋肉運動を起こさせます。これが干渉波です。


 これら低周波、高周波、干渉波を組み合わせ、メーカー独自の波形を作ることでオリジナリティを出しています。

 私たちの顔には60種類ほどの表情筋がありますが、日本人が日常生活で使っている表情筋は、全体のうちわずか20~30%。EMS美顔器を活用することで、普段あまり使っていない表情筋を手軽にケアすることが可能になります。

 また、コアマッスルを動かすことができる高周波は、ボディケアが手軽にできます。使用時は痛みの強さなどEMSの刺激が適切か、ウェアラブルEMS美顔器の場合、きちんと効いてほしい場所にフィットしているか確認しましょう。

⑦LED:色により効果が異なる

 発光ダイオードのこと。光の色により、肌に対してそれぞれ異なる効果をもたらします。

 たるみにいいのは赤色LED。波長の長い光で、肌の深いところまで届いて線維芽細胞を刺激し、コラーゲンやエラスチンの生成促進やターンオーバーの活性化を促します。

 ほかにも、黄色は細胞賦活、青色はアクネ菌に作用し、肌の鎮静効果が。青緑色はシミ予防の効果があります。

⑧IPL(光):くすみ、脱毛

 IPLとは、広範囲な波長を持つ強い光のこと。
不要な波長をフィルターでカットし、ターゲットを定めた波長でくすみ、赤み、毛穴の開きや、脱毛ケアまで幅広く働きかけます。

⑨ダーマローラー:ハリ、導入する成分の効果が高まる】

 微細な針のついたローラーやスタンプは、軽く当てることにより肌に微細な穴を開けます。その穴から成分を浸透させたり、穴が塞がる過程でコラーゲン生成を活性化させることでハリを高めます。

美容医療を参考にした機能の選び方と使う順番

 多様な機能を見てきましたが、それぞれ働きかける深さが違い、その結果作用も違います。ウォーターピーリングは皮膚表面、IPLやLEDは角質層、EMSのうち低周波は表皮深部、RFは真皮、超音波は脂肪層、EMSは筋肉までエネルギーが到達します。

失敗しない「美顔器の選び方」…300種類を試した“美顔器マニア”が出した結論
美顔器の機能によって働きかける深さが変わってきます
 私がたるみケアをしたいときは、輪郭の引き締めにRF。眼輪筋・口輪筋など表情筋の引き締めにはEMSを使っています。

 これらが同時照射できる複合美顔器も多く出ているので、活用するのもいいでしょう。

メーカー各社がオリジナルの波形を開発

 美顔器のオリジナル波形は、コストに深く関わっています。いちばん効果が高いパルス波形を何万とおりもテストし、見つけ出すのが開発の肝と言えます。各社がオリジナルの波形の組み合わせを特許技術として出願をしているため、コストがかかるのです。学会発表や特許取得しているかどうかも見極めポイントのひとつです。

 くすみケアには、皮脂ぐすみや毛穴の黒ずみの場合はレーザー、青色LEDを使います。シミや色素沈着はIPL。ただし肝斑の場合は禁忌です。疲れていたり血行が悪いときのくすみは、赤色LEDを照射します。

 小ジワには、エレクトロポレーションやダーマローラーでヒアルロン酸やレチノールを導入します。ボディラインのケアには、超音波やEMSを用います。

複合機能や複数台を使うならケアの順番も大事!

 複合美顔器の機能を使う際、それぞれの機器のプログラムに準じた順番でケアしますが、“複数の”美顔器を使う場合は、順番を検討しましょう。基本的に、私は美容医療を参考にしています。まず、毛穴吸引器やイオン導出など、肌をきれいにする美顔器を使い、その後のケアの効率を高めます。

 肌を温めたり活性化させるRFかレーザーはどちらかに絞り、その後EMSで筋肉運動します。最後の仕上げでビタミンCやヒアルロン酸など美容成分を導入します。ダーマローラーは、物理的に微細な穴を開ける、肌にとっては負担があるケアなので、その後は導入のみに留めます。

 美顔器は継続が命。手ごたえがすばやく大きければ、継続のモチベーションも上がりますから、まずは、自分の悩みに特化したものを一台選んでみましょう!

【吉田瑞穂】
よしだみずほ。2001 年、大手通信キャリア勤務を経て美容記者・編集者として独立。数多くの雑誌、広告、会報誌の企画構成に携わる。ベストコスメ審査員。2004 年より美容コンテンツ制作チームmuseを設立。編集、執筆活動と並行し製品開発やコピーライティング、PR 戦略を含む美容プロデューサーとして活動。70台超を所有する美顔器のスペシャリストとして多くのメディアに出演。プライベートは夫と娘、犬とともに東京に暮らす。趣味は、絵、旅、サウナ、都市伝説。初著書『美肌投資』の発売を記念し、限定価格での「美顔器+書籍セット」を予約販売中!
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