いつも時間に追われて忙しい。なのに、自分の時間はない。
やりたいことも、夢も、叶えられない。これっておかしな話だと思いませんか。

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あなたはどう生きたい?

『人生は、捨て。自由に生きるための47の秘訣』(徳間書店)は極限まで「捨て」にこだわっています。著者は川原卓巳さん。世界のKonMari(近藤麻理恵さん)を生んだプロデューサーであり、公私におけるパートナーでもあります。

「どうして人は自分の生きたいように生きられないのか」

こんな問いではじまる本書には、息をのんでしまうような指摘がいっぱい。

たとえば「人生を捨てるの、やめにしませんか?」。私はこう問われるまで、無駄なこと、余計なことで占められてしまう人生を、それが人生なのだからしかたない、と半ばあきらめていました。私だけではなく、大半の方がそうではないでしょうか。

しかし本書は「不満はあたりまえではない」と断言します。本当に心から求めているもの以外は捨てるべきだと諭(さと)すのです。

つまりそれらを「捨て」て、自らが望む本当の人生を構築しようと呼びかけているのです。


大切な人は何人いますか

コロナが流行した時、大なり小なり人は死を意識したでしょう。後悔を残さずに天へ召される人はいませんが、できるかぎり後悔したくないのが人情です。

「大切な人とあと何回会えるのか」

本書が投げかける言葉に、「いつか会えるから」と自分の時間を惰性に変えてしまいますか?

“世界のこんまり”の夫かつプロデューサーが明かす、極限まで「捨てる」を実行するワケ。“ときめき”以外は無視してOK!
写真はイメージです
「日々に喜びを与えてくれるのは『人』」だと本書はいいます。ソロ活も素敵ですが、人は人がいなくては生きられません。

「人生は有限。大切だと思える人だけに時間をそそぎ、それ以外は手放す」

人間関係にも「捨て」が肝心。義理や損得だけの付き合いは今すぐ捨てましょう。

好きではないけれど仕事上で大切だから捨てられない。そんな関係性もありますよね。

でも本書はそれでも「捨て」を薦めます。「捨て」らからこそ生まれた余白に、新たなチャンスや自分らしい機会がめぐってくるというのです。

ときめくか、ときめかないか

“世界のこんまり”の夫かつプロデューサーが明かす、極限まで「捨てる」を実行するワケ。“ときめき”以外は無視してOK!
川原卓巳さん
捨てる、捨てないの基準。それは、ときめくか、ときめかないか。

現代人は「ときめきセンサー」が鈍(にぶ)っていると本書。


心が求めているというよりは、効果があるかないか、あるいは流行りかそうじゃないか。自分の気持ちを無視したところで判断している、それが当然の世の中です。

自分という個が、自分でも感じられないような、誰かの人生をなぞっているような違和感。これを解消してときめきセンサーを復活させるのに、片づけが一役買ってくれます。

モノに実際にさわって「ときめくか、ときめかないか」を判断。直感による一瞬のジャッジです。

直感のあとに出てくる「でもこれは高価だったし」とか「お世話になった人からいただいたから」など、余計な思考は無視します。肝心なのはあなた自身がときめくか、ときめかないか。

この作業を繰り返していくと、人生で本当に大切なモノやコトは何なのか、わかってくるのです。

最高の生き方は「ほどよい人でなし」

自分にとってのときめきは、人間関係にも活用すべきと本書。

仕事の付き合いをときめきで決めていいのか、と疑問視する方もいるでしょう。とはいえ、ときめきにも様々な形があり、尊敬や特異性がときめきにつながることもあるかもしれません。

SNSやネットニュースなどの余計な情報を遠ざけ、本書が目指すべき人は「ほどよい人でなし」。


超絶いい人はもうやめましょう。本書いわく、「ほどよい人でなし」でいるのが、とてもうまいのが近藤麻理恵さんです。

メールやチャットツールでも必要最低限の返信しかせず、半年以上放置したりするのだとか。最初は慣れないかもしれませんが、ときめきを優先した結果、生活にはときめきしか存在しなくなります。

要らないモノ、コト、そして人間関係に執着していたのは自分だけかもしれない。そんな気づきにハッとする日がくるかもしれませんね。

ご機嫌のプロになる

“世界のこんまり”の夫かつプロデューサーが明かす、極限まで「捨てる」を実行するワケ。“ときめき”以外は無視してOK!
写真はイメージです(以下同じ)
ときめきの対極にあるのが不機嫌ではないでしょうか。

毎日常にご機嫌でいるのは難しいです。あなたが悪くなくても、理不尽な出来事はいつでも起こり得ます。

ただ、自分の機嫌の責任者は自分。不機嫌は周囲にも伝染して、あなた自身にも返ってきます。いいことは何ひとつありません。

「ご機嫌でいることが、プロとして生きる基本姿勢」

あなたのご機嫌が人間関係を円滑にし、しいてはあなた自身の魅力を高めます。
不機嫌モードに突入しそうになったら、すぐにご機嫌モードに戻れるよう、独自のときめきアイテムを常備しておくのもいいですね。

不機嫌もいち早く「捨て」、風通しよく生きましょう。

究極の「自分らしさ」

ときめきにそって、いろいろな「捨て」活動をしてきました。最後は「自分を捨ててください」。

え?と首を傾げたのは私だけではないはず。つまり「自分に向かう『気』を捨てられている状態」だといいます。

私達は他人が自分をどう見ているか、自分はどういう人間なのか、絶えず考えていますよね。これが「自分にしか『気』が向いていない状態」です。

逆に、何かに没頭していたり、夢中になっている時はどうでしょうか。自分をいっさい気にかけていない状態は、余計なところに意識が向いていない、本来の自分のよさが出ているのです。

「仏教でいうところの『無我』の境地」こそが、もっとも自分らしいのだと、本書は締めくくっています。「現代人にとっていちばんのノイズは、スマホでも人目でもSNSでもなく、自分自身にほかならないのです」と、実に哲学的で奥深いひとことに、私は唸(うな)ってしまいました。


「捨て」「ときめき」「自分を捨てる」これらは究極の人生レッスンで、現代人にとっては厳しい面もあるかもしれません。だからこそ、本書に書かれた47の秘訣は必要不可欠で、今すぐ取り組む価値があるのだと思わずにはいられないのです。

<文/森美樹>

【森美樹】
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx
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