もし彼氏の部屋で全く知らない女性に遭遇してしまったら、かなり驚いてしまいますよね。彼女の正体は浮気相手でしょうか? それとも……。
今回は、そんな経験をした女性のエピソードをご紹介しましょう。

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喧嘩した彼の家へ

羽山佳代さん(仮名・29歳/派遣社員)は、智也さん(仮名・28歳/会社員)とお付き合いを始めて一年になります。

「智也とはSNSを通じて知り合いました。偶然住んでいる場所が近かったので、何度か遊んでいるうちに交際へと発展した感じですね」

そんなある日、寝る前にちょっとした雑談がしたくなった佳代さんが電話をかけると、智也さんの対応が妙に面倒くさそうだったためケンカになってしまいました。

「リラックスしたくて電話したのに何で優しく話してくれないの? とつい反射的にムカついてしまったのですが……最近智也は仕事が忙しくて大変なことも聞いていたし、きっと疲れていて早く休みたかったんだろうなと思ったら、どんどん申し訳ない気持ちになってきてしまって」

後悔した佳代さんは、謝りたい気持ちでいっぱいになり、翌日の午前中に家を出て智也さんの住むマンションに向かったそう。

「たまたま土曜日だったし、最近ビンゴ大会で当たったピザのギフト券があったので、いきなり行って智也をビックリさせ、一緒にピザパーティーして仲直りしようと思いついたんですよ」

浮気相手と遭遇!

彼氏の部屋に“見知らぬ若い女”が! 浮気より驚きな「まさかの正体」で警察沙汰の騒動に
空巣
そして智也さんの部屋の玄関を合鍵で開けようとすると、なぜか鍵がかかっていませんでした。

「鍵のかけ忘れなんて不用心だなと思いながら玄関を開けると、女性物のスニーカーが目に飛び込んできたので思わず息をのみました。『え、嘘でしょ? あの不機嫌は浮気相手の女とのいちゃいちゃを邪魔しやがってという意味だったってこと?』と頭に血が上りましたね」

佳代さんがリビングのドアを乱暴に開けると、見知らぬ女性がキャビネットの中を覗き込んでいたそう。

「スウェット上下のラフな服装で化粧っけのないその女性は、20代前半くらいに見えました。私の顔を見るなり慌てて逃げようとしたので、そうはさせるかと腕を掴んで『あなた誰? 智也の浮気相手なの?』と問い詰めました。ですがその人は何も言わず、私の手を振り払おうと必死にもがいていたんですよ」

そしてその女性の腕をふと見たら、智也さんが普段よく付けている腕時計をつけているのが目に入ります。さらに怒りの炎が燃えた佳代さんは「おい智也! 出てこい! 浮気の証拠は押さえたぞ!」と大声を出すと、ようやくその女性が「静かにして! 智也さんは今いません。私は智也さんと普通に付き合っているつもりでいたけど、実は彼女がいたんですね」と初めて声を発しました。

女性の正体はまさかの……

「それを聞いて『え、智也がフリーだと偽って浮気? あのヤロー!』と、怒りの炎にガソリンが投入されたような気持ちになっていたら、その女性が『智也さん、今すぐ近所にいるので呼んできます! 私も納得いかないので3人で話し合いましょう』と深刻な顔をして部屋を出て行ったんですよ。私も、そりゃ納得いかないよなと思いました」

そして10分ほど経つと、何食わぬ顔の智也さんが「あれ、佳代ちゃんが来てる! 昨日はごめんね」と呑気に謝ってきたそう。


「怒り狂いながら『誤魔化そうとしても無駄! 最低の浮気男め! あの女の人はどこ?!』と騒ぐ私に智也は『え、え、何言っているの? 浮気なんてしていないし、女性って誰のこと?』と心底ビックリしている様子で。その表情が嘘だとはとても思えなかったのでお互いの話を擦り合わせてみたら……まぁ結論からいうと彼女は空巣だったんですよ」

実は佳代さんが見た女性は、智也さんが鍵をかけ忘れてコンビニに行っている隙に勝手に侵入して、部屋を物色している最中だったのです。そこへ佳代さんがやってきて浮気相手と思い込み騒いだため、女性はその筋書きに沿った演技をすることで現場から逃亡したようで……。なんとも機転の利いた空き巣ですね。

すっかり仲直りした後は…

「被害は何年も前に4万円で購入した腕時計と、智也が友達に返し忘れないようにホワイトボードにマグネットで貼り付けていた一万円札でした。その後は警察を呼んだりでバタバタして、『とにかく、短い時間の外出でも絶対に鍵をかけるように』とキツく言われていましたね」

そして智也さんは「時計はまた買えばいいし、お金もまた稼げばいいけど、とにかく佳代ちゃんが空巣に刺されたりしないで本当によかった!」と、涙目になりながら心配して無事を喜んでくれました。

「それがすごく嬉しくて。無事に仲直りした私達は空巣被害に遭ったばかりなのにもかかわらず、たくさんピザをデリバリーしてパーティーを楽しんだんですよ」

「それ以来、お互いに防犯意識が高まって、戸締りは何度も確認するようになりました。それにしても、空巣にいきなり掴み掛かるような行動をとってしまったことを反省しています。いくら我を失なっていたからとはいえ、危険すぎますよね」と苦笑いする佳代さんなのでした。

<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。
好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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